2023.03.24

G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合が開催される札幌市のゼロカーボンシティに向けた取り組みとは?

G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合が開催される札幌市のゼロカーボンシティに向けた取り組みとは?

2020年2月、札幌市は2050年までに市内のCO2排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。2023年4月15日、16日には、同市でG7サミットの気候・エネルギー・環境大臣会合(名称:G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合)が開催されます。

政府が2022年10月から始めた「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の発足式では、市長の秋元克広氏が「G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合は脱炭素に向けた取り組みを世界に広く発信する絶好の機会と捉えています」と意気込みを語りました。

同市では、G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合の開催を記念して、市民を対象とした環境に関するイベントなども行う予定です。今回は、こうした施策に携わる環境都市推進部の富士本雄大さん、海鋒明久さん、G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合実行委員会事務局の西祐樹さんに話を聞きました。

富士本 雄大(ふじもと たけひろ・右)、海鋒明久(かいほこ あきひさ・左)、西祐樹(にし ゆうき・中央)
富士本 雄大(ふじもと たけひろ・右)、海鋒明久(かいほこ あきひさ・左)、西祐樹(にし ゆうき・中央)

同市では、市有施設の省エネ対策の徹底や、主な施設で使う電気を再生可能エネルギー100%に切り替えるなどの取り組みによって、ゼロカーボンシティの実現を目指している。

――脱炭素に向けた札幌市の取り組みを教えてください

本市では、2050年に市内のCO2排出量を全体としてゼロにする「ゼロカーボンシティ」を目指しています。そのために、2030年のCO2排出量を2013年と比べて59%削減するという目標を設定しました。これは、国の掲げる46%という目標より高いものです。

これらの目標を達成するために市民に呼び掛けているのは、家庭での節電やできるだけ環境負荷の少ない製品やサービスを選ぶ「ライフスタイルの変革」です。よりCO2排出量の少ないライフスタイルに転換することは、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」でも推奨されています。

本市は積雪寒冷地ということもあり、家庭の暖房に使うエネルギー量が全国平均の約3倍です。また、家庭の暖房の半数以上で灯油が使われています。一般的に、灯油による暖房では、電気やガスを使うよりも多くのCO2が発生します。

そのため、電気やガスを使う機器に買換えることで、エネルギーの使用量とCO2排出を減らすべく、ライフスタイル変革の取り組みの一つとして、2022年度は、家庭の暖房・給湯機器の買換えの補助を行いました。さらに、家庭で太陽光発電設備を設置し、発電した再生可能エネルギー由来の電気を使用することなどによっても、より多くのCO2削減を見込むことが出来ます。

――4月には、G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されますね。これをきっかけに、どのようなことに取り組む予定ですか?

7年ぶりに日本で開催されるG7サミットの14の関係閣僚会合のうち、札幌市では、G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されます。脱炭素や環境に関する問題を解決するためには、具体的なアクションを起こしていかなければなりません。G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合の開催をきっかけとして、北海道の脱炭素につながる取り組みを加速させたいと考えています。

その一環として、北海道民の皆さんにも環境への関心を高めてもらうために、4月15日(土)~16日(日)に、環境に関する展示や体験を通じて楽しめるイベント「環境広場ほっかいどう2023」を開催します。これは、1998年から継続的に行ってきた総合環境イベント「環境広場さっぽろ」の開催時期を夏からG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合同日に変更して行うものです。

タレントのトークショーや「空飛ぶクルマ」など最先端の技術に触れることができたり、楽しみながら環境について学ぶことができるイベントになっています。多くの北海道民が参加することで「環境のために明日から自分には何ができるかな」と考えるきっかけにしてほしいと思います。

過去に開催された総合環境イベント「環境広場さっぽろ」の様子

過去に開催された総合環境イベント「環境広場さっぽろ」の様子
2022年の開催ではリアル会場15,234人、オンライン6,036人が参加した

――ゼロカーボンシティの実現に向けた展望を教えてください。

寒冷地という地域の特性を踏まえながら、ゼロカーボンシティの実現につながる新しいライフスタイルへの転換を、さらに促していきたいと考えています。そのために、イベントなどを通して、市民の環境への意識を高め、この度開催されるG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、本市のゼロカーボンシティに向けた取り組みを、今後、世界に発信していきたいと思います。


国は2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指していますが、札幌市のように、独自でさらに高い目標(59%削減)を設定し、積極的に進めている地域もあります。これらを達成するためには、地域にあった「ライフスタイルの転換」を一人一人が実施していくことが重要となります。

皆さんも、脱炭素社会の実現に向けて、住んでいる地域でどのような環境に関する取り組みが行われているかを調べて、イベントなどに参加してみませんか。楽しみながら体験や情報が得られます。そして、CO2排出量の少ないライフスタイルを、できるところから始めていきましょう。