静岡県浜松市にある中高一貫教育校の浜松開誠館中学校・高等学校。2019年10月に使用する電力を100%再生可能エネルギーへ転換することを目指す「再エネ100宣言 RE Action」に、国内の中学校・高等学校として初めて参加しました。
具体的な取組みとして、2022年10月には体育館の屋上にオンサイトPPAモデル(注)により太陽光発電設備を設置し、運転を開始しています。
生徒の提案がきっかけとなって、「再エネ100宣言 RE Action」に参加
浜松開誠館中学校・高等学校による活動の特徴は、生徒が主体的に取り組んでいるという点です。きっかけは、2019年に外部の講師を招いて開催した気候変動の講演会。自然エネルギー100%大学を目指す千葉商科大学の事例に関心を持った生徒が、「私たちの学校も電力を再生可能エネルギーに変えることはできないか」と理事長に提案したことから、学内が一体となって検討を始め、「再エネ100宣言 RE Action」に参加することになりました。
また、同年には約400名の生徒が、浜松市内でグローバル気候マーチを実施。その活動は、「令和2年版環境白書」でも紹介されました。
生徒が提案した再生可能エネルギーの取組みを、学校側も真剣に受け止めて、具体的な再エネのアクションとして実行している浜松開誠館中学校・高等学校。取組みの方針や今後の活動について、高橋校長に話を聞いてみました。
再エネを導入した体育館は、災害時の避難場所としての活用も検討
―再生可能エネルギー導入に取り組む経緯について。
浜松開誠館中学校・高等学校は、社会の変化に対応するグローバル人財の育成に向け、「未来を育む教育」を掲げて育みをしています。その中で「SDGs」を通した学びを柱として、探究的な学習に取り組み、気候危機やエネルギー問題をはじめとした社会課題に生徒たちが主体的に挑んでいます。こうした取組みにより、学校に対して生徒より再生可能エネルギー比率100%導入という提言があり、さらには学校の枠を超えて、他校の生徒とも連帯して課題解決につなげようと動き出しています。こうしたことを受け、当校では未来に生きる子どもたちのために、再生可能エネルギー比率100%の目標達成に向け、具体的な行動をとっていきます。
―今後の取組みについて。
当校が目標に掲げる2040年使用電力の再生可能エネルギー比率100%(中間目標:2025年再生可能エネルギー使用比率25%)の達成に向けて、ロードマップを作成し、施策を検討してきました。
そのフェーズ1として、2022年10月よりオンサイトPPAモデルによる太陽光発電設備を設置し、体育館で使用する電力の約18%を再生可能エネルギーに切り替えます。加えて、災害等による停電発生時に、体育館を地域の避難所として活用することにし、発電した電気を直接建物に供給するオンサイトの強みを活かした災害レジリエンスの強化も同時に図っていきます。
今後は2022年から2024年にかけて浜松開誠館中学校・高等学校の校舎全館における照明設備のLED化や、空調設備を高効率機器へ更新することで省エネを図り、再生可能エネルギーの使用比率を高めていく予定です。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、重要な役割を果たす再生可能エネルギー。その導入や普及のために、次世代を担う若い人材も積極的に活動をしています。