長崎県はびわの栽培が大変盛んで、その生産量は年間1,050t(平成29年 JA長崎資料参照)全体の約31%を占め、全国第1位を誇る。しかし、その裏側で規格外品として商品価値がなく廃棄されているものが、ハウスびわでは約20%、露地びわでは約50%を占めている。そこで、この規格外びわを有効活用できれば生産者の方々の悩みを解消できるのではないかと考えた。
規格外びわを有効利用したカステラの商品化については、平成30年6月1日に実現し、現在も継続して販売されている。また果皮・種子・葉の利用はその成分を抽出し抗菌性を探り、利用できる可能性を見出した。普及・啓発活動は地元のイベント3カ所及び福岡天神ソラリア、東京新橋での長崎県産品フェアー、農林水産省でのPR活動を行っている。
びわは剥皮すると空気中の酸素とびわ果実内の酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)が反応し、褐変化現象が起きる。製菓に用いるため果実の褐変防止と長期保存方法の確立を図り、びわの規格外品を有効活用すること、そして、新商品を開発することを目標に様々な実験を繰り返し行った。
カステラの製法は、パウンドケーキなどの洋菓子と比較して、製法が複雑で容易に生地を完成させることはできなかった。特に焼成後のカステラ生地が、ふわふわした食感の蒸しパンのような生地の仕上がりにしかできなかった。カステラ独特の「しっとり感」を持たせる方法が非常に難しく、苦労の連続であった。カステラの専門業者の助言を何回も受けながら取り組んだ。
今回、プロダクツリーダー部門で優秀賞を受賞することができてとても光栄です。
私たちは、傷が付いたり、商品として価値が無く、規格外として大量に処分されているびわ農家の想いをどうにかしたい、という思いからこの研究を始めました。『びわカステラ』を商品化するまでには多くの試作を重ね、やっとの思いで完成させることができました。
今回の受賞は、私たちの今までの努力を認めていただいたと思い嬉しく思いました。今後も長崎県で処分されている農産物を用いて私たち高校生にしかできない商品開発を行い、地球環境を少しでも改善できるように努力していきたいと思います。
長崎県立諫早農業高等学校
食品科学科2年 濱崎莉未・森凪沙