みんなの「再エネ」取組み

再エネを導入された個人、自治体、企業の方に
取材を行い
具体的な導入事例などを
ご紹介させていただきます。

木更津市、蓄電池付太陽光発電導入で安心安全な防災拠点とCO2削減を同時実現

天候によって出力が左右される太陽光発電などの自然由来の電力。こうした再エネの不安定性を解決する一手となるのが、「蓄電池」です。太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、地震・台風などによる停電時でも電力の使用が可能になることから、災害レジリエンス強化の一環としても注目を集めています。現在、千葉県木更津市と協働で、公共施設への「再エネ+蓄電池」導入を推進しているスマートソーラーの奥平 浩一さんに話を聞きました。

奥平 浩一
奥平 浩一(おくだいら こういち)

スマートソーラー株式会社 戦略事業本部 公共産業用事業 事業企画推進部門 副参事。2007年、同社設立時に入社。営業部部長に従事し、公共産業用における蓄電池付太陽光発電システムの業績成長を牽引。現在、企業の脱炭素化推進に向けた取り組みを各地で実施。

避難所となる公共施設に蓄電池付太陽光発電設備導入

千葉県木更津市に本社を構えるスマートソーラーは、環境省の「地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」の補助金採択を受けて、同市の公共施設において蓄電池付太陽光発電設備の導入を進めています。木更津市が募集した第1回脱炭素社会構築に向けた推進事業に関する民間提案で、同補助金を活用したスマートソーラーの「再エネ電力による脱炭素社会構築促進事業」が採用されたためです。

再エネ導入による温室効果ガスの排出量削減および電力インフラをはじめとする地域レジリエンスの強化を目的に、2018年から計29校ある小中学校の現地調査を開始。導入対象となる施設の選定においては、築年数、電力使用量、屋根の耐久性や日照条件、水害ハザードマップを基にした安全性などを審査基準としました。

同事業では、電力を販売する合同会社等が太陽光発電システムを無償で設置・運用するPPA(第三者所有型)モデルを活用しています。自治体が対象施設で発電された電気を自家消費し、使った分だけ同社に料金を支払う仕組み。環境負荷低減価値が発電所の所有者のものとなる従来の屋根貸モデルとは異なり、PPAでは屋根を提供するオーナー、今回のケースでは自治体が自家消費分を自らのCO2排出削減量としてカウントすることができます。

自家消費の先進モデル 災害時に活躍

同スキームの先進モデルとして、スマートソーラーは木更津市における道の駅施設「道の駅木更津 うまくたの里」に大容量蓄電池付太陽光発電システム(太陽電池出力81kW、蓄電池容量81kWh)を設置。2017年12月に稼働を開始しました。

「道の駅木更津 うまくたの里」屋根上の太陽光パネル 「道の駅木更津 うまくたの里」屋根上の太陽光パネル

同市は2019年に千葉県を襲った台風15号、19号によって被災。1週間から長くて2ヶ月近く停電した地域もありました。その際、近隣の住民は、電力の供給が可能であった同施設でトイレや自動販売機を利用、携帯電話の充電を行うなど、蓄電池の重要性を身をもって感じたと言います。平常時においても、年間でCO2 排出量44万トン、電気代200万円を削減するなど、環境面および経済面で大きなメリットをもたらしています。

分散型エネルギーシステムの構築に向けて 公共施設を核に再エネ化

木更津市は2021年2月にゼロカーボンシティ宣言をし、2050年までの二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指しています。同市はスマートソーラーと共に「再生可能エネルギーによる地産地消システム木更津市マスタープラン」も策定。地域の需要と供給をコントロールする分散型エネルギーシステムの構築に向けて、計53の公共施設の調査内容を取りまとめました。今後も両者が連携し、安心安全な防災拠点づくりとCO2排出量削減を同時実現するPPAモデルを核に、市内の公共施設への再エネ導入を順次進めていく計画です。