「野球型」から「サッカー型」へ
働き方を変えて残業とCO2を削減

鈴木 真理子
All About「ビジネス」ガイド:鈴木 真理子
  • ライフスタイル

社会問題になっている残業、本当に減らせるか

ここ数年、過剰な時間外労働が社会問題となり、政府は働き方改革を推進しています。企業の取り組みもとても重要で、出退勤の制度見直しや教育研修の実施など、時短に向けた動きは大きく進みました。でも、仕事量が変わらないのに残業を減らせと言われても……と思う方は多いのではないでしょうか。

本当に時短を実現するには、個人の意識を変えることが大切です。就業時間内に仕事を終わらせるための考え方と、コツを一緒に考えていきましょう。

あなたの働き方は「野球型」?「サッカー型」?

まず、日ごろの仕事への取り組み方を振り返ってみてください。仕事が終わるまで時間延長もいとわず働く「野球型」でしょうか。それとも、決められた時間内で仕事をする「サッカー型」ですか? 以前なら野球型が評価されましたが、いま求められるのはサッカー型の取り組みです。

制限時間を守りながら、仕事の質は落とさない。これが両立できれば、個人のバリューがぐんと上がります。必要なのは、生産性の低いムダな作業をなくし、価値ある仕事に力を注ぐことです。制限時間内に仕事を終わらせるという習慣を身につけて、これまでの働き方を根本から見直していきましょう。

【サッカー型の習慣とは】
■ 長いだけで結論の出ない会議、丁寧すぎる資料作り、挨拶文の多い社内メールなど、時間のムダを洗い出してカットする。
■ 利益を生む、チームに貢献する、チャンスを作る、成長できる仕事を優先する。
■ 「この仕事は○○分かかる」と処理時間を把握しておく。
■ 割り込み仕事には、処理時間の異なる複数のプランを用意し、どのやり方が効率的か上司に提案する。 など

たった5分で「サッカー型」に変えるコツ

働き方をサッカー型に変えるために、毎日やってほしいのが「To Doリスト」の作成です。朝一番か退社前の5分間を使って、1日の仕事をシミュレーションしてみましょう。全体の仕事量を把握しやすく、効率よく時短できるようになります。

【To Doリストの作り方】
1.最初に帰社時間を設定する。
2.1日の時間を、ランチを境にして前半・後半に分ける。
3.絶対に今日やる仕事は「No.1」と赤字で書き、その後で他の仕事を割り振る。
4.ひとつの仕事が大体どのくらいで終わるか、予想時間を書いておく。
5.実際の終了時間を記入し、予想より遅くなったときは原因と対策をメモする。

思わぬ割り込み仕事やトラブルに備え、リストは7~8割程度にして、余力を持っておくのがコツです。立てた予定がこなせなくても、自分を責める必要はありません。時間のムダが多ければスピードアップの方法を考える、そもそも仕事量が多すぎるなら上司と相談するなど、働き方を見直すきっかけにしてください。

新しい働き方が浸透すれば、省エネにもつながる

時短が進めば、オフィスなどで使用される電力といったエネルギーの削減、つまりCO2削減が期待できます。それには、企業の本気の取り組みが欠かせません。サービス業でも、営業時間を短縮するところが増えてきました。企業は「20時に消灯」などの時短ルールを決めるだけでなく、社員にムダな仕事をさせていないか、ムリな要求をしていないか、根本的に見直すことも必要ではないでしょうか。

最近では、在宅勤務を採用したり、混雑が少ない地域にサテライトオフィスを設ける企業も目立ちます。将来的には通勤事情が大きく変わり、交通のCO2削減も実現できるかもしれません。

【時短によるCO2削減効果】
■ 照明、冷暖房、OA機器の使用時間が減る。
■ 共有部分のエレベーターなども運転停止や間引き運転ができる。
■ 客先への訪問をメールや電話などに置き換えて効率化し、社用車の使用を減らせる。
■ 在宅勤務などでラッシュが解消できるようになれば、通勤電車の本数を減らせる。
  同じくマイカー通勤の渋滞も緩和され、CO2排出量が抑えられる。 など

新しい働き方が浸透するにつれて、働く人の人生は変わってくるはず。アフター5や家族のだんらんを楽しんだり、趣味に費やす時間も作れます。ストレスが軽減され、睡眠もしっかり取れるなど、健康にもいい影響があるでしょう。
自分の健康を管理し、家族を守り、長く元気に働く。これは「人生のTo Doリスト」です。仕事の成果を上げながら時短して、暮らしを充実させることを大切にしてほしいですね。

「COOL CHOICE(=賢い選択)」にご賛同ください。

「COOL CHOICE」は、CO2などの温室効果ガスの排出量削減のために、低炭素型の製品・サービス・ライフスタイルを賢く選択していこうという取り組みです。未来の地球のために、「COOL CHOICE」に賛同して、できることから始めてみませんか?

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この記事を書いた人

鈴木 真理子
All About「ビジネス」ガイド:鈴木 真理子

公開セミナーや企業研修を中心に3万人以上への指導実績をもつビジネスインストラクター。ビジネス書作家(日本ペンクラブ会員)。株式会社ヴィタミンM 代表取締役。