地球温暖化防止コミュニケーター

記録づくめだった2018年の天候

2019年3月6日掲載

2018年は、その年の世相を表す漢字に「災」が発表されたように、大きな気象災害が多く、気象的に「記録にも記憶にも残る年」となりました。

2018年の主な出来事

主な出来事を挙げてみると、
○ 2月 北陸地方で昭和56年豪雪(1981年)以来の記録的大雪
○ 3月 高知で全国統計史上(1953年以降)最も早い桜(ソメイヨシノ)の満開
○ 3月〜5月 春の平均気温が東日本で統計史上(1946年以降)1位の高温
○ 6月 関東甲信地方で統計史上(1951年以降)最も早い梅雨明け
○ 7月 平成30年7月豪雨
○ 7月 埼玉県熊谷で41.1℃ 歴代全国最高気温更新
○ 6月〜8月 夏の平均気温が東日本で統計史上最高
○ 9月 台風21号、24号で記録的暴風・高潮発生
このように、どの季節にも極端な現象が発生し、社会的にも大きな影響を与えました。

地域平均平年差(比)の経過(2018年)
(出典)気象庁「2018年日本の天候のまとめ」(※1)

西日本では、豪雨により各地で土砂崩れが相次いだ一方で、梅雨明けが早かった関東では、夏を通して少雨状態が続きました。
全国的に記録的な高温となった7月には、「災害級の暑さ」という言葉が注目を浴び、その後8月から9月にかけても猛暑が続き、熱中症搬送者数が過去最高の9万人を超える(※)という事態になりました。
さらに、非常に強い勢力の台風が襲来して、近畿地方などで猛烈な風や過去最高の高潮により、大きな被害が出ました。
まるで「2100年未来の天気予報」の内容のような状況となったわけです。

中でも、一年を通して見ると、春から夏、さらに秋から12月にかけて、長期間気温が高かったというのが特徴で、一年間の気温の平年差を見ても、3月以降、平年を大きく上回った期間が大半を占めていたのが明白です。2018年の日本の平均気温の基準値(1981〜2010年の30年平均値)からの偏差は+0.68℃で、1898年の統計開始以降、6番目に高い値となりました。

(※)2018年5月~9月の熱中症による救急搬送数

(出典)気象庁「2018年日本の天候のまとめ」(※1)

東日本の平均気温

また、地域的に見ると、特に、東日本で平年差が大きく、年平均気温として、1946年の統計開始以来最も高くなりました。この東日本での顕著な高温の一例としては、夏に41.1℃を記録した埼玉県の熊谷をはじめ、40℃以上を記録した地点(10地点)が、全て東日本の地点だったことが挙げられます。
また、夏以外でも、10月に、新潟県の三条で10月として歴代全国1位の36.0℃を記録した他、東京の練馬でも過去初めて12月に夏日を記録するなどしています。

(出典)気象庁HP歴代全国ランキングのデータを元に作成(※2)

日本の最高気温更新の推移

夏の記録的猛暑の要因の一つに、地球温暖化による気温の上昇傾向が挙げられます。これまでの日本の最高気温の更新の経緯を見ると、1933年に山形で記録した40.8℃は長い間更新されることなく、74年後の2007年に熊谷と多治見が更新しました。その後はすぐ6年後の2013年に高知県の江川崎が更新し、さらに、そのわずか5年後の2018年に、熊谷が更新したことになります。
このことからも、気温上昇の傾向が、近年さらに強まってきていることがうかがえます。

さらに気象庁は、2018年は春以降、北半球中緯度域で対流圏の気温が全体的に顕著に高いことが、記録的な高温に影響していて、その一因としては北半球熱帯付近の海面水温が平年より高いことを挙げています。また、7月の西日本の豪雨についても、「地球温暖化の寄与があったと考えられる」としています。

もちろん、2018年に起こった一つ一つの現象については、この他にも、気圧配置や偏西風の流れなど、個々に違った要因がありますが、常態的にベースの気温が高かったということが、「過去に何回かはあった猛暑や大雨」を、「過去に経験したことのないような記録的猛暑や豪雨」というレベルにまで押し上げてしまったという可能性が、十分に考えられます。
そういう意味では、2018年という年は、将来、温暖化が進んだ時に、さらに激しさを増す未来の気象が現れ始めた年と、言えるのかもしれません。
今後、地球温暖化防止コミュニケーターとして、気象への温暖化の影響を伝えていく上で、改めて考えさせられる一年となりました。

【参考資料】
(※1)http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/stat/tenko2018_besshi.pdf
(※2)https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/rankall.php?prec_no=44&block_no=47662&year=&month=&day=&view=

今村 涼子(いまむら りょうこ)
地球温暖化防止コミュニケーター・トレーナー
気象予報士/NPO法人気象キャスターネットワーク理事
テレビ朝日「スーパーJチャンネル」に出演中

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