みんなの「再エネ」取組み

再エネを導入された個人、自治体、企業の方に
取材を行い
具体的な導入事例などを
ご紹介させていただきます。

スキー場のリフトを再生可能エネルギーで運行!
白馬八方尾根スキー場の取組みを紹介します。

スキー場のリフトを再生可能エネルギーで運行!白馬八方尾根スキー場の取組みを紹介します。

日本の名峰である飛騨山脈(北アルプス)のふもとに位置し、冬はスキー、夏はトレッキングなどのアクティビティで人気を集める長野県の白馬村。白馬八方尾根スキー場を運営する八方尾根開発株式会社(長野県北安曇郡)は、美しいふるさとを守り、未来へ受け継ぐために「持続可能な開発目標(SDGs)」に取り組んでいます。

多大な電力を消費するスキー場の再生可能エネルギー化を推進

さまざまなSDGsの取組みを推進する八方尾根開発が特に注力しているのがスキー場の再エネ化です。これまでスキー場では人工降雪機で雪を作り、リフトを動かすことで多くのCO2を排出してきたこと、またスキー場を運営するためには多大な電力を消費しているということに着目し、リフト等で使用する電力について再生可能エネルギーへの転換を重点的に進めています。

リフトや降雪機の再エネ化で、1,000トン以上のCO2排出量を削減

再生可能エネルギーを導入している八方尾根スキー場のリフト 再生可能エネルギーを導入している八方尾根スキー場のリフト

白馬八方尾根スキー場では、2020年2月に初めてアルペンクワッドリフトを再生可能エネルギー100%で運行しました。その後もスキー場にあるリフトの使用電力を順次切り替え、2022年4月にはスキー場内にある22基のリフトのうち、16基が再生可能エネルギー100%で運行しています。
また、降雪機関連やゲレンデ内レストランの一部の電力も再生可能エネルギーへ転換しており、リフトと降雪機でそれぞれ約500トン、合計で1,000トン以上のCO2排出量の削減を実現しています。

スキー観光業を営む企業の責任として活動を開始

近年、雪質の変化や降雪量の減少など、スキー場でも地球温暖化の影響が懸念される中、脱炭素社会の実現に向けた活動を推進する八方尾根開発。
これまでの取組みの経緯や今後の計画について、SDGsマーケティング部の松澤さんに話を聞きました。

八方尾根開発の松澤さん 八方尾根開発の松澤さん

―リフトの再エネ化に取り組む経緯について。

白馬八方尾根スキー場がある長野県白馬村は、2020年2月に「ゼロカーボンシティ宣言」を表明しました。雄大な北アルプス白馬連峰のもと、豊かで美しい自然の景観に恵まれたこの地にとって、地球温暖化は極めて深刻な脅威です。私たちは白馬村でスキー観光業を営む企業の責任として、ゼロカーボンの実現に向けて行動を起こす必要性を感じました。
スキー場ではリフトを動かす電力により多量のCO2を排出しています。また、人口降雪機で雪を作るには、リフトを動かすよりも多くの電力を使います。スキー場に必要な雪を作る行為が地球温暖化の原因になっています。この問題を解決しない限りスキー場の未来はないと考え、持続可能な観光業を営むために活動を開始しました。

―利用者や従業員の声について。

電力の再エネ化は、目に見える変化がないため、切り替えをした施設に表示をしたり告知イベントを開催したり、環境イベントに参加することで発信の機会を作りました。お客様からは、「大きなスキー場が率先して取り組むことが重要、八方尾根の活動を支持します」とうれしい反応をいただきました。
社員は環境意識がさらに高まり、「自分たちに出来ることは他にもあるのでは」という視点から、ゴミ問題や資源問題に留まらず、地域との連携にも積極的な活動が見られるようになりました。また、私たちの活動を知った企業からのお問合せが増えてパートナーシップも広がり、「共に働きたい」と職場の仲間も増えました。

―今後の取組みについて。

八方尾根開発では、2030年までに自社が排出するCO2をゼロにする目標があります。白馬八方尾根スキー場に自社が所有する施設の電力はすべて再エネに切り換えを済ませていますが、切り替えの済んでいないスキー場外の施設についても再エネ化を進めます。
その他、燃料から出る温室効果ガスの削減がこれからの課題です。燃料の切り換えは設備自体の変更も必要となるため、パートナー企業のご協力や自身の知識を深めながら進めていきたいと考えています。



冬のシーズンには、スキーやスノーボードを楽しむ方も多いと思います。これからもウィンタースポーツを楽しむことができる環境を維持するために、再生可能エネルギーは重要な役割を果たしつつあります。