近年、豪雨などの自然災害が多く発生するようになり、気候変動の影響を受けている可能性が指摘されています。台風や豪雨といった自然災害が企業の活動に及ぼす影響は多大であり、そのような際にも事業を停止することなく通常通りに継続できるよう備えることも重要となっています。
今回は、非常時にも対応する、再生可能エネルギーを活用したソリューションをご紹介します。
自然災害の発生時に、企業活動を継続するための「再エネ+蓄電ソリューション」
オムロン フィールドエンジニアリング株式会社(東京都目黒区)は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、さまざまな企業に脱炭素に寄与するソリューションサービスを提供しています。その1つである「再エネ+蓄電ソリューション」は、自然災害時にも停電や事業停止を回避することができるサービスであり、近年は需要が高まっています。
このサービスでは、太陽光発電によって作られた電力を蓄電池で充電し、非常時に備えます。加えて、EMS(エネルギーマネジメントシステム)によって最適に制御することで、電力を効率的に運用することができます。
災害時において、1週間程度は自前による電力確保が必要
「再エネ+蓄電ソリューション」には、CO2排出量の削減や電気料金の削減といったメリットもありますが、最大のポイントは災害時の電源確保といえます。
オムロン フィールドエンジニアリングによれば、過去の大規模自然災害から考えると、企業のBCP(注1)対策としては、自然災害発生時には最低でも3日、できれば1週間程度の自前による「電力の確保」が必要となります。緊急時に電源を確保することができれば、地域防災拠点としての役割を果たすことができ、企業の価値を高めることにもなります。
通常時において、いかに経済メリットを最大化できるか
近年、重要性が高まっている「再エネ+蓄電ソリューション」。オムロン フィールドエンジニアリングの佐々木さんに話を聞いてみました。
―「再エネ+蓄電ソリューション」のポイントは?
カーボンニュートラルに向けた対応が世界的に求められるなか、化石燃料をエネルギーとした非常用発電機等ではなく、再エネ+蓄電池をバックアップ電源として検討される企業が増えています。ただし、バックアップ電源としてだけの利用では経済メリットがないため、通常時において再エネと蓄電池を有効活用することで、いかに経済メリットを最大化できるかがポイントとなります。
例えば、翌日の天候が雨で太陽光の発電が見込めない場合は、当日夜間に蓄電池に充電をしておき、翌日のピーク時に蓄電池から放電することで、契約電力の引き下げに繋げる。
また翌日の天候が晴れで、太陽光発電の余剰が見込まれる場合は、当日夜間に放電しておき、翌日の余剰電力で充電をすることで、太陽光発電の最大活用をし、再エネ比率を高めることに繋げる。
こういった最適制御を実現するためには、天候による太陽光発電の予測、工場の操業計画による需要電力の予測等を高い精度でおこなうことが重要なポイントになります。
―今後の取組みについて。
産業用の大型蓄電池も、コストが下がってきたとはいえ、まだまだ高額な投資が必要となるため、国でもストレージパリティ(注2)の実現に向け補助金を用意しています。補助金を上手に活用し、事業者の脱炭素を加速させるのも我々のミッションと捉えています。
また、高額の設備投資が難しい事業者や、本業への投資を優先される事業者に対しては、当社が設備を保有し、太陽光発電+蓄電池からの電力を販売するPPAスキーム(第3者所有スキーム)も新サービスとして提供を検討しています。
普段の生活において、身近になりつつある気候変動の影響。企業が事業を継続するための備えとして、再生可能エネルギーは欠かせないのものとなっています。
※脱炭素関連のソリューション事例はコチラ
https://chikuden-setsuden.com/case-study/index.html外部リンク