「COOL CHOICE チャレンジ~地球温暖化対策を実践する1週間~」では、地球温暖化の現状を知り、
省エネ・低炭素型の製品への買換え・サービスの利用・ライフスタイルの選択などの「賢い選択」を
広く国民や企業の皆さまに実践していただくことをお願いしています。
本サイトでは地球温暖化対策の取組を促進するため、
先進的な取組をしているエコ・ファースト認定企業とSBT認定企業の事例をご紹介します。
ぜひ実践していただくための参考にしてもらえたらと思います。
「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、大成建設はグループ会社と共に持続可能な「環境配慮型社会」の実現に向けて積極的に取り組んでいます。2018年度にはパリ協定発効やSDGs採択等、国際的な流れを受けて中長期目標「TAISEI Green Target 2050」を改定。2050年度までに「CO2排出量80%削減(1990年度比)」等、高い目標達成のために、全社で取り組むための施策を次々と実施しています。
今回の取材にご協力いただいた方:
環境本部 企画管理部 環境経営推進室長 高橋工さん
1990年代から省エネを含むさまざまな環境配慮活動に取り組んできた大成建設では、2013年に掲げた中長期目標「TAISEI Green Target 2050」を2018年に見直しました。4つのテーマで2050年までの目標を設定し、持続可能な「環境配慮型社会」の実現に向けた取組に挑戦しています。
「大成建設は総合建設業として、国内外でさまざまな社会インフラの構築や建物の建設を行っています。その数は、年間約2,000件。そこでは多くの人々が建設作業に関わっています。建設作業所に配属される社員だけでも全社員の半数となる約4,000人、共に従事する協力業者の方々も含めると数万人規模になります」と語るのは、大成建設で環境経営推進を担当している高橋さん。
これだけの規模を誇る同社においての最大の課題は、作業所で従事する一人一人が環境配慮活動の意味や目的に気づき、取り組みやすい環境をどのように作っていくか。
「全ての建設作業所で環境方針や環境目標を掲示していますが、環境目標達成への取組を “何のためにやるのか”“ 何をすればよいのか”自分の業務に“どのような効果やメリットがあるのか”といった点を分かりやすく伝えて、理解してもらうことが大切です」(高橋さん)
社員一人一人が普段から高いモチベーションを維持しながら、環境配慮活動に取り組める体制や環境づくりを2018年から推進しています。
まず、年度の環境目標達成に向けた「目標達成の手引き」という簡単な冊子を作成しました。これは工事や設計、営業、技術など各領域の部門で具体的にどのような取組を行うと、どのような効果があるのかを分かりやすくまとめたもの。
「例えば『エコドライブ・アイドリングストップで燃費が10%向上』といった分かりやすい取組例を伝えます。そしてそれがコスト削減、工期の短縮、生産性の向上につながり、自分の業務にも大きなメリットがあることを理解してもらうのです」と語る高橋さん。
また表彰制度についても、他の模範となるような継続的な工夫や努力、挑戦的な試みを広く評価する新たな賞を加えることで、高いモチベーションを維持できるようにしました。
本社や支店、そして数多くの建設作業所の社員一人一人が環境配慮活動の重要性を認識する機会づくりの一環として、大成建設では年2回、環境をテーマにしたeラーニングを実施しています。また、全国各地の支店に出向いて支店幹部や建設作業所のトップである作業所長を対象に環境目標や表彰制度に関する説明会を開催し、さまざまなレベルの社員が高い意識を持ち環境配慮活動に取り組めるように地道な啓発活動を実施しています。
2018年9月から、全ての建設作業所でより一層の環境負荷低減に向けた活動を推進する取組、TAISEI Sustainable Actionがスタートしました。これは、会議でのペーパーレス化から仮設照明のLED化、ハイブリッド型重機の使用や再生可能エネルギーの利用といったさまざまなレベルの取組を実施するというもの。
「大成建設が事業活動を通じて排出するCO2排出量のうち、建設作業所内の重機や車両などの燃料や電力使用による工事で発生する割合は90%以上を占めています。CO2の削減には、当社の取組努力だけでなく資機材メーカー等による建設機械の燃費改善といったサプライチェーンと連携した取組や顧客の理解、つまりバリューチェーン全体での COOL CHOICEの推進が今後ますます重要になってくると思います」(高橋さん)
大成建設が取り組む環境配慮活動において、最も重要なことは社員一人一人にとって「取り組むことが、自分の業務のメリットにつながる」ということを分かりやすく伝え、啓発し続けること。そして、自分事として普段の業務の中でどんどん環境配慮活動に取り組めるようになることが、大成建設が目指す2050年目標の達成、すなわち、持続可能な「環境配慮型社会」の実現に近づいていくことなのです。