専門家が考える「2030年の暮らし」
~ラクな暮らしに頼り切らず、
自分のエネルギーを使って健康になろう~

菅原 道仁
All About「家庭の医学」ガイド:菅原 道仁
  • ライフスタイル

日本人の平均余命は短くなってしまうかも

2030年度には、日本全体で温室効果ガスを26%削減(2013年度比)するという目標を立てています。医療現場は膨大なエネルギーを必要としますが、これまでの化石エネルギーから太陽光・風力・水力といった再生可能エネルギーへの転換が進むでしょう。

人々の健康状態については心配なことがあります。車の自動運転の発達で今より歩かなくなったり、家電の人工知能が進化して、あまり頭を使わなくとも暮らせるようになりそうです。頭や体は動かさないでいると、どうしても衰えます。骨粗鬆症や肥満になる人、糖尿病などの生活習慣病も増えると思います。日本は長寿国として知られていますが、医療の発達を差し引いても将来的には平均余命が短くなってしまうかもしれません。

便利な暮らしで生まれた余裕で、健康的な行動を

暮らしが便利になったら、それを上手に利用して、生活にメリハリをつけることが大事です。家電の性能がよくなって家事が時短になれば、ゆとりが生まれてスポーツクラブに行くこともできるでしょう。車で移動するところを散歩がてら歩いてみると、運動になりCO2排出量削減にもいいと思いますね。絵を描く、読書をするなど、脳の刺激になるクリエイティブな趣味を楽しむこともお薦めです。

つい、ラクな方に流れて何もしないクセがついていたら、それを見直すことから始めましょう。例えば掃除など、何でもいいので手足を動かしてみてください。行動を起こすと、やる気成分と言われるドーパミンなどが分泌されて、きれいになったと喜びを感じる「作業興奮」が生まれます。楽しみながら、さらにやる気が出て、健康的な習慣が身につきやすくなるのです。

高齢化に備えて、家の中を住みやすく安全に

2030年には、今よりさらに高齢化が進みます。家の中も、高齢者が安全に暮らせる仕様にしたいもの。例えば、気温差による「ヒートショック」はとても危険で、寒い風呂場で起こる死亡事故は、交通事故よりも件数が多くなっています。家の断熱効率を高めて、健康にいい環境を作りましょう。もちろん冷暖房の省エネもでき、光熱費もカットできます。

現役をリタイアすると、人と触れ合わなくなって急激に老け込んでしまう方も多いです。いつまでも楽しく元気に過ごせるよう、今から準備を始めてください。職場以外の友人関係や、コミュニティを作ることを意識しておいてほしいですね。

自分自身のエネルギーを使って健康になろう

今は健康な方に、2030年やその先に備えてもらうことはとても難しい。私はよく、「転ばぬ先の杖をついてほしい」と言っています。病気になってしまう前に、ぜひ行動を起こしてほしいのです。病院いらずの体を作るのが真の医療だと思っていますし、医療機器も薬品も不要になれば、直接省エネにもつながります。

できるだけ具体的に、人生の目標を立てましょう。「80歳になっても海外旅行に行きたい」のなら、積極的に歩いて足腰を鍛えるために、ときには車を使わず歩くことを習慣にできます。行動することで喜びを感じる「作業興奮」を利用して、今からライフスタイルを変えましょう。化石エネルギーではなく、自分自身のエネルギーを使って動けば、ガソリンや電気などの使用も抑えられるはず。それが皆さんの心身も、地球も一緒に健康になるコツだと思いますね。

「COOL CHOICE(=賢い選択)」にご賛同ください。

「COOL CHOICE」は、CO2などの温室効果ガスの排出量削減のために、低炭素型の製品・サービス・ライフスタイルを賢く選択していこうという取り組みです。未来の地球のために、「COOL CHOICE」に賛同して、できることから始めてみませんか?

◆ご賛同はこちらから
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/join.html

 

この記事を書いた人

菅原 道仁
All About「家庭の医学」ガイド:菅原 道仁

現役脳神経外科医。脳血管障害を中心に、救急医療からリハビリテーション、予防医療までの現場経験を元に、くも膜下出血・脳梗塞・認知症などに代表される脳・神経の病気について、役立つ情報をお届けします。日本健康教育振興協会会長、日本体育協会公認スポーツドクター。