ヴォレアス北海道

スポーツを楽しむことができる持続可能な未来に向けて。
ヴォレアス北海道のサステナブルアクション。

2023.1.10

ヴォレアス北海道

北海道旭川市をホームとする、男子プロバレーボールチームのヴォレアス北海道。ホームゲームを運営する中で、地球環境の保全のみならず人々の健康維持に対して課題を感じ、2021年に課題解決に向けた「VOREAS GREEN DEAL宣言」を発表しました。
この宣言を通して、「経済を良くする環境活動」と「環境を良くする経済活動」を推進するヴォレアス北海道の取組みを紹介します。

持続可能な応援グッズを開発する「ハリセンリユースプロジェクト」

バレーボールを始めとするアリーナスポーツに欠かせない応援グッズであるハリセン。一般的には、強度を保つためにプラスチック加工が施されており、リサイクルやリユースが難しく、使用後はほとんどが可燃ごみとして処分されています。
ヴォレアス北海道を運営する株式会社VOREASは、こうした状況に疑問を感じており、2021年から「ハリセンリユースプロジェクト」をスタートしました。
応援グッズとして制作するハリセンの素材をリサイクル可能な素材にすることで、プラスチック加工を排除。リサイクルやリユースに対応できるものとしました。

リサイクル可能な素材を使用したハリセン

リサイクル可能な素材を使用したハリセン

地域の就労支援施設との連携によるリサイクルグッズの開発

ハリセン使用後は、会場に設置したボックスで回収。回収したハリセンは、オフィシャルパートナーである地元の新聞社と連携し、用途のなくなった新聞紙と組み合わせることで、ショッピングバッグを制作して再利用しています。

新聞紙と組み合わせたショッピングバッグ

新聞紙と組み合わせたショッピングバッグ


またショッピングバッグの組み立て業務は、地域の高等支援学校と就労支援施設に委託。職業訓練の場を提供することで、障がい者雇用への貢献を目指しています。

ハリセンのリサイクルによるショッピングバッグ制作のフロー

ハリセンのリサイクルによるショッピングバッグ制作のフロー


その他にも、リユースしきれないハリセンは古紙回収としてリサイクルし、その一部は、新たな紙製品や新聞として活用されています。こうして、地域のパートナーとの連携によるハリセンの製造、回収、再利用を実施することで、シーズン中でハリセン可燃ごみ約600kgの削減を見込んでいます。

地域に根差したスポーツチームとして、持続可能な環境と経済を目指して活動を推進するヴォレアス北海道。活動の指針である「VOREAS GREEN DEAL宣言」や今後の取組みについて、株式会社VOREASの木下さんに話を聞きました。

小さくても繰り返して継続できるアクションを大切に

―「VOREAS GREEN DEAL宣言」を発表する経緯や背景について。

スポーツは一般的に、「健康的」で「クリーン」なイメージがありますが、現実的にはそうではない部分が多くあることに違和感を抱いたことが発端です。
イベントを通して排出される大量のゴミ(飲食物の容器、会場設営に用いられる資材等)は、スポーツの「クリーン」で華やかなイメージの裏に隠れてあまり知られておらず、「健康的な」スポーツイベント会場では、大量の砂糖、添加物を使用したドリンクやスナック類が当然のように提供されています。
このような背景があり、地球環境やサポーターの健康をないがしろにした経済活動を続けることは、スポーツチームとして正しくないと感じました。そこで、「『地球環境』と『ヒトの健康』の両方を守り、誰もが安心してスポーツを楽しむことができる未来」「我々が残すべき持続可能な未来」のために活動する指針としてVOREAS GREEN DEAL宣言を発表するに至りました。

―今後の取組みについて。

過度な環境活動は経済合理性に欠き、負担になることで長続きしないのではないかと考えています。脱炭素や環境支援の世界的な主流は「FAST SOLUTION」となっていますが、こういった早い変化に対応できるのは少数の経済的に強い組織や個人のみであり、その他大勢は変化に対応しきれず取り残されていってしまうのではないでしょうか。
我々は、どれだけ小さいアクションであっても繰り返して継続していくことを重視しています。具体的な取組みとしては、石油燃料の使用量を10~20%程度削減する効果のある液体燃料触媒の販売にも力を入れています。現在の経済活動にブレーキをかける(資金的に大きな負担になってしまう)ことなく、継続していける環境活動を皆様にお届けできるよう、今後も精力的に活動していきます。

ヴォレアス北海道が販売する液体燃料触媒「SLOW」

ヴォレアス北海道が販売する液体燃料触媒「SLOW」


またホームゲーム会場での新たな取組として、パートナー企業の株式会社旭川一般廃棄物処理社と共同で、ごみの分別に関する企画を実施します。ホームゲーム試合会場内のごみ箱に「プラごみゼロ」に向けた捨て方のデザインを施すことで、サポーター及び市民全体に「プラごみゼロ」の意識づけを行うことと、簡単なことからVOREASの環境活動に参画いただくことを目的としています。ごみを捨てる、という日常行動に1つ意識づけを行い、日々の生活にちょっとした変化を与えることが、我々が実現していきたいと考える「誰も取り残さない環境活動」であり、こういった活動が積み重なることで地球環境に良い影響を与えられるということを今後も積極的にアピールしていきます。

ヴォレアス北海道のホームゲーム会場に設置されるデザインごみ箱

ヴォレアス北海道のホームゲーム会場に設置されるデザインごみ箱



これからもスポーツを楽しめる環境を持続するために、地域をより良くするために、目標を掲げてさまざまな取組みを推進しているスポーツチームもあります。機会があれば、スポーツチームと一緒にできることから取り組んでみてはいかがでしょうか。