世界に誇れる環境都市を目指して、2008年に「環境首都・札幌」を宣言した札幌市。2020年2月には、市内から排出される温室効果ガスを2050年に実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を目指すことを宣言しました。
2021年3月に策定した「札幌市気候変動対策行動計画」では、2050年のあるべき姿として、「心豊かにいつまでも安心して暮らせるゼロカーボン都市『環境首都・SAPP‿RO』」を掲げるとともに、2030年に市内の温室効果ガス排出量を2016年比で55%削減することを目標としています。
目標達成に向けて、無駄なエネルギー消費を減らし、効率よく使う「省エネの徹底」とともに、北海道が有する再生可能エネルギー(以下「再エネ」)のポテンシャルを最大限に活用することで、再エネの利用拡大を目指しています。
身近なところで導入が進む再生可能エネルギー
札幌市では、市内の再エネ導入拡大を推進するため、戸建住宅への太陽光発電設備の設置費補助制度を運用しています。
2018年9月に発生した北海道胆振東部地震による大規模停電以降、停電時にも電力が利用できる太陽光発電設備への注目が高まったことで、補助を活用して太陽光発電設備を設置する市民が増え、新築戸建住宅への設置率は2割を超えています。
また、市有施設への太陽光発電設備の導入にも積極的に取り組み、これまでに市内小・中学校の約半数に設置。今後さらに導入を加速させるため、設置可能な施設の洗い出しを進めています。その他にも、浄水場に中小規模水力発電(注1)を導入するなど、さまざまな施設で再エネの導入を進めています。
市役所本庁舎に再生可能エネルギー100%の電力を導入
2022年10月には、市役所本庁舎で使用する電力を再エネ100%に切り替えを実施。これにより年間約1,450tのCO2排出量の削減が見込まれます。市有施設の中でも象徴的な施設へ再エネ電力を導入することで、市民や企業へ再エネ電力の利用拡大を促し、ゼロカーボンシティの実現を目指しています。
世界に誇れる環境首都、ゼロカーボンシティの実現に向けて再エネの導入を推進する札幌市。今後の取組について、札幌市環境局環境都市推進部環境エネルギー課再生可能エネルギー推進担当係長の稲辺さんに話を聞いてみました。
―札幌市の取組みについて。
2050年のゼロカーボンシティの実現を見据えて、2030年には市域から排出される温室効果ガスを2016年比で55%削減するという、非常に高い目標を掲げています。この目標の達成に向けて、徹底した省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入拡大、移動の脱炭素化など、大きく5つの施策に基づき、市民や事業者の皆様と一丸となって取組を進めていきます。
―今後の取組みについて。
都市の規模が大きく、エネルギー消費量の多い札幌市では、電力需要の全てを市内で生み出される再エネによって賄うのは難しいため、北海道が有する豊富な再エネポテンシャルを生かした、道内自治体との連携による再エネ電力利用拡大の取組を検討しています。
また札幌市では、太陽光発電設備の導入促進のため、下記の補助金制度を用意しています。市民のみなさんには、ぜひ補助金を活用した太陽光発電設備の設置を検討いただければと思います(注2)。
(1)再エネ機器導入初期費用ゼロ事業補助金制度
札幌市民がリース契約やPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)を利用して初期費用の負担なしに太陽光発電設備や定置用蓄電池を自宅に導入する場合に、札幌市が設置事業者に補助金を交付する制度。また、導入された市民が事業者へ支払う月々の契約料金が補助金の分だけ少なくて済むメリットがある。
https://www.city.sapporo.jp/kankyo/energy/zerohojo/zerohojo.html
(2)自家消費型太陽光発電設備導入補助金制度
社屋やビル、マンションなどに自家消費型太陽光発電設備を設置する企業等に対して、札幌市が設置費用の一部を補助する制度(札幌市が環境省の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を活用して、間接的に補助するもの)。
https://www.city.sapporo.jp/kankyo/energy/hojo/jikashohi.html
みなさんも、自治体等の補助制度をうまく活用して、できるところから再エネの導入を検討してみてはいかがでしょうか。