みんなの「再エネ」取組み

再エネを導入された個人、自治体、企業の方に
取材を行い
具体的な導入事例などを
ご紹介させていただきます。

江戸時代から続く酒蔵による、カーボンゼロの日本酒!
環境負荷をかけずにおいしい酒をつくる神戸酒心館の取組み。

江戸時代から続く酒蔵による、カーボンゼロの日本酒!環境負荷をかけずにおいしい酒をつくる神戸酒心館の取組み。

江戸時代から270年以上続く酒造会社である、株式会社神戸酒心館(兵庫県神戸市)。「福寿」のブランドで知られる同社は、日本酒の製造を始めとして、サステナブルな活動を推進しています。

日本酒の醸造工程で100%再生可能エネルギーを活用

2022年、神戸酒心館は日本酒を造る工程においてカーボンゼロ(CO2排出量が実質ゼロ)の日本酒「福寿 純米酒 エコゼロ」を発売しました。この取組みは、醸造工程で要するエネルギーを100%再生可能エネルギー、カーボンニュートラルな都市ガス(注)に転換することで、日本酒製造におけるCO2排出ネット・ゼロ(カーボンゼロ)を達成しています。

(注)生産から燃焼までのライフサイクルのCO2排出量を実質ゼロにした都市ガスで、天然ガスの採掘、輸送、製造、燃焼のそれぞれの工程で発生するCO2をクレジットで相殺したもの。

再生可能エネルギーについては、一般水力発電の特定電源価値を有した、再生可能エネルギー由来CO2フリー(排出量ゼロ)の電気を使用。非化石電源(石炭や石油といった化石燃料を使用せずに発電する電源)によって発電された電気であるため、国際的なRE100「Renewable Energy 100%」にも対応していることになります。
「福寿 純米酒 エコゼロ」は、その他にも醸造日数の短縮によるエネルギー使用量の軽減、米の磨きを抑えることで精米工程におけるエネルギーの削減等により、環境負荷の低減に取組んでいます。

図:事業活動におけるサプライチェーン排出量。「福寿 純米酒 エコゼロ」の開発においては、Scope1とScope2においてCO2排出ネット・ゼロを達成。 図:事業活動におけるサプライチェーン排出量。「福寿 純米酒 エコゼロ」の開発においては、Scope1とScope2においてCO2排出ネット・ゼロを達成。

環境価値(環境負荷の低減)と経済価値(売上増加やコストダウン)を両立することにより、酒蔵の継承と発展を目指す神戸酒心館。サステナブルな酒造りの取組みについて、神戸酒心館 代表取締役社長の安福武之助さんに話を聞きました。

神戸酒心館の安福社長 神戸酒心館の安福社長

環境負荷をかけずに、おいしい酒をつくるために

酒の原料である製麹(麹造り)の工程 酒の原料である製麹(麹造り)の工程

日本酒をつくる酒蔵の継承と発展は、日本の歴史、伝統、文化などの理解のために欠くことができないものであると考えています。しかしながら、日本酒の需要は長期低落傾向にあります。この問題に対して、当社はクオリティーの追求という限定された目的のためだけでなく、持続的生産にも目を向ける必要があると考えています。
一方で、世界的な問題となっている地球温暖化の影響は深刻であり、日本酒の原材料となる酒米の調達が危ぶまれています。高品質な酒米を、大量に、安定的に、長期的に調達できるかどうかは、事業継続の生命線となります。当社においても、気候変動が事業に与える影響を踏まえ、酒造りにおける気候変動対策への検討を重ねてきました。


当社は、「環境負荷をかけずに、おいしい日本酒をつくる」ことをパーパス(企業としての存在意義)とし、2030年に向けたグリーン・イニシアティブ「Sustainability Journey(サステナビリティへの旅)」を策定しました。気候変動に対しては、2050年までにバリューチェーン全体のCO2排出量ネット・ゼロを掲げており、2030年までに使用電力の再生可能エネルギー100%化を目指しています。
具体的な取組みとして、すべての直接事業において100%再生可能エネルギーを使用すること、そしてリサイクル可能(ビン)、再利用可能(酒粕)、FSC認証パッケージングを100%使用することなど100%持続可能な製法で日本酒を醸造しています。
今後も環境負荷をかけずに、おいしい日本酒をつくりたいという思いを、バリューチェーンにかかわるすべての人々と共につないでいくために、様々な社会課題に対する取組みを積極的に進めていきたいと思います。



ノーベル賞公式行事の提供酒としてふるまわれるなど、お祝い事には欠かせない日本酒である「福寿」。これからの酒造りを持続するために、再生可能エネルギーの活用が重要なものとなりつつあります。