フェンシングの折れた剣をリサイクル!
日本スポーツSDGs協会の「折れ剣再生プロジェクト」を紹介します。

2022.11.30

日本スポーツSDGs協会

日本スポーツSDGs協会は、2030年での達成を目指すSDGs活動において、スポーツを題材とすることで活動の認知度や参加者数、持続性などを向上させ、17の課題解決に一つでも多く貢献することを目的として設立された団体で、スポーツを通じて、さまざまな活動を推進しています。
今回は、アスリートを中心として発足した、折れてしまったフェンシングの剣をリサイクルするプロジェクトを紹介します。

東京オリンピックの金メダリストが発起人として、プロジェクトを発足

剣を用いたスポーツ競技であるフェンシング。2021年の東京オリンピックでは見事に金メダルを獲得した男子エペ団体の活躍も記憶に新しいところです。
激しい攻防を繰り広げる競技であるフェンシングでは、練習や試合で年間数百本の剣が折れてしまいます。これまで、折れた剣(金属)は産業廃棄物として処理されていました。こうした状況に対して、日本スポーツSDGs協会は2022年1月に、廃棄される折れ剣をリサイクルして有効活用する「折れ剣再生プロジェクト」を立ち上げました。東京オリンピックのフェンシング男子エペ団体で金メダルを獲得した見延和靖(みのべかずやす)選手が発起人です。

折れたフェンシングの剣を、メダルや包丁としてリサイクル

2021年の東京オリンピック・パラリンピック後も様々な形でサステナブルな社会の実現に向けた取組みが行われています。「折れ剣再生プロジェクト」は、そうした流れを継承しています。
フェンシングの剣は非常に高い強度を誇り、貴重な金属で作られていることに着目し、再利用することを検討。具体的な取組みとしては、日本代表選手や強化指定選手の折れてしまったフェンシングの剣を回収し、見延選手の出身地である福井県越前市にある企業「武生特殊鋼材」及び「高村刃物製作所」が再加工。メダルや越前打ち刃物としての再利用を計画しています。

折れ剣を再利用したメダル(上)、包丁(下)


こうした折れ剣を再生する活動について、フェンシングの競技者からは「折れた剣が再生されることで、剣の姿が変わっても、日本代表の戦ってきた魂が新しい形となって引き継がれているような気がして感動した」という声があがっているそうです。

将来的にはフェンシング剣へのリサイクルで、競技人口の増加も期待

折れ剣のリサイクルは、将来的には日本では生産や加工が行われていないフェンシング剣へのリサイクルを目指しています。
通常のフェンシング剣は3万円前後と高価であるため、経済的な理由によってフェンシングをすることに躊躇してしまうことが考えられます。しかしながら、剣の再生が実現すれば、フェンシングの練習や体験等で安価な剣を作ることができる可能性もあるため、競技人口の増加も期待ができます。
「折れ剣再生プロジェクト」では、今後活動を発展させ、多くの社会分野と接点を持つことで、地域振興や文化振興、産業発展、教育などに繋げていくことも見据えています。

越前市で開催されたイベントで授与されたメダル



競技に携わるアスリートの想いから実現したプロジェクト。いつまでもスポーツを楽しめることができる持続可能な社会の実現に向けて、さまざまなスポーツ分野で取組みが始まっています。