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平成29年3月7日(火)〜10日(金)に東京ビッグサイトにて開催された国際照明総合展「ライティング・フェア2017」(主催:(一社)日本照明工業会、日本経済新聞社)で、気になった新製品やサービスを建築士&照明コンサルタントの江口惠津子さんとともにチェック。PART1では「家庭生活の中のLED照明」を紹介しました。PART2では「オフィスや店舗のLED照明」をテーマにレポートします。

〝高演色〟で店舗照明のLED化を加速

「今回のライティング・フェアでは、食べ物をよりおいしく見せる、洋服の微妙な色彩をよりしっかり見せるなど、商品の見せ方にこだわったLED照明が豊富に展示されていました。 照明で物体を照らすときに、自然光が当たったときの色をどの程度再現しているかの指標を〝演色〟と言いますが、その色の再現効果が高い〝高演色性〟のLED照明は、店舗の売上に大きく寄与する場合もあります。経営者の方にぜひ知っていただきたい情報です」(建築士・照明コンサルタントの江口惠津子さん)

自然光に近く物本来が持つ色味を忠実に再現するLED照明の他に、赤色を際立たせて精肉がよりおいしく見えるLED照明、青みを加えて鮮魚をより新鮮に見せるLED照明など、バリエーション豊かな高演色LED照明が提案されていました。演色性が高くなることで消費電力が高くなっては困りますが、いずれも消費電力は以前のまま。しっかり省エネできるので安心です。

色の見え方の違いを熱心に観察する江口さん

さらに、〝色温度〟と〝色偏差〟の組み合わせで好みの光の色にできるオーダーメーイドLED照明も登場。〝色温度〟は暖色系〜寒色系の光色を表し、〝色偏差〟は色調の偏りを表します。同じ色温度でも、色偏差によって見え方が違ってきます。
これまでの演出用照明器具では、白色や電球色など限られた色温度の中での選択で、色偏差の選択はできませんでした。同じ色温度でも色偏差によって光の色が異なり、空間イメージを変えることができます。
これにより、ハロゲンランプなど従来の白熱灯と同じ光色をLED照明で再現することも可能になります。色の見え方がデリケートなアパレル商品の照明や、こだわりの空間づくりなどに活躍しそうです。

左は緑がかった光、中央は一般的な光、右は赤みがかった光で微妙な違いを実現

「店舗の雰囲気作りや、商品の見え方にこだわる方の中には、これまでのLED照明の光では物足りず、昔ながらの白熱灯や蛍光灯を好む方も少なくありませんでした。でも、高演色性で消費電力は低いLED照明が登場したことで、そういう方々も店舗にLED照明をぐっと取り入れやすくなるのではないでしょうか」(江口さん)

「照明で物を効果的に見せるのとは違いますが、天井に取り付けるパネル型LED照明も光による演出の1つと言えるでしょう」と江口さん。
美しさや爽快感をイメージさせる空の表情をモチーフとしたLED照明で、光のグラデーションで青空や夕焼け空などのイメージを天井に表現します。シーンにあった開放感やリラックス感を演出でき、すでに病院などに導入されているそうです。

「LED照明なので省エネ・節約になるのはもちろん、取り替えなどの手間も軽減できます。どんどん店舗やオフィスの空間演出が手軽にできるようになっていきますね」(江口さん)

照明パネルの色は時間に合わせて変化するように設定可能

無線やタブレット活用で導入しやすくなった照明制御システム

LED照明にはセンサや無線制御システムなど、省エネをサポートする便利な機能が容易に付加できます。これを上手に活用することで効率的に省エネ・節約ができ、作業効率もアップします。
たとえば、スーパーであれば特売コーナーを目立つように明るくしたり、オフィス環境であればデスク回りは窓からの光を利用したりして照明は最低限の明るさに保ち、廊下は人が通るとき以外は暗くしておくなど。

ライティング・フェア2017では、こうした照明制御システムをより手軽に簡単に導入できる仕組みも提案されていました。

その1つがLED照明器具1台ごとに無線で制御指示を受信する超小型無線モジュールを内蔵させ、ひとつのタブレットで照明のオンオフだけでなく、照度(ある光源によって照らされている面の明るさの度合い)まで個別に手元のタブレット端末で調整できるシステム。時間や状況にあわせてきめ細かく変化・対応させられるのが特徴です。

照明制御システムの紹介パネル

また、新たにこの分野に参入する企業も登場しています。各社とも独自の通信方式により壁などの障害物の影響を受けずにスムーズにコントロールできるのが特徴。タブレット、スマートフォン、パソコンから照明のオンオフや調光が簡単にできます。

「いずれの照明制御システムも無線を利用しているので、天井裏の大掛かりな配線工事が必要なく、既存の電源配線を利用して導入できるのが魅力です。
照明制御システムは、大きな企業や店舗では、すでに取り入れているところもありますが、中小企業や小さな店舗ではまだまだ使われていません。より手軽に簡単に導入できるようになることで中小企業にも広く活用されれば、大きな省エネ効果になるでしょう」(江口さん)

次世代の高効率照明〝有機EL〟製品も登場

有機材料に電気を流すことで発光する〝有機EL(ElectroLuminescence)デバイス〟は、「きれい」・「薄い」・「面状発光」という極めて優れた特徴を持つことから、これまでの照明に代る画期的な照明光源としての実用化研究が、多数の企業で展開されています。
ライティング・フェア2017では、この有機ELを活用した製品も紹介されていました。

たとえば、有機ELパネルの上に和紙を貼った障子やインテリアスタンド。曲げることができる最新のフレキシブル有機ELパネルも展示され、多くの人が関心を寄せていました。

背景の障子は有機ELを使用。手に持ったパネルは自由に曲げられるフレキシブル有機ELパネル

さらに、独自技術によって発光部分の光色・形状や透明領域を自由にデザインできる有機EL製品シリーズも登場。色が次々に切り替わるインテリアスタンドや、パネルを組み合わせた照明などいずれもユニークで、有機ELの持つ可能性の広さを感じさせます。

平面を重ねることで奥行きを生み、見る角度で
さまざまな表情を生むベッドサイドランプ
パネルを組み合わせたユニークなデザインの照明

「有機ELは面状発光なので、これまでの照明とは全く違うデザインや使い方ができます。曲げることができれば柱などに貼り付けたり丸めたりすることも可能で、用途はさらに広がりそうです。消費電力はLED照明と同じくらい低いので、省エネを実現する新しい照明としてこれからも注目していきたいですね」(江口さん)

ライティング・フェア2017には4日間で約7万以上もの人が来場しました。強い関心が寄せられていることがわかる、熱気あふれるフェアでした。
LED照明をはじめとする省エネ技術は、日々進化しています。ぜひ最新情報をチェックして、店舗やオフィスの省エネ対策に役立ててください。

取材協力:東芝ライテック、パナソニック、遠藤照明、アイリスオーヤマ、NECライティング、住友化学

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