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2021.02.26

まち全体を最適化!
国内外で進むスマートシティの取組

人口の過度の集中が引き起こす交通渋滞、環境や治安の悪化、福祉や医療、教育などのサービスの低下、経済格差と貧困、自然災害に対する脆弱性など、現代の都市はさまざまな問題を抱えています。こうした課題を最先端のテクノロジーを利用して解決していこうという未来志向の「スマートシティ」がいま、世界中で注目されています。その最先端の動きを紹介しましょう。

最新のテクノロジーを活用
未来志向型の次世代都市

そもそもスマートシティとは何でしょうか。
国土交通省の定義では、スマートシティとは「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」とあります。
さらに具体的にマネジメントされる課題として「交通Mobility」「自然との共生Nature」「省エネルギーEnergy」「安全安心Safety & Security」「資源循環Recycle」の5つを挙げています。つまりスマートシティとは、公共交通を中心に快適に移動可能で、水や緑と調和した都市空間があり、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを活用し、災害に強く、その備えも十分で、雨水の利用、排水を処理・利用する都市というイメージです。
これらを実現するために、AI、ICT、IoTなどの先端技術を活用し、人と人、人とモノ、モノとモノをネットワークで結び、さらにビッグデータを用いた分析・予測でより効率的な管理や運営を行っていくまちということになります。
これまでの都市は大量消費と大量廃棄、それにともなって環境、衛生が悪化するという傾向がありました。それに対しスマートシティは、徹底した省エネルギーや資源のリサイクルと、再生可能エネルギーの利用という環境に配慮した都市づくりが大きな特徴です。
国土交通省によると、スマートシティが実現した社会では、そこで生活する人にとっては生活の質を高める余剰時間が増え、ヒト・モノ・コトと出会うための経験的な活動ができる、一方都市を管理・運営する側にとっては、リアルタイムで、かつミクロな視点で、さらにエビデンスに基づいた分析・判断を、分野横断的で持続可能な解決が図れるとしています。
このような課題解決型、未来志向型さらに環境重視の都市および都市計画がスマートシティなのです。

スマートシティのトレンド
個別解決型から分野横断型へ

このスマートシティという言葉が世界で普及し始めたのは2010年前後のこと。その頃から、世界各地でスマートシティの実証実験が行われるようになりました。
アラブ首長国連邦では、砂漠の中に再生可能エネルギーを利用してCO2排出量や廃棄物ゼロを目指す人工都市「マスダール・シティ」を建設しました。また、中国とシンガポールの共同事業である環境配慮型都市「天津エコシティ」、アメリカ・フロリダ州のレイクノナ市などが、その先進事例として挙げられます。
また日本においても、この頃から京都・相楽郡の「けいはんなエコシティ」、北九州市の「北九州スマートコミュニティ」、横浜の「横浜スマートシティプロジェクト」、沖縄・宮古島の「島嶼型スマートコミュニティ」など、各地で次々と実証実験がスタートしました。
この初期のスマートシティは、京都や宮古島は次世代エネルギー分野において、長野県塩尻市ではセンサーネットワークを利用した防災・減災分野において、またアメリカ・レイクナノ市は住民の健康管理においてなど、個別の分野において先端技術を使って取り組んでいくという試みが多くを占めていました。
しかし最近のスマートシティでは、特定の課題だけではなく、環境、エネルギー、交通、医療・福祉など複数の課題を横断して、複合的に取り組もうという都市が増えています。

横浜・綱島スマートシティ

各地で行われている
環境を重視した実証実験

現在、日本各地でスマートシティが次々と誕生したり、そのための実証実験が行われています。その中から、特に環境面を重視して取り組んでいる事例をいくつか紹介しましょう。
まずは「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つのテーマを掲げてまちづくりを行っている千葉県の「柏の葉スマートシティ」です。ここでは「AEMS(エリアエネルギー管理システム)」を採用し、まち全体で最も効率的なエネルギー利用を実現しています。「スマートグリッド(次世代送電網)」を運用して太陽光発電などをまちの中で融通できるシステムで、地域レベルで約26パーセントの電力ピークカットを実現しました。また各世帯ごとにCO2排出量がわかる「HEMS(ホームエネルギー管理システム)」や、CO2削減のためのロードマップの策定、再生可能エネルギー、未利用エネルギーの積極的な活用など、さまざまな局面でCO2削減を図っています。
2010年に経済産業省に「次世代エネルギー・社会システム実証地域」に選定されたのが「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」です。このプロジェクトは市とエネルギー関連会社、建設会社など34社が連携してHEMS、太陽光パネル、電気自動車などを導入し、2014年までにCO2排出量の29パーセント削減や省エネ率17パーセントを達成しました。この実証実験でのノウハウを活かして、横浜市では各地でスマートシティの開発が進められています。
同じく北九州市の「北九州スマートコミュニティ創造事業」も経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証地域」に選定され、2011年から16年まで実証実験が行われました。このプロジェクトのテーマは「地域のエネルギー需要に応じた役割をデザインしたまちづくり」で、そのメインはスマートグリッドの活用です。そして電力を使う家庭や企業などに次世代型電力メーター「スマートメーター」を設置して、10パーセントの省エネを実現。2018年からはさらにプロジェクトを改定し、実際のまちづくりに動いています。
一方国においても、スマートシティのより一層の推進に歩を進めています。その表れが、2020年5月27日に成立した「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律(通称・スーパーシティ法案)」です。「スーパーシティ」とは「第4次産業革命を体現する最先端技術の都市」となるスマートシティのこと。この法案によりスーパーシティに選定された自治体へは規制緩和や税制優遇などの国の支援が受けられます。またスーパーシティ間のデータ連携基盤の構築に貢献する企業にも国からのサポートがあります。
このようにいま、スマートシティに関しては、官民一体となってさまざまな取組が行われているのです。

柏の葉スマートシティ

これまでスマートシティの実証実験などを通して、都市が抱えるさまざまな課題はそれぞれが個別に存在するのではなく、すべてが複雑に関連していることが明らかになってきました。その中で環境への配慮は、あらゆる課題に対応するときに欠くことのできない大きなテーマです。
特に日本においては、地球温暖化が原因と思われる異常気象による自然災害が後を絶たず、 災害に強く、気候変動に対応できるまちづくりが急務とされています。
各地のスマートシティ、その実証実験では、再生可能エネルギーの利用や次世代型の交通網の整備など、CO2排出量を削減して環境にやさしいまちを目指してきました。
ただそれは、すべてがICTなどのテクノロジーだけがになうものではなく、人々による日常生活における環境への取組も欠かせません。
たとえば冷暖房を使う際にはクールビズ・ウォームビズを意識する、マイカーよりも公共交通機関やカーシェアリングを利用する、家庭でのエネルギー消費量を見える化していくなど、一人ひとりの意識・行動が積み重なることで相乗効果を生み出し、スマートシティの機能が最大限発揮されるといえるでしょう。

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