提供:名古屋グランパス(ファンに対するフードドライブ参加の呼びかけ)
食品ロスを削減し、子どもたちを笑顔に!
名古屋グランパスが取り組むフードドライブ活動
名古屋グランパス
名古屋市・豊田市・みよし市をはじめ、愛知県全域をホームタウンとするプロサッカークラブの名古屋グランパス。持続可能な地域・社会づくりの実現に向けて、さまざまなSDGs活動に取り組んでいます。
その中の1つとして、食品ロス削減につながるフードドライブ活動をご紹介します。
ホームタウンの地域課題解決に向けて
名古屋グランパスのホームタウンである愛知県では、家庭での食品ロス発生量は年間で約21.5万トンと推計(2019年度)されています。これを県民1人当たりに換算すると、毎日約78g(食パン約1枚)の食品ロスを出していることになります。
一方で、長引く新型コロナウイルスの影響により、平常時から経済面や生活面での苦労が多いひとり親家庭では、収入の減少や教育費等の出費増加といった課題に直面することが増えています。
(出典)愛知県食品ロス削減サイト
名古屋グランパスは、日頃から地域の学校等でクラブの管理栄養士による食育講座を行うなど、食の大切さを子ども達に伝える活動をしていますが、こうしたホームタウンの家庭における課題を知り、2021年から、家庭で余っている食べ物を集め寄付を行うフードドライブ活動を始めました。
ホームゲーム運営等をサポートしているグランパスボランティアの協力を得て、選手やスタッフ、サポーターに協力を呼びかけることで、食べきれずに余っている食品を集め、地元のNPO法人や社会福祉法人と連携して、ひとり親家庭の子ども達に届けています。
こうしたフードドライブ活動による食品ロスの削減は、CO2排出量の削減にもつながります。
2021年4月に初めて実施した時は、約60組の来場者から、合計で86kg超の食品が集まりました。そして12月に開催した2回目では、約112組の来場者が協力し、合計で129kgの食品が集まりました。回数を重ねるごとにフードドライブ活動が知られるようになり、協力してくれるファンも増えています。
提供:名古屋グランパス(2021年4月29日のフードドライブ活動により回収された食品)
活動に参加したファンからは、「応援しているクラブがこうした取組に協力していることを誇らしく思う」「ファンクラブを通じてもっとたくさんの幅広い年齢層に参加してほしい」といった声が挙がっているそうです。
国内プロスポーツチーム初となる「環境配慮型アルミカップの水平リサイクル」
フードドライブ活動の他にも、名古屋グランパスはさまざまな環境負荷低減に向けた活動に取り組んでいます。
2021年8月に開催されたホームゲームでは、スタジアム内外の飲食売店で「水平リサイクル(注)」の仕組みを活用した環境配慮型アルミカップによる飲料の提供を行いました。飲食売店での飲料提供における「水平リサイクル」の導入としては、国内のプロスポーツチームで初となる取組でした。
(注)飲料用ペットボトルやアルミ缶などの使用済みの製品を回収して資源化し、また同じ製品として再利用するリサイクルの仕組み。
提供:名古屋グランパス(水平リサイクルされたアルミ缶)
2021年10月には、不要となった衣料品の回収をサポーターに呼びかけ、スタジアムに集められた衣料品をリサイクルしてポリエステル樹脂や再生エネルギーとして活用する取組も行っています。
クラブの活動が継続できる、持続可能なホームタウンを目指して
ホームタウンである地域の課題解決に向けた取組を行っている名古屋グランパス。活動に対する思いや今後の取組について、株式会社名古屋グランパスエイト 広報コミュニケーション部ホームタウングループの西村さんにお話を聞いてみました。
写真:株式会社名古屋グランパスエイト広報コミュニケーション部
ホームタウングループ 西村さん
―フードドライブやリサイクルなど、環境負荷低減の活動に取り組むきっかけは?
名古屋グランパスは2020年にSDGsアクション宣言を行い、継続的に様々な活動に取り組んでいます。新型コロナウイルスが、社会、そして私達が活動しているホームタウンに多大な影響を及ぼしたことで、ホームゲームを含めた私達の活動は、安定した、持続可能な社会の上に成り立つものだと再認識することとなりました。
今後、10年、20年、30年、それ以降も、名古屋グランパスが継続してホームタウンで活動していくため、そして日頃からサポートいただいているホームタウンが持続可能な社会となるようという思いで、活動を始めました。
―環境負荷低減の活動に対するファンや地域住民の反応は?
スタジアムやオフィシャルショップに、パソコンや衣料品のリサイクルボックス設置や、試合時にフードドライブのブースを出していますが、多くの方からご理解とご協力をいただいています。
フードドライブでは、選手からも食料品の寄付や、SNSでの告知にも前向きに協力してくれました。メッセージ付きの食料品を寄付いただいたサポーターもいらっしゃいました。また、日頃からホームゲーム運営をサポートいただいているボランティアの皆さんも、ブース運営から集まった食料品の仕分けまで一緒に活動をしてくれました。
また、グランパスの取組だから参加したという声もいただいており、ファンやサポーターから信頼いただいていることを実感するとともに、責任感を持ってこのような活動を続けていきたいです。
―今後の取組や目標は?
国では、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことが宣言されています。名古屋グランパスも、社会の一員であることはもちろん、Jリーグクラブは「公共財」として捉えていただいている側面もありますので、クラブとしての活動だけではなく、地域の課題解決や盛り上げ、お困りごとがあればクラブにお声掛けいただき、クラブを使っていただきながら行政や地域の皆さんと活動を拡大していきたいです。
クラブとしては、自治体や企業等と連携し、ホームゲームでCO2フリーマッチの実施や、パソコンや携帯電話のリサイクル活動も行っています。こうしたSDGsの取組は継続していくことに意義があると思いますし、多くの方のお力もお借りしながら、新しい取組も含め推進していきます。
家庭で食べきれずに余っている食品を、必要としている人たちへ提供するフードドライブ活動は、「もったいない」を「ありがとう」に変える社会貢献活動といえます。またゴミの廃棄コストやCO2排出の削減にも繋がります。
みなさんも身近で活動するスポーツチームとともに、できることから一緒に取り組んでみませんか。