みんなの「再エネ」取組み

再エネを導入された個人、自治体、企業の方に
取材を行い
具体的な導入事例などを
ご紹介させていただきます。

オフィスビル テナント単位で再エネ100%を実現する新手法

従来、複数テナントが入居するオフィスビルにおいて、テナントで入っている企業が再生可能エネルギーをオフィス内の電力として利用するのは難しいものでした。一般的に、ビルオーナーが電力会社と契約し、各テナントは毎月の電気代をビルオーナーへ支払う流れとなるのがほとんどのためです。そんな中、自社が保有する太陽光発電所を由来とする環境価値を活用し、テナントスペースでの使用電力を100%再エネ化した、芙蓉総合リースの土肥良一さんにその取り組みについて聞きました。

土肥 良一
土肥 良一(どひ りょういち)

芙蓉総合リース株式会社 CSV推進担当。営業推進業務担当後、再生可能エネルギー事業に従事。2019年より、CSV推進担当本社上席審議役を務める。

トラッキング付非化石証書を活用し「RE100」基準をクリア

ビルオーナーである住友不動産と連携し、入居する住友不動産麹町ガーデンタワー(東京都千代田区、22階建て)の本社機能スペース(16~22階部分)において、再生可能エネルギーを導入した、芙蓉総合リース。今回のスキームの要となるのが、非化石証書の活用です。

今回の取り組みにおける流れ 今回の取り組みにおける流れ

同取り組みでは、自社が運営する太陽光発電所を由来とする非化石証書を使用し、発電所で生まれた環境価値をテナントスペースでの使用電力に紐づける契約を締結。電源種別、所在地など発電所のトラッキング情報付非化石証書を取得することで、国際イニシアティブ「RE100」にも認定されました。

国内で前例のない取り組みであったため、①トラッキング情報の取得、②電力使用場所の明確化、③環境価値の二重使用の回避に重点を置き、ビルオーナーや小売電気事業者と協議を進め、スキームを構築。今後、脱炭素を推進する企業などがテナントスペース単位での再エネ導入を図る新たな選択肢を生み出しました。

福島県浪江町 太陽光発電所由来の環境価値を活用

同スキームのもう一つの特長として、2020年にゼロカーボンシティを宣言した福島県浪江町との連携が挙げられます。芙蓉総合リースが同町で運営する「浪江酒井第一太陽光発電所」出力約30MW(直流)で発電された電力の環境価値を、前述のトラッキング付非化石証書を活用し本社事務所で使用する仕組みです。震災より10年を経た同町復興の証の一つである同発電所の環境価値をテナントスペースの再エネ導入という新たな取り組みに活用することで、同町のゼロカーボンシティを目指す自治体としての認知度が高まり、さらなる再エネ・新エネ事業の誘致につながることが期待されます。

芙蓉総合リースは2050年に100%再エネ化を実現するという目標を立てていましたが、同スキームの確立により2030年までに100%再エネ化並びにカーボンニュートラルを達成するという新たな目標を公表しました。今後、他の事業所などにおいても再エネ導入を進めるとともに、社用車のEV化などを推進していきます。

ゼロカーボンシティ・サポートプログラム概要 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム概要

さらには、脱炭素化を進める企業や自治体向けに「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」を展開。事業用車両のEV化や生産設備などの使用電力の再エネ化等を対象としたリースプログラムであり、契約額の計 0.2%相当額をゼロカーボンシティの推進に寄与する財団法人やNPO等に寄付をしています。今後も、こうした独自のファイナンスサービスの提供より、脱炭素化を進める企業や自治体に多様な選択肢を提供、裾野の拡大に貢献していく計画です。