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【家を全体リフォーム】住んでる家が大きく変わる(予算500~700万円)

ここから数回にわたり、具体的な断熱改修の方法とおおよその予算感を紹介していこう。
新築と違って、どこまでやるか、どんなことをやるか、いくらでやるかという要素が絡み合うのでかなり複雑になる。

まずはその前の基本を押さえておきたい。

<リフォームを計画するその前に知っておきたいこと>

エリアを決めよう。

①エリアを決めよう。
家全体をやるか、一部分で済ますか、家の使い方や予算を元に考えよう。以前は大家族で住んでいたような家だが、現在は2人で住んでいるような時には、家全体を断熱するのは効果的ではない。リビングや寝室、またヒートショックなどが心配な場合は水回りといった限られたゾーンで断熱する方が効果的な場合がある。予算によっては、その最も寒い洗面室と浴室だけを手当てするという方法がある。まずは、どこからどこまでやるのか考えることが望まれる。

エリアを囲うことが大事。

②エリアを囲うことが大事。
断熱は基本的にエリアを6面囲うことが求められる。囲わないと熱がそこから逃げて行ってしまうからだ。立体で考えて、囲まれているかどうか、確認しながら進めよう。

③隙間風を防ごう。
日本の家の多くは、隙間風が簡単に通るようになっている。これでは、いくら温めても熱が逃げてしまう。断熱よりも隙間風を防ぐことが望まれる。その方法はいろいろあるが、最も本格的なのは気密シートを貼ること。気密シートは壁の下地の仕上げ時に、一般的な壁の素材であるプラスターボード(図1)のすぐ下にテープで隙間なく貼ることで、隙間風を防ぐことができる。断熱材できっちり隙間をなくしても、将来的には木の下地が痩せ、隙間が開く可能性があるので、一手間かかるが施工した方が良い。また最も簡単なのは、ドアや窓の隙間にモヘアシールを貼ること。ホームセンター等でモヘアシール(図2)を手に入れ床とドアの隙間やドア枠とドアの隙間を埋めてみよう。貼り方のポイントは次々回の記事で紹介する。
それぞれのやっていることは同じで、隙間に埋めるものになる。隙間風の簡単な防ぎ方は、次回以降の連載で詳しく紹介する。

(図1)プラスターボード ビニールクロスの壁紙の下は、ほぼ100%プラスターボードの壁である
(図2)モヘアシール すきまテープともいう。窓やドアの回りに貼ることで隙間風を防ぐもの

④上昇気流を抑えよう。
熱の動きは、伝導、対流、放射の3種類。実は断熱をすると、その部分の放射温度が改善される。一方、部屋の中は対流によって、熱が移動してしまう。ビニールの袋に穴を開けたことを考えてみよう。ビニールの横に開けた穴と、下に開けた穴で水の勢いが違うことはお分かりだろうか。下に開けた時に、勢いがいいのは水が重力に引っ張られているからである。熱の場合は、この反対。熱は上昇気流によって、上へ上へと引っ張られる。この上昇気流を抑えることが求められるのである。
家の中の上昇気流は、床下から床へ、天井から屋根で起こりやすい。一戸建てでこれらを防ぐには、1Fの床の断熱性能を上げ、2Fの天井から屋根の空間の断熱性能を上げること。

熱は3つのルートで伝わる
断熱材で上昇気流をおさえる

⑤大きな熱の出入りがある窓を考えよう。
最後のポイントは窓だ。窓はガラスであるので、熱の出入りが激しい場所である。そこを抑えるのはとても大事。本格的にはサッシを取り替えることになる。あるいは、2重窓を作るなど。簡単で安い方法は、断熱ブラインドをつけること。これが意外と効果がある。

さて、一般的な1戸建の家で、断熱改修しようと考えたら…と仮定してみよう。
一般的な30坪~40坪程度、2階建ての家をくるっと外壁の上から断熱するとざっくりと500万円~700万円かかる。
内容はこのようになる。

ア.天井は、狭い天井裏に入っても、隅々まで吹ける発泡系のウレタンや、隙間なく敷き詰めるグラスウール(ガラスのリサイクルの繊維で、黄色やピンクのもの。触るとチクチクする。安価であるが、湿気に弱い。湿気を吸うと、ベッシャと潰れ、フワフワ感とともに断熱性が失われてしまう。)を300mm程度詰める。

イ.壁は、外側にいわゆる発泡スチロール(100mm程度)を貼る。発泡スチロールの外側に通気層を取り入れるものが一般的だ。その外側にさらに外装を施すことになる。一旦、取ってしまった方が簡単に見えるが、後から加えた方がより断熱性能は上がる。ちょうど洋服を重ね着をするようなものである。
次に大事なのは窓である。窓は取り外して、新たな窓の枠と、樹脂や木の窓を取り付けるのが良い。樹脂や木はアルミよりはるかに熱を伝えにくい。したがって、木サッシや樹脂サッシ、ガラスは熱反射できるLOW-E複層ガラス、あるいは三層ガラス使うと良い。

ウ.床下は湿気が入りやすい。床下が土の場合は、防湿シートを敷く、あるいはコンクリートを打って湿気が上がらないようにする必要がある。その上で、床を支えている部材(根太)の間に断熱材をはめていく。今までの建物は、床下に通風が必要と考えられていたが、しっかりと防湿されてたら、そこまでの通風は必要ない。床下の現状を考慮して、防湿をしながら断熱をすることが求められる。

エ.上記ア~ウの工事以外では水回りである。在来工法の浴室は、改修を行いにくいのでユニットバスをお勧めする。もちろん、そのユニットバスを設置する前に、壁に断熱工事を施す必要がある。グラスウールなどの繊維系の断熱材は、水分に弱いので、発泡スチロール系の断熱材、あるいはウレタン吹き付けを使う。材料をできるだけ薄くするために、石膏ボードと断熱材の複合板を使うこともある。
上記のような工事が外断熱工法と言われるものである。
一般的にこれらは外壁周りで完結するので、室内の間取りを壊さずに、断熱だけをすることができる。しかし、年数が経っている家の場合は、住まい勝手もよくないことが多いので、水回りを含めた大きな改修になることが多い。あるいは、中古住宅を転売するときの魅力づけとして、断熱改修を施される場合も多い。

この記事では、全体を改修する考え方を書いてきた。全体をやれば、新築並みの性能にすることも夢ではない。一方、予算もかなりの金額が掛かる。次回はもっと限定的に、あるスペースだけを断熱する場合の方法を考える。

次回は簡単リフォーム 予算200-300万円 をご紹介。

Profile

竹内 昌義

1962年神奈川県生まれ。建築家。エネルギーまちづくり社 代表取締役
東北芸術工科大学デザイン工学部建築・環境デザイン学科 教授 『みかんぐみ』共同代表  専門は建築デザインとエネルギー

■著書 『未来の住宅/カーボンニュートラルハウスの教科書』(2009年)『原発と建築家』(2012年)『図解 エコハウス』(2012年)
■作品 山形エコハウス(2010年)、HOUSE_M(2012年) JIA環境建築大賞受賞(2013年)、東北建築賞(2012年)、最上の老人ホーム(2009年)(社会福祉法人 紅梅荘)東北建築賞受賞2013年

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