提供:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(公式試合の様子)
地域が笑顔になるために!
B.LEAGUE 名古屋ダイヤモンドドルフィンズが取り組む
社会貢献活動
「ドルフィンズスマイル」とは?
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
地域で活動するプロスポーツクラブは、各地でさまざまな環境活動に取り組んでいます。今回は、愛知県名古屋市にあるBリーグ所属のプロバスケットボールクラブ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの取組みを紹介します。
名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、スポーツの力を活用した「オフコートの3P(スリーポイント)」をコンセプトに、地域への感謝の気持ちとして地域が笑顔になれる社会貢献プロジェクト「Dolphins Smile(ドルフィンズスマイル)」に取り組んでいます。
「Planet(地球を守る)」「People(支援が必要な人に手を差し伸べる)」「Peace(平和・安心安全)」の各分野において、地域社会に根差した社会課題や社会問題の改善に努めることで、ファンやパートナー企業とともにSDGsの達成に貢献することを目指しています。
Planet 分野の活動は当初より注力して活動を実施しており、中でも注目すべきは、2020年12月に日本のプロスポーツの1部リーグに所属するクラブとして初めて署名した「スポーツ気候行動枠組み(Sports for Climate Action Framework)(注1)」に基づく活動です。2021年12月には、COP26以後の新基準(注2)にも署名、Race to Zero(ゼロへのレース)(注3)に日本スポーツ界として初めて正式に参加し、世界の著名クラブと連帯してCO2排出量削減に積極的に取り組んでいます。
(注1)「スポーツ気候行動枠組み」について
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/32129/
(注2)スポーツ気候行動枠組みで定められている5つの原則のほか、1)2030年までにCO2排出量半減、2)2040年までにネットゼロ、をコミットして削減戦略を国連に提出する必要がある。
(注3)世界中の企業や自治体、投資家、大学などの非政府アクターに対して、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを約束し、その達成に向けた行動をすぐに起こすことを呼びかける国際キャンペーン(https://japanclimate.org/race-to-zero-circle/)。各産業分野、国別の公式パートナーを通じて参加が可能で、「スポーツ気候行動枠組み」も公式パートナーのひとつ。
「一緒に取り組もう!!」ファンと一体になった取組を推進
「スポーツ気候行動枠組み」は、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)がIOC(国際オリンピック委員会)と連携してリードし世界のスポーツ界が一丸となって気候変動対策に取り組むもので、IOCや各国オリンピック委員会、各スポーツの国際連盟、NBA(米プロバスケットボールリーグ)やMLB(米プロ野球リーグ)のニューヨーク・ヤンキース、英プレミアリーグ(サッカー)のアーセナルFCなど世界的に著名なプロスポーツクラブも含め270以上のスポーツ団体が署名しています(2022年1月現在)。
「スポーツ気候行動枠組み」では、国連が期待する「スポーツの力」を活用してファンの啓発活動に取り組むことが原則として定められており、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、今シーズンからホームゲームで選手を活用した啓発ポスターを掲出するなどファンへの呼びかけにも努めています。
提供:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(ファンに公共交通機関利用を呼びかけるポスター)
ホームゲームの飲食販売では、脱プラ率80%以上を達成!
「Dolphins Smile(ドルフィンズスマイル)」のスタートとなる取組みとして、2020年からホームゲーム時の飲食販売に使用するカップ等に、環境に配慮した紙製の容器や植物由来原料を25%配合したバイオマスプラスチックカトラリーを使用。この取組みによって、2020-21シーズンは、ホームゲームでの飲食販売における脱プラスチック率(注4)が81.9%となりました。
この取組みは、2020年10月に国連とIOCによる共催で初開催された、スポーツとサステナビリティに関するハイレベルフォーラム「Sport Positive Summit」でも、UNFCCCやFIFA(国際サッカー連盟)やいった著名団体・チームが登壇する中で、日本における先進事例として紹介されました。
(注4)飲食容器として脱プラスチック素材を使用している割合。
提供:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(環境に配慮した容器で提供される飲食)
また、食品ロスの問題にも着目。2020年からは、「食品ロス削減月間」の10月にチームの選手やフロントスタッフから「まだ食べられるけど家庭で余っている食品」を持ち寄り、フードバンク(食べられる食品を寄付してもらい、必要としている施設や団体、世帯へ無償で提供する団体)に寄付しています。
提供:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(所属選手による食料品の寄付)
みんなが笑顔になれるよう、地域で多様な連携を目指して
名古屋ダイヤモンドドルフィンズが推進する社会貢献プロジェクトについて、事業戦略推進グループの須賀さんにお話を聞きました。
写真:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ株式会社 事業戦略推進グループ 須賀さん
社会貢献プロジェクト「Dolphins Smile(ドルフィンズスマイル)」に取り組むきっかけは?
まず、社会性の高いスポーツという事業をさせていただいているプロスポーツクラブとして、ドルフィンズには「スポーツの力」を活用して地域社会に貢献する社会的責任があり、それを全うするために実施しています。
また、2026年に向けたBリーグの将来構想では、世界標準の経営力を目指すなどグローバル戦略を掲げていることもあり、ドルフィンズとしても、行政とも連携しながらグローバル戦略を進めていくこととしています。その中で、ホームタウンである名古屋市は、グローバルスタンダードであるSDGsを最重要な社会課題として取り組んでおり、クラブとしてもSDGsを地域貢献活動における最重要課題として捉え、2020-21シーズンより「Dolphins Smile(ドルフィンズスマイル)」の活動を始動しました。また、経営戦略においても、最重要課題として、経営トップもコミットし様々な活動を展開しています。
「Dolphins Smile(ドルフィンズスマイル)」のコンセプトである「オフコートの3P(スリーポイント)」とは?
Bリーグの社会的責任活動「B.LEAGUE Hope(注5)」でも、オフコートの3Pを掲げており、それに倣ったものです。 SDGsの17のゴールの達成に向けて、SDGsをPlanet, People,Peaceの3つのPにまとめ、3Pのすべての分野でシーズンを通して活動を実施しています。スポーツが持っている力を活用し、チームだけでなくファンやパートナー企業の皆さまも含めたドルフィンズコミュニティが笑顔になれるよう取り組んでいく中で、バスケットボールのスリーポイント(3P)シュートにかけてファンの皆さまに伝わりやすく、楽しく参加していただきやすくするための工夫です。
(注5)2016年のBリーグ開幕シーズンから始動した、Bリーグが実施する社会的責任イニシアチブ。
提供:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(ドルフィンズスマイル活動に参加した子ども達)
社会貢献プロジェクトに対するファンの反応は?
昨シーズンのアンケート調査の結果、気候変動問題に関して、7割以上のファンが「今後はCO2排出の少ない移動手段への変更を検討したい」と回答しました。また、半数近くのファンから「これまで社会貢献活動に参加したことがなかったが、今後は参加したい」といったポジティブな反応をいただいています。
今シーズンから名古屋スポーツコミッションとの共催事業としてドルフィンズアリーナで実施している、SDGsを楽しく学べるクイズラリー型学習アトラクション「ドルフィンズクエスト」にも、多くのファンの皆さまに積極的にご参加いただいています。
今後の取組や目標は?
まず、SDGsの中でも別格とされる気候変動問題に関して、世界のスポーツ界の動きに対応して、具体的なロードマップを策定し、CO2排出量削減に取り組んでいきます。
また、昨年は選手とスタッフでフードバンクへの寄付を行いましたが、2022年はホームゲーム会場で地域住民やドルフィンズのファンにも参加を呼びかけて、フードドライブ(家庭にある余剰食品を回収しフードバンク等を通じて支援を必要とする個人や団体に寄付する取組み)や地産地消の食材を扱うマルシェ(市場)にも取り組めたらと思っています。ドルフィンズというクラブ名にちなみ、生物多様性の観点から地域の様々な団体と連携して活動を実施していきたいとも考えています。
プロスポーツクラブとして、ファンや地域も関わる環境問題に貢献していくとともに、ファンと一体になって社会貢献する機会を創出している名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。
みなさんも応援するスポーツチームと一緒に、飲食で使用する容器の見直しや食品ロスの削減、公共交通機関の利用など、できることから少しずつ未来の地球、そしてスポーツ環境のために取り組んでみませんか。
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(15)スマートムーブ
(18)食材の買い物や保存等での食品ロス削減の工夫
(24)使い捨てプラスチックの使用をなるべく減らす。マイバック、マイボトル等を使う。
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