企業が中長期的な観点で競争優位性を確保するためには、脱炭素化への取り組みが不可欠です。再エネの普及拡大に向けて、自社の発電所から調達した再エネ由来の電気と環境価値証書を組み合わせた電気プランを提供するミツウロコグリーンエネルギーの竹多希美さんと池田莉子さんに、導入企業の事例について聞きました。
- 竹多 希美(たけだ のぞみ)(左)
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ミツウロコグリーンエネルギー株式会社 電力企画部 担当。同社は国内6箇所に再生可能エネルギー発電所を所有して、地球環境改善への貢献、地域ごとのエネルギー自給率の向上に努めている。
- 池田 莉子(いけだ りこ)
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ミツウロコグリーンエネルギー株式会社 電力企画部 担当。
企業のニーズに合わせた環境配慮型電力プランを提供
ミツウロコグリーンエネルギーは、全国6ヵ所で風力発電所、メガソーラー、バイオマス発電所などの再エネ発電所を保有し、これらの発電所を含めた再エネ由来の電気を環境価値証書と組み合わせて提供することで、企業の再エネ導入および脱炭素化を支援しています。
具体的には、「CO2排出量削減型(化石燃料含む全電源+環境価値)」と「再エネ由来型(再エネ+環境価値)」の2種類の電力プランを用意。前者は、化石燃料含む電源と、電力使用量相当分の非化石証書(非化石電源により発電された電気について、非化石価値を分離し、証書にしたもの)を購入することでCO2排出係数を調整できるもの。後者は、太陽光や風力、バイオマスなど再エネ由来にこだわったプランであり、環境価値を使用電力に紐づけるトラッキング付非化石証書を活用し、導入企業の再エネ100%化を実現します。
導入する企業は既存の電気設備を利用したまま、これらのプランに電力契約を切り替えるだけで、初期費用ゼロ円で再エネ導入を行うことができます。
工事現場やテナントビルを再エネ化、中長期的な競争力強化に貢献
建設事業を担う企業に同社のCO2排出量削減型プランを導入した事例では、工事現場で使用する電力を100%再エネ化しました。近年、建設業界ではGRESB(不動産会社・運用機関のサステイナビリティ配慮を測るベンチマーク)リアルエステイト評価の取得に向けて、建設工事段階からの再エネ導入が課題となっています。そんな中、このような事例は、先進的な取り組みとして、他社からも高い注目を集めています。
また、大手ビル管理運営会社に「再エネ由来型プラン」を導入した事例では、ビル入居テナント企業の脱炭素化に貢献しました。この取り組みでは、ミツウロコグリーンエネルギーが保有する、山口県の岩国発電所からバイオマス発電源を使用した電力(間伐材や建物の解体現場から発生する建設廃材など樹木に由来する木質バイオマスを燃料とする)を供給し、トラッキング付きFIT非化石証書を付与することで再エネ100%を実現しています。
日本の「2050年カーボンニュートラル宣言」から約1年半が経過し、その動きが少しずつ広まりつつあるものの、「環境価値」と「コスト削減」を天秤にかけたとき、後者を選択する企業はまだ多く感じられます。しかし、早期に脱炭素化に取り組むことが、中長期的には企業の競争力強化につながります。ミツウロコグリーンエネルギーは、今後も多様な電力プランの開発に取り組み、企業の環境価値と経済性の両立を支援することで、脱炭素社会の実現を後押ししていきます。