地球温暖化防止コミュニケーター

コラム

地球温暖化を伝える際に留意するポイント

2018年10月26日掲載

2018年は西日本豪雨や台風被害、災害レベルの猛暑と、過酷な夏になりました。今後、さらに地球温暖化が進むとどうなってしまうのかと不安を覚えた方も多かったと思います。
今回は、これまで私が地球温暖化についてお伝えしてきた中で、意識すると良いと感じたことをご紹介いたします。

 

■地球温暖化とヒートアイランド現象

まず前提の話になりますが、一般向けに地球温暖化の講演をすると、時々気温上昇の原因である「地球温暖化」と「ヒートアイランド現象」を混同している方を見かけます。どちらも人間活動が原因で気温が上がっているわけですが、仕組みと規模が違います。
・ ヒートアイランド現象:人工的な構造物や排熱が要因。都市部など、規模は限定的。
・ 地球温暖化:二酸化炭素などの温室効果ガスの増加が要因。地球規模。

<ヒートアイランド現象>

<地球温暖化>

(出典)気象庁HP(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/himr_faq/03/qa.html

例えば、東京の平均気温は過去100年で約3℃上昇していますが、そのうちの約1℃が地球温暖化、残りの約2℃はヒートアイランド現象によるものと考えられます。この2つをきちんと分けて説明する必要があります。


■最新の情報を加えて

世界の年平均気温の上昇は、2014年、2015年、2016年と最高気温を更新し続けました。そして、2017年は過去3番目に高い値となりました。
また、2018年7月23日に埼玉県熊谷市で41.1℃を観測し、5年ぶりに国内の最高気温が更新されました。
このような最新情報を加えると、聞いている人も実感を持って感じることができると思います。
なお、情報を得る際は、環境省や気象庁など信頼性の高いサイトを確認し、情報の出所(出典)を明記するように心がけてください。


(出典)気象庁HP(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html


■クイズで関心を高める

話す場にもよりますが、一方的に話すのではなくクイズなどを取り入れると、子供はもちろん、一般向けでも飽きさせず、聞いている人の印象にも残りやすくなると思います。
最初のつかみで1問クイズを出し、中盤にも数問クイズを入れて飽きないようにして、最後の方では知識の整理につながるようなクイズを入れるなど、クイズを取り入れる場所の工夫をすると効果的です。なお、子供たちにクイズを出す際は、起立してもらい、間違ったら座っていくという方法をとると、より盛り上がります。


■分からないことは分からないと伝える

質問を受けて分からなかった場合は、無理に答えようとするのではなく、分からないと答えることが大切です。
時々、質問の意味が分かりづらいことがありますが、その場合は「ご質問の内容は○○ですね?」と確認するようにしています。質問の意図が間違っていないかの確認になるだけでなく、質問内容を繰り返すことにより、自分の頭が整理され、良い答えが出てきます。
また、質問の意味はわかっても、十分な知識を持ち合わせていない場合もあると思います。その場合も、曖昧な回答をするより、調べて後日回答するといった対応を取る方が、信頼につながると思います。


■我慢ではなく、「賢い選択」を

地球温暖化について伝える際には、ぜひ具体的な対策についても伝えてください。
右のグラフをご覧ください。
世界では「地球温暖化対策は生活の質を向上させる」と考える人が多いのに対し、日本では逆に、対策が「生活の質を脅かす」と考える人が多いという意識調査結果です。日本では、温暖化対策は、便利な生活をやめなくてはならない、我慢をしなくてはいけないと考える人が多いのでしょう。温暖化の話をする上で、ネガティブなイメージだけが残らないようにすることが大切です。

(出典)国立研究開発法人科学技術振興機構「世界市民会議「気候変動とエネルギー」開催報告書」(2015年7月)より作成

我慢を強要するのではなく、賢い選択をすすめるCOOL CHOICEはとてもいい考え方だと思っています。
この夏は記録的に暑くなりましたが、私は休日を図書館で過ごしました。これもクールシェア、COOL CHOICEです。家でダラダラせず仕事がはかどり一石二鳥。我慢という感覚などありません。「これなら自分も今日からできる」と思ってもらえるよう、コミュニケーターの皆さん自身が楽しんで取り組んでいることをご紹介することが大切です。

関口 奈美(せきぐち なみ)

地球温暖化防止コミュニケーター・トレーナー
気象予報士/防災士
NHK総合テレビ「首都圏ネットワーク・首都圏ニュース845」などに出演中

ページトップへ