みんなの「再エネ」取組み

再エネを導入された個人、自治体、企業の方に
取材を行い
具体的な導入事例などを
ご紹介させていただきます。

太陽光発電でつくる「タフな地域コミュニティ」を目指して

台風や地震など自然災害の多い九州。リフェコ株式会社(本社・福岡市)は再生可能エネルギーを軸にして災害に強く環境に優しい「タフな地域コミュニティ」づくりに取り組んでいます。その地域像は、どのようなものなのか。事業展開の計画はどう進めているのか。柴田賢輔取締役にうかがいました。

柴田 賢輔
柴田 賢輔(しばた けんすけ)

リフェコ株式会社取締役本部長。2011年、前身の日本エコライフ株式会社に入社、法人卸営業や業務部などを経て、2014年から大阪法人営業部にて新規営業開拓を行い、卸営業の責任者に。2020年12月より市場戦略本部(人材マネジメント部と営業企画部)の担当役員を務める。

自然災害の甚大化とコロナ禍が再エネ意識を醸成

太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーへの市民の関心は年々高まりをみせています。同社は、その理由として主に3つを挙げています。①災害の多い近年、いざというときの停電への備えとして、②電気やガソリンなどの値上がり、③新型コロナウイルスの流行で在宅時間が増えたことによる光熱費の負担増。

中でも、災害による意識の変化は九州ならではかもしれません。「九州では年々自然災害が甚大化しています。万が一、被災した場合に避難所に行けば人が多く、コロナ禍の現在では家族でそのような環境に行きたくない、といった思いが広がっているようです。だから、自宅での太陽光発電を検討してみよう…と考える消費者が増えています」と、柴田取締役は解説します。

同社が福岡、佐賀、熊本の3県に展開している太陽光発電・蓄電池・オール電化の専門店「ゆめソーラー」にも問い合わせや相談が増えています。「従来のように電気を売るというよりも、蓄えた電気を使って節電する、あるいは災害時に自宅で家族を守る、そういう発想での相談にシフトしています」と柴田取締役。「経済的な面で迷われての相談もあります。今後30年以上長く住まう家であればメリットもあり、安心できる環境で精神的な余裕も生まれます。もちろん地球にも優しいということで導入に踏み切られる方が多いですね」と話しています。

電気の地産地消を目指して

同社が目指す「タフな地域コミュニティ」は、再生可能エネルギーの中でも太陽光発電を主力にしたもの。従来のような大手電力会社による大規模・集中型の発電システムではなく、各家庭にソーラーパネルを普及させて太陽光で発電、その電気を電気自動車や蓄電池に蓄え、家庭で使用するたけでなく、余剰電力を足りない地域や施設に分配する―つまり電気を地域でつくって地域で消費する「電気の地産地消」を最終的な目的に掲げています。

このようなシステムは、災害時には非常電源となり、余剰電力の販売によって地域財政が潤い、森林や里山の保全などにもつながっていきます。

再エネモデルハウスを建設へ

同社の現在の事業はその第一段階として、住宅用太陽光発電システムの販売拡大や補助金を活用した電気自動車の導入支援などに注力しており、住宅用太陽光発電システムはこれまで約7000軒に施工しました。また、2022年6月オープンを目指して熊本県菊陽町に「再生可能エネルギーモデルハウス」を建設。単なるオール電化にとどまらず太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車などを備え、家庭内の電気を最適に制御するHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を導入するなど再生可能エネルギーによる生活を体感できる場所が実現する予定です。

「『タフな地域コミュニティ』の実現には、太陽光発電システムが普及するだけでは十分ではありません。個々の家を地域ぐるみでつなぎ、電力需給の把握と調節を可能にするインテリジェンスなシステムが必須になります」と柴田氏は将来を見据えています。

国の実証実験にも積極的に協力

こうした仕組みづくりには国や自治体のリードが不可欠になります。経済産業省は分散型エネルギーの活用を模索するため「ダイナミックプライシングによる電動車の充電シフト実証事業」「バーチャルパワープラント構築実証事業」を行いましたが、同社もそれらに実証協力者として参画しています。また、環境省が2030年度までに全国100カ所での選定を計画している「脱炭素先行地域づくり」にも参画を試みようとしています。

柴田取締役は「持続可能な開発目標(SDGs)の達成には脱炭素社会の進展が欠かせません。当社も九州における再生可能エネルギーを活用した新しいライフスタイルを提案していきたいですね」と話している。