オフィスの暑さを“見える化”して、温度のムラを少なくしよう!

クールビズ期間は9月30日で終了となりましたが、今回はオフィスにおける今後の取組の参考となるような取組例をいくつか提案させていただきます。同じオフィスにいても、「暑い」と感じる人もいれば、「寒い」と感じる人もいて、感じ方に違いがあることがオフィスにおける温度管理の課題となっています。この課題を把握・改善し、快適なオフィス環境を作ることは、我慢を強いることなく快適なクールビズの実施につながります。オフィスにおける温度管理の課題や対策について、一般社団法人環境情報科学センター(CEIS)の調査研究室室長石丸泰さんと調査研究室研究員の堀口恭代さんにお聞きしました。

同じオフィス内でも暑さの感じ方に差がある!?
温度のムラを把握しよう!

同じオフィス内にいても、温度の感じ方に差がある原因は、大きく分けてふたつあります。
1つ目は、室温そのものにムラがある場合です。例えば、パソコンやプリンターなどのOA機器は発熱しており、特にプリンター複合機は消費電力が1000〜2000Wと高く、発熱量が大きくなるため、周辺は室温が高くなりやすい傾向にあります。また、新しいビルは建築時に、室温にムラができないような空調が設計されているケースが多い一方、古いビルの空調では、「効く場所」「効きにくい場所」が発生することもあります。
2つ目は、体感温度に違いをもたらす場合です。例えば、ある方向だけ陽当たりがとても良く、壁面や窓面に強い日射がある場合は、その壁や窓に近い場所は暑く感じます。また、エアコンの吹き出し方向により、風が当たるところと当たらないところでは、温度の感じ方が大きく違ってきます。
このように、オフィス内の温度にムラがあることを把握することは重要です。複数の温度計をオフィス内に設置し、その測定結果を分析することで、オフィスの温度を“見える化”することができます。温度を把握・可視化すれば、「暑い」「寒い」の原因にたどり着き、対策も立てやすくなります。

エアコン使用時のオフィス室温の測定結果例
出典:一般社団法人環境情報科学センター

オフィス内の温度のムラをつくる原因を取り除く!
熱源の影響を少なくしたり、気流や日射の影響をコントロールして室温を均一化

オフィスの温度のムラをなくすには、様々な対策が考えられます。
まず、熱源が影響している場合について考えてみたいと思います。熱源となるOA機器が複数ある場合、使用頻度に応じて稼働させる機器を集約する方法があります。プリンター複合機はスタンバイ設定でも消費電力が200〜300W程度のものもあり、使用頻度が低いときは電源をオフにすることでエネルギー消費と発熱が抑えられます。使用頻度が高い場合は、「プリンター部屋」を設けるなど、プリンター複合機を人への影響が及ばない空間へ移動させるなど、熱源を遠ざける方法もあります。また、照明をLEDに切り替えることも有効です。LED照明は白熱電球より省エネかつ長寿命であるというメリットは有名ですが、実は、熱を発しないというメリットもあります。つまり、照明からの発熱を抑えることで熱源を減らすことができます。また、オフィス内に必ず置く必要性のない電気ポットや冷蔵庫などの熱源を、別部屋に移すなどの工夫もあります。
次に、日射や気流が影響している場合について考えてみます。日射の影響を防ぐにはブラインドの活用や遮熱シートを貼る、遮熱塗料を塗るなどの方法があります。ブラインドは、窓の外側に設置すると、より効果が高くなります。一般的には窓の内側に設置することが多いのですが、内側に設置すると日射によりブラインドが熱くなり、室内の熱源になってしまう可能性があります。また、エアコンの風が直接当たると寒いと感じる人も多いので、後付のルーバーやファンを設置して吹き出し方向を変更したり、風を拡散するなどの方法が考えられます。

体感の個人差にはひとりひとりの対策が必要
お役立ちグッズを活用!

このように、温度のムラを作り出す原因を取り除くことで温度の均一化を図ることができますが、それでも「暑さ」の感じ方には個人差があり、個人差を解消するには、個々人で対策を取ってもらうことも重要です。
「暑い」と感じる人はパーソナルファンを使ったり、椅子の座面をメッシュにして通気性を良くしたり、空気を送り込むことで熱が溜まらない空調クッションなどを使うことも効果的です。

暑さを見える化して把握し、温度のムラをなくすことで、働きやすくエネルギー効率の優れたオフィス作りにつながります。季節の変わり目前にオフィスのレイアウトを工夫したり、日射や気流をコントロールする工夫を施すことで、大きな省エネ効果が見込めます。また、隣人に気遣いできる小さな取組から始めることも、大事な一歩です。来年のクールビズに向けて、様々な工夫と対策で快適なオフィス環境づくりに取り組んでみませんか?

アドバイザー紹介

一般社団法人環境情報科学センター(CEIS)
http://www.ceis.or.jp/

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