脱炭素はいまや企業の社会的責任の一分野にとどまらず、その成長を左右する重要な要素となっています。各業界が直面する課題や難易度はそれぞれ違うものの、どの企業も今すぐに始められる取り組みの一つが「再エネ電力への切り替え」です。
一方、「電気代が高くなるのでは?」「どの電力会社を選べばいいのか分からない」という不安の声も。手軽かつ安心感のある切り替えの促進に向けて、事業者・自治体・家庭向けに電気料金一括見積り・切り替え支援サービスを提供している、ENECHANGE(以下、エネチェンジ)の小野哲也さんに、その仕組みやメリットについて聞きました。
- 小野 哲也(おの てつや)
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ENECHANGE株式会社 法人ビジネス事業部 マネージャー。2019年に入社し、特別高圧、高圧電力を契約する法人向け営業に従事。
再エネ導入によるコストダウンも ニーズに応じたプランを無料で提案
脱炭素社会の実現に向けて、企業は自社の排出だけでなく、事業活動に関係するサプライチェーン全体において温室効果ガス排出量の削減を求められています。使用電力を再エネに切り替えることは、サプライチェーン排出量のScope2排出量「他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出」の削減に相当します。そのため、再エネ導入に向けて検討を始めている企業も多いのではないでしょうか。
エネチェンジは企業や自治体(法人・高圧電力)向けに、電気料金一括見積り・切り替え支援サービス「エネチェンジBiz」を提供しています。利用者は使用電力の明細情報を提出さえすれば、希望に合った電力契約選び・切り替えのサポートを無料で受けることができます。
同サービスは、エネチェンジが提携している複数の電力会社に対して一括コンペを実施する仕組みであるため、電力切り替えによるコストダウンも可能。再エネ導入とコスト削減の両立に重きを置いた上で、企業のニーズに応じた最適なプランを選ぶことができます。
環境価値証書の利用も選択肢に 最初の一歩を手助けするサービス
小売電気事業者が提供する再エネ由来の電力プランに切り替える以外に、非化石証書(非化石電源により発電された電気の非化石価値を分離して証書にしたもの)やグリーン電力証書(再生可能エネルギーによって得られた電力の環境付加価値を、取引可能な証書にしたもの)、J-クレジット(温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度)などの環境価値証書を利用する選択肢もあります。
例えば、全国に拠点を有する大手運送会社では、非化石証書(再エネ100%)を活用したプランの採用で電気代4%の削減に成功。拠点ごとにニーズが異なるようであれば、再エネ比率を減らしてコスト削減率を増やすなどといった微細な調整も可能です。
これまでに同サービスを通じた電力切り替えの相談件数は、27,000社、42,000拠点。電力契約+環境価値証書をカスタマイズし、中立的な立場から需要家の置かれている様々な状況に応じたプランを提供する。その仕組みが、利用者の安心感にもつながっています。
環境価値証書の購入に関しても、仕組みをよく理解していなければ、なかなか最初の一歩を踏み出せないもの。エネチェンジは、高圧・特高契約を結んでいる法人や団体を対象に最大1年分の電力使用量(kWh)相当のトラッキング付FIT非化石証書(固定価格買取制度」の対象となる非化石電源によって発電された電気の環境配慮の価値を証書化したもの)をプレゼントするキャンペーンなども実施。企業の再エネ導入を後押しする“きっかけ作り”を行っています。
その他、低圧電力契約を結んでいる家庭や飲食店向けにも、電気切り替え支援サービスを提供。利用者はWEBサイトに現在の電力使用状況を入力し、希望の条件を選択するだけで、最適な電力会社を見つけることができます。さらには、そのままオンラインで申し込むことも可能。企業や生活者の不安やニーズに寄り添ったこうしたサービスを、一人ひとりが上手く活用し、再エネ導入に向けて一歩を踏み出す。その行動が、“誰もが実感できる脱炭素化に向けた流れ”をつくっていくことにつながるのかもしれません。