試合中の齋藤拓実選手

CO2を「見える化」して脱炭素に取り組む。
Jリーグ ヴァンフォーレ甲府の
SGDs活動を紹介します!

2022.1.21

ヴァンフォーレ甲府

2021年4月、Jリーグで初の「SDGs宣言」をしたヴァンフォーレ甲府。

これまでサッカー教室やエコ活動など、さまざまな地域交流活動に取り組んできたことに加え、今後は「持続可能な社会づくり」に向けて、さらに新しい地域経済モデルの開発やイノベーションの創出を目指しています。

今回は、ヴァンフォーレ甲府が取り組む環境活動について紹介します。

クラブとサポーター、売店が一体となって取り組むCO2削減

ヴァンフォーレ甲府は、ホームタウンである山梨県内の企業や団体の協力を得て、2004年から「エコスタジアムプロジェクト」を始めました。それ以来、クラブとサポーター、売店が一緒となってゴミ減量化やCO2削減に努めています。

まずは、スタジアム内での紙コップの使用を廃止し、デポジット方式によるリユースカップを導入。

2006年からはエコステーションを設置してゴミの分別回収に取り組み、2007年からはリユース食器を一部導入。2010年からは「広がれ!小瀬エコスタジアムプロジェクト実行委員会」を立ち上げ、スタジアム内にエコブースを開設し、環境問題やその対策の啓発を進めています

こうした取組の結果の1つとして、2004年から2020年までに累計約99万個のリユース食器が使用されました。これは、同じ量の使い捨て容器を使用した場合と比較すると、約76.4トンのCO2排出量を削減したことになります。

ヴァンフォーレ甲府(スタジアム内のエコブースでの啓発)

提供:ヴァンフォーレ甲府(スタジアム内のエコブースでの啓発)


ヴァンフォーレ甲府は、こうした取組が評価され、日本財団と環境省が実施する「海ごみゼロアワード」(2020年度)において、最優秀賞を受賞しました。


クラブの活動によって排出されるCO2を「見える化」

その他にも、東京都市大学の伊坪徳宏研究室及び一般財団法人グリーンスポーツアライアンスとの共同研究により、CFP(カーボンフットプリント)(注1)を算出、クラブの活動によって排出されるCO2の「見える化」を行っています。

CO2の排出量は、クラブチームの活動だけでなく、オフィスやスタジアム等の施設や来場者の交通移動などのヴァンフォーレ甲府に関わるすべての活動を対象として算出をしています(図表1参照)。

今後は、この評価システムを基に、CO2排出量の削減に向けた具体的な取組を行う予定です。

(注1)CFP(カーボンフットプリント):
商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでの、ライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算

図表1 ヴァンフォーレ甲府の主体別CFP(カーボンフットプリント)の算出結果の割合
(2018年2月~2019年1月)

ヴァンフォーレ甲府の主体別CFP(カーボンフットプリント)の算出結果の割合(2018年2月~2019年1月)

提供:ヴァンフォーレ甲府


スタジアムに増えるゴミがきっかけで、エコプロジェクトをスタート

地域の企業やサポーターと一体になって取り組むCO2排出量の削減。この取組に対する思いについて、ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブSDGs担当の佐々木さんにお話を伺いました。

ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ(SDGs担当 佐々木大喜さん)

写真:ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ(SDGs担当 佐々木大喜さん)

「エコスタジアムプロジェクト」に取り組むきっかけは?

2000年にクラブの経営危機がありましたが、多くの県民の皆さまから応援をいただき、立ち直ることができました。当時、スタジアムに来場してくれるお客様が増えたことは嬉しかったのですが、試合後には溢れるほどのゴミがありました。この状況を目の当たりにした時に、「このままではいけない」と思ったことが取組を始めたきっかけです。

取組にあたって、スタジアムに捨てられているゴミの種類を調べてみたところ、使い捨て容器のゴミが非常に多いことがわかりました。そこで、まずは飲食売店から出されるゴミを減らそうと考え、2004年から「エコスタジアム」の活動を始めました。

ヴァンフォーレ甲府の主体別CFP(カーボンフットプリント)の算出結果の割合(2018年2月~2019年1月)

提供:ヴァンフォーレ甲府(NPO法人スペースふうとの連携によるスタジアム内での環境教育の推進)

今後取り組んでみたい活動は?

東京都市大学伊坪徳宏研究室及び一般財団法人グリーンスポーツアライアンスとの共同研究で築いた知見を基に、CO2排出量を「見える化」するソフトウェアを開発し、特許申請を行いました。

今後は、年間事業活動から生まれるCO2排出量の見える化に関心のあるスポーツ団体や、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)(注2)など世界主要企業の行う開示基準に準じることは難しいものの、CFP(カーボンフットプリント)の算定は行いたい中小企業の皆様と一緒に、CO2など温室効果ガスの排出量削減への行動を地域一体となって進める、ヴァンフォーレ甲府なりの取組をしたいと考えています。

これらの団体や企業における年間の事業活動で排出されるCO2排出量を「見える化」することで、各事業の中で無駄を省ける可能性がある部分が見えたり、生産効率性を向上させる施策を検討するきっかけとしたり、CO2排出量抑制に向けた新たな企業間連携に繋げたりと、ヴァンフォーレ甲府として新しい事業価値を提供できればと考えています。

(注2)CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト):
機関投資家が連携し、主要国の時価総額の上位企業に対して気候変動への戦略や温室効果ガスの排出量の開示を求めるプロジェクト。

地域において、人と人がつながる役割を推進

地域のサポーター・企業・大学との連携、病院や施設の訪問、サッカー教室、幼稚園・保育園の巡回、地域イベントへの参加、介護予防事業、エコ活動などさまざまな地域交流活動を通して「地域に根差したクラブづくり」を推進するヴァンフォーレ甲府。

コロナ禍において、地域との関係が希薄になりつつある状況を危惧し、今後はさらにスポーツを通して地域の人と人がつながる役割を推進していく予定です。


みなさんも地域で活動するスポーツチームと一緒に、ゴミの分別やプラスチック製品の削減など、CO2排出量削減に向けてできることから取り組んでみてはいかがでしょうか。



関連するゼロカーボンアクション30:

(24)使い捨てプラスチックの使用をなるべく減らす。マイバッグ、マイボトル等を使う

(27)ごみの分別処理

(30)植林やごみ拾い等の活動

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