エコリフォームは地域の特性を活かして!~山形県の事例より~
住宅には地域性が出る
日本は南北に細長い地形で、北海道と沖縄では気候も大きく異なります。株式会社住環境計画研究所の調査によれば、暖房や冷房の利用によるエネルギー消費量は気候要因などによって、地域差が大きいことがわかっています。
地域の特性を理解して住宅を建てたり、リフォームしたりするには、地域のことを知っている施工業者に相談することが重要です。
今回は、「住まいの温暖化対策やまがた協議会」に、山形県の気候風土に合った住宅建築やリフォームを、地域工務店や専門家と協力して推進している事例を紹介いただきました。
山形県の気候風土
山形県は海岸部と内陸部に大きく分けられ、海岸部は海洋性気候で多雨多湿、内陸部は気温較差が大きく、地域によって、冬季は豪雪、夏季には大雨になりやすい特徴があります。概して、湿り気のある雪が多いのが山形の冬の特徴です。
寒冷地のため、全国の主要都市の中でも灯油や電気の使用量が多く、住宅の断熱性は重要です。
山形県のエコリフォーム ―灯油使用量が少なくなる!
省エネ住宅やエコリフォームの普及啓発のために、2008年に産官学民共同で設立された「住まいの温暖化対策やまがた協議会」の事務局を務める、山形県地球温暖化防止活動推進センター(以下、「山形県センター」という。)の大場センター長に、山形県の地域特性に合ったエコリフォームについて聞きました。
多雨多湿で湿り気のある雪が大量に降る山形県では、結露も起きやすいため、屋根や壁などの断熱に加えて、窓を二重サッシにすることが室温の低下防止だけでなく、カビ発生防止にも効果を上げます。
これらのエコリフォームを施工した場合、灯油使用量が年間2,140リットル、灯油代として年間214,000円削減できるというシミュレーション結果がでました。住宅の断熱性能を高めると健康リスクを下げる効果もあるとの調査結果もあります(※2)から、長く住む住宅ですし、快適な暮らしを手に入れられることは、大きなメリットではないでしょうか。
もちろん、灯油を使用しない場合でも、冬場のエアコンなどの電力使用量を少なくできますし、夏場の冷房に使うエネルギーも少なくてすみます。
また、建材も県産木材を選んで使うと、住宅を建てる際の輸送エネルギーも少なくなり、環境負荷も抑えられます。さらに、地元にお金がまわることで地域での環境と経済の好循環を生みます。
(※1)シミュレーションに用いた住宅概要:2019年工事費相場額(地域区分4(平成28年国土交通省告示第265号別表第10))、床面積141.5m2、灯油代100円/L
(※2)国土交通省「スマートウェルネス住宅等推進調査事業」(2014年~)
山形県の山形エコハウス
「山形エコハウス」というモデルハウスでは、新築を検討される方へも、省エネ住宅の普及啓発を行っています。山形エコハウスは、(1)森林の多い山形県の木材を用いての建築、(2)山形県の気候に合わせた断熱設計による省エネ、そして(3)自然エネルギーである木質燃料の木質ペレットや太陽光発電等を用いるという3つのコンセプトで施工されています
山形ならではの地域性に向き合い、それに見合った住宅のあり方が模索されています。省エネでかつ快適な住宅だからこそ、愛着を持って長く住まわれ、エネルギー消費も抑えることができます。
全国には、地域の特徴に合わせたさまざまな住宅リフォームの支援制度があります。
地方公共団体における住宅リフォームにかかわる支援制度検索サイト(令和元年度版)(外部リンク)
みなさんがお住まいの地域はどのような気候特性か、ご存知ですか? 気候風土に合った建物の省エネを実現するために何が効果的なのか、各地の地域地球温暖化防止活動推進センターや地元の工務店に相談してみてください。
暮らしの基盤、住宅から地球温暖化防止につなげていきましょう。
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