COOL CHOICE チャレンジ COOL CHOICE チャレンジ

~地球温暖化対策を実践する1週間~

2018年11月26日~12月2日

「COOL CHOICE チャレンジ~地球温暖化対策を実践する1週間~」では、地球温暖化の現状を知り、
省エネ・低炭素型の製品への買換え・サービスの利用・ライフスタイルの選択などの「賢い選択」を
広く国民や企業の皆さまに実践していただくことをお願いしています。

本サイトでは地球温暖化対策の取組を促進するため、
先進的な取組をしているエコ・ファースト認定企業とSBT認定企業の事例をご紹介します。
ぜひ実践していただくための参考にしてもらえたらと思います。

SBT認定取得
日本郵船株式会社2019.01.29

運航データの「見える化」で
全社員が自発的に改善活動へ
IoTを駆使して約800隻の運航データを
全社員が共有・活用する取組

システムイメージ図

事業活動全体のCO2排出量の実に9割以上が、船や航空機による輸送関連で占める日本郵船では、早くから燃費向上などによるCO2削減に取り組んできました。大きな転機となったのは2008年に運用を開始した独自のシステム。運航データの「見える化」を実現することで、全社員の環境・燃費・コスト削減対策に対する意識が大きく高まりました。

今回の取材にご協力いただいた方:
環境グループ環境推進チーム 松尾知樹さん/大場美紗子さん

2008年に運用開始した船舶パフォーマンスマネジメントシステム「SIMS」

海・陸・空を結び世界中の物流を支えている日本郵船は、世界の海を舞台に現在、約800隻もの大型貨物船を運航しています。その分、化石燃料を消費する量も多く、事業活動全体に占める船や航空機由来によるCO2排出量の割合は、9割以上にも上ります。

そのため早くから船舶を中心に、燃費向上などによるCO2削減活動を推進してきました。
そして今につながる大きな転機となったのが2008年に導入した、船舶パフォーマンスマネジメントシステム「SIMS」です。
※SIMS(Ship Information Management System):船上のさまざまなデータ(燃費・スピード・エンジン関連)をリアルタイムで計測、そのデータが陸上のデータセンターに定期的に送信され、省エネ・安全運航を実現するために必要な情報を提供するシステム。

「IoTなど情報技術の発展によって実現したこの『SIMS』を活用することで、毎時間の詳細な運航状態や燃費データを船と陸でリアルタイムに共有できるようになりました」と話す松尾さん。刻々と変化する気象・海象における、本船毎の運航データを見える化し、さまざまな視点から比較・分析することで状況に応じた最適な運航スピードや運航ルートとなる「ベストプラクティス」が分かるようになってきたと言います。

「SIMS」の陸側ビュワーの画面
「SIMS」の陸側ビュワーの画面

燃料節約の効果を数字で実感。
成功事例を共有し、全社で環境対策の実践が進む

SIMS導入による運航データの見える化は、その後の日本郵船のCO2削減に大きな効果を発揮しています。これまで2008年・2011年・2014年と数年おきにCO2削減目標を掲げてきましたが、それぞれの目標値を上回る削減率を達成。2018年度に発表した新たな削減目標はSBT認定も獲得し、SIMS導入から10年以上を経た現在も、全社員が高い意識を持って船舶の燃費向上によるCO2削減活動に取り組んでいます。これほど社員にCO2削減活動が深く定着しているのには、大きく2つの理由があります。

1つ目は、実際に船舶に運航指示を出す「陸の若手オペレーター」の存在。「オペレーターたちは、SIMSで得たさまざまなデータを独自に分析し、気象・海象に合わせた最適なスピードやルート、また潮流を利用した低燃費運航の指示を出しています。それが燃費向上という数字となって効果を実感できるため、達成感や成功体験になって、継続して取り組んでいるのだと思いますね」と松尾さんは話します。

陸の若手オペレーターがSIMSを活用し、船舶に運航指示を出す
陸の若手オペレーターがSIMSを活用し、
船舶に運航指示を出す

2つ目は、「ビッグデータの活用による燃節活動(IBIS : Innovative Bunker & Idle-time Saving)の社内共有」です。若手オペレーターと陸上勤務中の船員を中心に、SIMSで得られたビッグデータを燃費効率やコスト削減、業務改善に役立てていくための社内活動が行われていたものを2013年、「IBIS-TWOプロジェクト」という社内プロジェクトに発展させました。
「若手オペレーターと陸上勤務中の船員や担当役員などが定期的に会議を開いて、SIMSを活用した効果的な燃費削減事例などを発表・共有しています。船種(部門)によって差はありますが、月1回の高頻度で会議を開いているところもあります」と松尾さんは説明します。全体会議で発表された情報は各部門に共有され、全社レベルでベストプラクティスの共有、実践が進んでいます。またSIMSをより便利で使いやすい機能にするための改善提案も出され、すでに2度大規模な機能改善のためのアップデートがされています。

最適運航のためのIBISプロジェクト
最適運航のためのIBISプロジェクト

SBT認定を受けたCO2削減目標達成に向けて、
まずは見える化し継続すること

2018年度に設定した中長期環境目標(2015年度比で2030年度までにCO2を30%削減、2050年度までに50%削減 ※船舶・海上輸送が対象)が、SBTから認定を受けました。この高い目標を達成するために、日本郵船ではIBIS-TWOプロジェクトに代表される燃節活動をさらに活発化していくそうです。その一例として2018年に実施した自動車専用船の運航業務改善社内コンテストには、目標を超える108件の社員からの応募がありました。最後に、全社員を巻き込む環境対策への取組が長年にわたり維持できる秘訣について、松尾さんは「全社員が現状の環境課題を分かりやすく認識するために、まず何らかのデータを見える化して共有すること。そして改善策を検討する活動を地道に継続することで、必ず何かしらのアイデアが次々と出て成果につながる。それがSIMSやIBIS-TWOプロジェクトで得た教訓です」と語ってくれました。

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