日本の豊かな四季を守り未来へつなぐために。
脱炭素社会に向けた白馬八方尾根スキー場の取組み。
白馬八方尾根スキー場
日本が誇る国際山岳リゾートであり、1998年の長野冬季オリンピック会場にもなった白馬八方尾根。八方尾根開発株式会社(長野県北安曇郡)が運営する白馬八方尾根スキー場は、最長滑走距離8,000m、16コースを有する広大なゲレンデと北アルプスの大パノラマが訪れた人を魅了する国内最大級のスキー場です。
しかしながら、近年は温暖化の影響により、白馬村の降雪量は減少傾向にあり、白馬八方尾根スキー場でも、標高の低いコースをオープンするための十分な雪を確保することが困難になっている影響を受けています。
白馬村の平均気温の推移(上)と年間降雪量の推移(下)
こうした事態を受けて、八方尾根開発では、これからもスキーを楽しむことができる環境を守り、未来へと受け継ぐために「持続可能な開発目標(SDGs)」に取り組んでいます。
今回は、八方尾根開発が運営する八方尾根スキー場のさまざまな取組みを紹介します。
リフト券の再利用によってプラスチック削減を推進
白馬八方尾根スキー場のリフト券(キーチケット)はプラスチック製であり、オンラインでチャージ購入することによって、再度利用することができます。一方で、今後の利用予定がない利用者に対しては、スキー場内に設置した回収ボックスでのリサイクルを促しています。
回収したリフト券は、データを消去し、消毒をして再利用することでプラスチックを削減できる仕組みとなっています。
スキー場に設置された使用済リフト券の回収ボックス
多大な電力を消費するスキー場の再生可能エネルギー化を推進
持続可能な開発目標に向けて、さまざまな取組みを推進する八方尾根開発。近年はスキー場の再生可能エネルギー化に注力しています。
白馬八方尾根スキー場では、2020年2月に初めてリフトを再生可能エネルギー100%で運行しました。その後もスキー場にあるリフトの使用電力を順次切り替え、2022年4月にはスキー場内にある22基のリフトのうち、16基が再生可能エネルギー100%で運行しています。また、降雪機関連やゲレンデ内レストランの一部の電力も再生可能エネルギーへ転換しており、リフトと降雪機でそれぞれ約500トン、合計で1,000トン以上のCO2排出量の削減を実現しています。
再生可能エネルギー100%の電力を使用しているスキー場最上部のリフト
これまでスキー場では人工降雪機で雪を作り、リフトを動かすことで多くのCO2を排出してきたこと、またスキー場を運営するためには多大な電力を消費しているということに着目し、リフト等で使用する電力についてCO2を排出しない再生可能エネルギーへの転換を推進しています。
未来を担うこどもたちと環境保全や気候変動問題を学ぶイベントの開催
スキー場に雪があるのは、もはや当たり前ではなくなっています。また、スキー人口も年々減っている中で、「雪あそびの楽しさ」を味わってもらうとともに、このたっぷりな雪が当たり前でないことを、未来を担うこどもたちに伝えていくことを目的としたイベントをスキー場で開催しています。昨年は、気候変動を学ぶ大学生も参加し、巨大なクジラの雪像滑り台を制作。八方尾根スキー場の再エネ切換えによって、このサイズのクジラ何頭分の二酸化炭素を削減したか、これからも雪で遊べる冬が続くためにはクジラが暮らす海の環境を守ることも大切であることについて、パネル展示なども通じて遊びながら学びました。
こどもに向けた環境保全イベントの様子
地球温暖化は、冬のスポーツであるスキーにも影響を及ぼしつつあります。これからもスキーを始めとする冬のスポーツを楽しむために、身近にできることから取り組んでみてはいかがでしょうか。
※ゼロカーボンアクション30
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/zc-action30/