地球温暖化防止コミュニケーター

コラム

台風

2018年11月26日掲載

夏から秋にかけて大きな被害をもたらす台風。2018年は、28個発生し、うち5個が上陸しました(11月21日時点)。
特に、台風21号による記録的な暴風や高潮、台風24号による塩害などは、各地で多数の被害が発生しました。
一方で、台風がもたらす雨は貴重な水資源としての役割も担っているため、地球温暖化も要因の1つと言われている台風の強さや発生数の変化などは関心事の一つです。


■台風発生の仕組み

熱帯低気圧(熱帯の海上で発生する低気圧)のうち、北西太平洋または南シナ海にあって最大風速約17m/s以上のものを「台風」と言い、海面水温の高い(26.5℃以上)海上で発生するといわれています。
海面水温が高いと上昇気流が発生しやすく、積乱雲が生まれます。それが渦を形成し、中心付近の気圧が下がって発達すると熱帯低気圧に、さらに発達すると台風になるのです。
台風は、水蒸気が凝結して雲粒になるときに放出される熱をエネルギーとしているため、暖かい海上を移動するにつれて発達します。


■「2100年未来の天気予報」の台風の解説で使用されている言葉

ここでは、「2100年未来の天気予報」に出てくる台風の解説で使用されている言葉について、2つ解説したいと思います。

「猛烈な(台風)」
台風の強さは風が基準になっており、強さの階級分けは最大風速(10分間平均風速の最大値)33m/s以上で「強い」、44m/s以上で「非常に強い」、54m/s以上で「猛烈な」となります。

(出典)気象庁HP「知識・解説>台風について>台風の大きさと強さ」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-3.html

「高潮」
台風や発達した低気圧が通過する時に潮位が大きく上昇することを言い、下記の2つが原因となって起こります。
・吸い上げ効果:台風や低気圧の中心では気圧が周辺より低いため、気圧の高い周辺の空気は海水を押し下げ、中心付近の空気が海水を吸い上げるように作用する結果、海面が上昇する(右図A)。
・吹き寄せ効果:台風や低気圧に伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられ、海岸付近の海面が上昇する(右図B)。

(出典)気象庁HP「知識・解説>潮汐・海面水位の知識>高潮」(http://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/tide/knowledge/tide/takashio.html


■台風の将来予測

2018年2月に公表された「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018~日本の気候変動とその影響~」(※1)によると、
・熱帯低気圧の活動度の長期変化は確信度が低いが、北大西洋における低気圧の頻度と強度が増加していることはほぼ確実
・将来、地球全体での熱帯低気圧の発生頻度は減少するか変わらない可能性が高く、地球全体で平均した熱帯低気圧の最大風速及び降雨量は増加する可能性が高いが、地域別の予測の確信度は低い
とされています。

また、最近の気象庁気象研究所などの研究では、全世界での熱帯低気圧(台風)の発生数は減少するものの、日本の南海上などでは現在よりも高頻度で現れる可能性が高いとの予測が報告されています。

猛烈な熱帯低気圧(台風)が存在する頻度の将来変化
(赤色の領域で頻度が増加)

(出典)平成29年10月26日気象庁気象研究所報道発表資料「地球温暖化で猛烈な熱帯低気圧(台風)の頻度が日本の南海上で高まる~ 多数の高解像度温暖化シミュレーションによる予測 ~」(※2)

これからも台風に最大級の警戒をすることの大切さを、出前授業などを通して伝えていきたいです。

【参考資料】
(※1)http://www.env.go.jp/earth/tekiou/report2018_full.pdf (企画・監修:環境省・文部科学省・農林水産省・国土交通省・気象庁)
(※2)http://www.jmbsc.or.jp/tougou/outreach/file/press_release.pdf

岩名 美樹(いわな みき)

地球温暖化防止コミュニケーター・トレーナー
気象予報士

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