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2021.12.27

ノーベル賞で注目の「気候モデル」から、地球温暖化を考えてみよう!

眞鍋 淑郎氏(© Nobel Prize Outreach. Photo: Risdon Photography)

2021年のノーベル物理学賞に選ばれた、米プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎(まなべ しゅくろう)さんが、12月6日、米首都ワシントンで開かれた式典でメダルと賞状を受け取りました。

真鍋さんが開発した「気候モデル」は、地球の気候を物理法則に基づいてシミュレーションすることで、CO2の増加が与える気候への影響を初めて明らかにしたものでした。今回の受賞のニュースで地球温暖化についてあらためて関心を持った方も多いのではないでしょうか?

今回は、同分野の研究を行っていて、真鍋さんとの交流もある、国立環境研究所の江守正多さんにお話しを聞きました。

江守 正多(えもり せいた)
江守 正多(えもり せいた)

1997年より国立環境研究所に勤務。2021年より地球システム領域 副領域長、連携推進部社会対話・協働推進室長を兼務。専門は、地球温暖化の将来予測とリスク論。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次、第6次評価報告書主執筆者。

――真鍋さんが開発された気候モデルとは、どんなものですか?

気候モデルは、基礎的な物理の法則に基づいた計算式によって、地球の気候をシミュレーションするものです。真鍋さんはまず、1964年に大気の高さ方向の温度分布を明らかにするモデルを作りました。その次に、CO2濃度が変化すると気温がどう変化するのかという実験を行い、1967年の論文で、CO2濃度が2倍になると地球の温度が約2度上がることを世界で初めて詳細な計算で明らかにしたのです。

真鍋氏の気候モデル

実は、真鍋さんがこの研究を始められたのは、地球温暖化のためではなく、真鍋さん自身が地球の気候を理解したかったため。CO2濃度を変化させてみたのも、好奇心でされただけだったそうです。それが重大な発見につながったのです。

その後、地球温暖化に対する社会の関心が高まり、真鍋さんは大気と海流の動きを組み合わせた3次元の気候モデルを作りました。この気候モデルは、本物の地球そっくりな気候が再現されているので、CO2濃度を変化させると気温の変化が分かります。実際に、真鍋さんが1989年に気候モデルを使ってシミュレーションした予測結果は、その後の約30年間に観測された気候の変化パターンとよく合っているんですよ。

この気候モデルのすごいところは、地球の大きさや地形など基本的な情報をコンピュータに入れるだけで、本物の地球とそっくりな気候を再現すること。過去や現在の気象観測データは一切いりません。計算式の元になっている物理の法則とは、質量保存の法則など、高校の理科で習うような基礎的なものです。

真鍋さんの研究は、新しい法則や現象を発見したわけではありませんが、基本を組み合わせて、複雑な気象システムを分かりやすく解明し、現在の気候研究の基礎となっています。

――気候モデルは、地球温暖化対策にどう活用されているのですか?

例えば、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)の話し合いのもとになる、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)がまとめるレポート。私も執筆に携わりましたが、将来の気候を予測したり、過去の気候を再現したりするのに気候モデルを活用しています。

――私たちが普段の暮らしの中で取り組める地球温暖化対策は?

温暖化対策と聞くと、「エアコンを使ってはいけない」とか「車に乗ってはいけない」と思われる方が多くいらっしゃいます。それは誤解で、我慢をする必要はありません。

例えば、断熱の良い家を建てたり、断熱リフォームをしたりすると、最初にお金はかかりますが、光熱費は抑えられるので、長い目で見るとお得に暮らせます。再生可能エネルギーが増えると、分散型電源の会社ができ、地域に雇用が生まれます。さらに、海外からのエネルギー輸入も抑えられ、空気も汚さない。温暖化対策は良いことがたくさんあります。

しかし、地球温暖化に関心がある人だけが取り組んでも、あまり効果はありません。関心がない人にも興味を持ってもらうために、関心がある人には、ぜひ声をあげていただきたいと思っています。

難しいことではなく、気候変動のニュースをSNSでシェアしたり、気候変動に関する投稿に応援のコメントをすることから始めてみてください。そうして、地球温暖化に取り組もうという意識が、あちこちで見られるようになるといいですね。

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