CO2削減のために、いまできるコト
~健康作りの基本は体を動かすこと。
環境への配慮と健康管理で一石二鳥~

菅原 道仁
All About「家庭の医学」ガイド:菅原 道仁
  • ライフスタイル

地球温暖化は、環境だけでなく健康を大きく変える

地球温暖化が進むと、私たちの心身の健康にも影響が出てきます。まず気温が高くなるので、夏には熱中症など体の負担が大きくなりますね。夜は暑く寝苦しいため、ストレスを感じたり、疲労回復もしにくいでしょう。快適に生活するには、住宅の断熱性能を高め、空調を上手に使うなどの対策が必要です。

また、特に怖いのは感染症です。温暖化によって日本が熱帯に近い環境になれば、リオ五輪で話題になったジカ熱のように、これまで珍しかった感染症も増えてきます。免疫力の低い高齢者や小児などは、いっそう気をつけなければなりません。地球温暖化を防いで、これまでの気候を守ることが健康にもつながります。

便利になるほど、人の運動量は減ってしまう

今は交通網が発達し、何をするにも便利な時代です。健康維持に欠かせない運動量は、本当に減っていると感じますね。歩数計で測ると、1日に2,000歩程度しか歩いてない方も。運動不足になると筋力が衰えて、骨がもろくなったり、内臓機能が低下したり、生活習慣病にもかかりやすくなってしまいます。

毎日の家事でも、洗濯なら昔は板でゴシゴシ洗っていたものが、今はスイッチひとつ。床の雑巾がけはお掃除ロボットに任せ、人はどんどん動かなくなります。ときには少し不便になっても、暮らし方を変えてみるのもいいかもしれません。エネルギー消費を抑えて環境の負荷を軽くするために、家電を使わずに家事をしてみたり、移動のときはエレベーターでなく階段を使い、短い距離なら車やバスに乗らずに歩いてみましょう。ちょっとした習慣づけをするだけで、運動量は自然とアップします。環境への配慮と健康管理が同時にできて、一石二鳥ですね。

人との暮らしは、高齢者の健康維持に効果的

日本は高齢化社会を迎えています。いくつになっても心身の健康を保ち、元気でいるためにお薦めなのは、孤立せずに常に人と接して暮らすこと。子世帯との同居でも、施設などでの集団生活でもいいと思います。誰かと会話し、遊び、一緒に行動し、何かに興味を持つことが大事なのです。他人とのコミュニケーションで脳のマンネリ化を防ぎ、イキイキと暮らせるでしょう。

万一体調が悪くなっても、人の目があればすぐに対応することができるので、精神的にも安定しますね。いつも人が近くにいることで安心な社会になり、暮らし方が変わることで電気や冷蔵庫、冷暖房をシェアすることができて、エネルギー消費のムダをなくすことにつながります。

エネルギーを大量消費する医療。病院側の努力も

医療現場でも、CO2削減については厚生労働省や日本医師会などから目標値が定められ、努力を続けています。もともとMRIなどの医療機器は、大量のエネルギーを使うもので、24時間稼働している機器も多いため、小さな病院でも光熱費は膨大になります。

医療機器メーカーでは、省エネできる機器の開発に取り組んでいます。最近では、屋根に太陽光パネルを設置して、再生可能エネルギーを利用する病院も増えてきました。私たち医師も、適切な検査で医療機器の使用電力を抑えてCO2を削減したり、適切な投薬でムダをなくすなど、地球にも優しい医療を心がける必要があると思いますね。

「COOL CHOICE(=賢い選択)」にご賛同ください。

「COOL CHOICE」は、CO2などの温室効果ガスの排出量削減のために、低炭素型の製品・サービス・ライフスタイルを賢く選択していこうという取り組みです。未来の地球のために、「COOL CHOICE」に賛同して、できることから始めてみませんか?

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この記事を書いた人

菅原 道仁
All About「家庭の医学」ガイド:菅原 道仁

現役脳神経外科医。脳血管障害を中心に、救急医療からリハビリテーション、予防医療までの現場経験を元に、くも膜下出血・脳梗塞・認知症などに代表される脳・神経の病気について、役立つ情報をお届けします。日本健康教育振興協会会長、日本体育協会公認スポーツドクター。