共同購入事業のさらなる導入と拡大を
目指す自治体が集合式次第
Opening Remarks
‐環境省水・大気環境局水環境課長 川又孝太郎氏
‐アイチューザー株式会社 オランダ・グループ本社CEO) Cas Bijlholt氏
挨拶の言葉、および「共同購入スキーム」について
「スマートシティによるデジタル田園都市国家の実現へ~市民・地域主導によるデジタルイノベーション~」
‐アクセンチュア株式会社アクセンチュア・イノベーションセンター福島センター共同統括マネジング・ディレクター 中村彰二朗 氏
「行動経済学を活用した市民の行動変容に関して」
‐一橋大学大学院経済学研究科 准教授 竹内幹氏
パネルディスカッション
‐テーマ1「共同購入のマイルストーン」
‐テーマ2「各自治体におけるワークロードとその対策」
‐質疑応答
‐伊丹市:伊丹市役所 市民自治部 環境政策室 環境保全課 永村課長
‐大阪府:大阪府 環境農林水産部 エネルギー政策課 水田課長
‐神奈川県:神奈川県産業労働局 産業部 エネルギー課 郷家課長
‐京都市:京都市 環境政策局 地球温暖化対策室 エネルギー政策 企画課 竹内課長
‐千葉市:千葉市環境局 環境保全部 環境保全課 秋山課長
‐東京都:東京都環境局 地球環境エネルギー部 都市エネルギー推進課 西脇課長
‐長野県:長野県 環境部 環境政策課 ゼロカーボン推進室 柳原室長
閉会挨拶
‐アイチューザー株式会社 代表取締役 藤井俊嗣氏
共同購入を推進中の自治体の担当者による
パネルディスカッション再生可能エネルギーの普及を目的としたグループパワーチョイス(=共同購入)の活用について、全国の自治体の担当者が討論を行うイベント「共同購入サミット」が、アイチューザー株式会社主催で開催されました。環境省、共同購入を導入している各自治体担当者、アクセンチュア株式会社、一橋大学などから講演者を招待し、再エネの普及拡大の在り方、そして地方自治体の重要な役割などに関して、講演とパネルディスカッションを行いました。
共同購入事業を成功させるカギとは
環境省 水・大気環境局水環境課長 川又孝太郎さんの挨拶に続き、アイチューザー株式会社のCas Bijlholtさん (オランダ ・グループ本社 CEO)の挨拶と「共同購入スキーム」についての講演から始まりました。講演の中でCas Bijlholtさんは、「自治体とアイチューザーが対等なパートナーとなることが、カーボンニュートラル成功のカギ」と語りました。
つづいて、アクセンチュア株式会社の中村彰二朗さんが、「スマートシティによるデジタル田園都市国家の実現へ~市民・地域主導によるデジタルイノベーション~」といテーマで、福島県におけるスマートシティの推進について講演しました。中村さん自身、島県会津若松市へ移住、地方都市の実情を肌で感じながら、スマートシティ実現に向けた取り組みを行っています。その中で地域DXの実現と再生可能エネルギーの導入について語りました。
一橋大学の竹内幹さんは「行動経済学を活用した市民の行動変容に関して」と題して、再生可能エネルギーに切り替えできない行動経済学的な理由を解説しました。「多すぎる選択肢は逆効果。」「将来ではなく、“今すぐ”に得になることを伝えていく必要性」「大きな変更ではなく、多段階で変更していく」など、切替えを促進するためのアドバイスを紹介。最後に、データを比較する重要性を解説。「良かれと思った施策を全部実行するのではなくランダムに実行する、ランダマイズ・コントロール・トライアルを試してみる。導入した施策と未導入の施策を比較することで、その良さがわかります。」と語りました。
先行導入事例の共有が共同購入の
拡大につながる一つ目のテーマでは、「共同購入のマイルストーン」。共同購入を導入した経緯と感触について、共同購入を導入した自治体の担当者が紹介。大阪府は、「集合住宅が多く、太陽光パネルが置きづらい。経済的に電力切り替えを実施できることから、共同購入を導入。補助金に劣らない効果が期待できます」と話しました。共同購入事業自体が始まったばかりということもあり、試行錯誤をしながら、事業者と市民のニーズを探っている自治体が多いようです。
二つ目のテーマは、「各自治体におけるワークロードとその対策」。伊丹市は、先行事例が少なく庁内や対外的な説明に苦労したそうですが、「先行導入した近隣の自治体の事例を情報収集」したことで、導入につながったそうです。大阪市は広報について、「市政だよりだけでなく、幼稚園や事業者と協力してチラシやオンラインを活用した」といった事例を紹介。そのほかの自治体も様々な広報ツールの活用事例を紹介しました。質疑応答では、全国の自治体関係者から導入に向けた質問や悩みについて、登壇者からのアドバイスがされました。
環境省の川又さんは「脱炭素に向けてどのような施策を行ったら良いかという相談が環境省にも寄せられている。実際の経験に基づいた貴重な話をシェアしていただいた。共同購入事業はまとまった予算が必要なく、取り組みやすいのでお勧めです。」と、本イベントが自治体にとって有益な情報交換の機会になったことを評価しました。
最後に、アイチューザーの藤井社長から「どのように効率よく普及させていくかが焦点。自治体には共同購入事業の旗振り役と、広報チャネルをできるだけ多く使わせていただくことを期待しています。」と話し、最強のコミュニティリーダーである自治体と共に歩むことで今後の事業を確信していると語り、締めくくりました。
これから共同購入を導入しようとしている自治体にとって、先行導入した自治体から生の経験談やアドバイスを聞くことができる貴重な機会となりました。今回の共同購入サミットを契機に、全国の自治体にさらに共同購入の輪が広がっていくことでしょう。