日本の住宅では昔から1つの部屋に1つの照明器具を設置するという「一室一灯照明」という方式が一般的でした。これは、部屋全体を照らすための照明器具を、部屋の中央にひとつ置いたスタイルです。しかし近年、省エネや住宅様式の多様化の関心が高まるにつれ、ワット数を抑えた灯りを分散させ、部屋の必要な箇所だけを照らす「多灯分散照明」という方式が採用されるようになっています。
「多灯分散照明」とは、ダウンライトやペンダントライト、スタンドなど、低ワット数のさまざまな照明器具を室内に分散させて配置する方式です。食事や読書、ホームシアターなど、生活シーンに合わせて照明の組合せを自由に変えることができるので、暮らしに最適な光環境を容易に創造することができます。また、消費電力の少ない複数の照明器具を生活シーンに合わせ、必要なだけ点灯すれば、快適性を増すと同時に電気代の節約にもなり、結果としてCO2の排出を減らすことができます。
部屋が常に一定の明るさで必要のない場所まで照らしてしまうので、電気代の浪費につながり、生活シーンに合わせた照明演出が出来ません。
一室一灯照明は、生活に必要な明るさを確保することが目的のため、部屋にまんべんなく明かりが行き届くように設定されます。裏を返せば、生活のシーンによっては「ムダな明るさ」を生む原因になりエネルギーの浪費にもつながるのです。また、同じ光環境しか提供できないので、食事やだんらん、くつろぎの時間など、生活シーンに合わせて照明演出を変えることもできません。
料理をおいしく見せ、食卓を明るい雰囲気にするために、テーブル上部のペンダントライトを点灯。さらに、室内に極端に暗い場所ができないよう、ダウンライトが全体をやさしく包みます。テーブルと室内の適度なあかりの濃淡が、楽しく食事に集中できる光環境をつくり出します。
必要な場所だけをやさしく照らし出し、リラックスした雰囲気が、くつろぎの時間を演出します。
リビングに家族が集うだんらんのひとときは、照明器具を室内に適切に配置した多灯分散照明なら、ソファーで新聞を読んだり読書をしたりするにも、フロアで小さなお子さんが自由に遊ぶにも、最適な明るさにできます。室内全体を適度な明るさに包むことで快適な空間が生まれます。
一人あるいは二人でくつろぐときには、ソファーのまわりだけを適度に明るくすることで、くつろぎ感を演出します。壁を照らすブラケットや床置き照明でリラックスできる落ち着いた室内環境を作ります。
このように、一室一灯照明で部屋全体を照らすよりも、ワット数を抑えた照明を分散することで、必要のない箇所の照明を抑えることができます。食事、読書、くつろぎなどシーンに合わせて必要な照明を点けたり消したりできるので、無駄な消費電力も減ってエコな暮らしに繫がり、CO2削減による地球温暖化対策にも貢献できます。
あなた家でもぜひ、省エネ効果のある多灯分散照明をご検討ください。
画像提供:日本照明工業会