寒い、暑いなどの不満を感じやすいのは、当然ながらリビング・ダイニング・キッチン(LDK)や寝室など滞在時間の長い部屋です。とくにLDKは「住まいの中心」になる場所なので「暖かい・涼しい・明るい・風が通る」などの満足感を求めたい部屋です。ですので、既存住宅に引っ越す予定の人は、候補となっている家のLDKにまず注目するでしょうし、一戸建ての注文住宅を検討している人は、いかに快適なLDKをつくるかに注力するはずです。もちろん、この姿勢は大正解です。
一方、キッチン、洗面脱衣室、浴室、トイレなどの、いわゆる「水回り」と呼ばれている部屋では、収納や機能などの使い勝手に関わるところに注目しがちです。しかし、キッチンはもちろん、洗面脱衣室、浴室、トイレといった部屋が、“心地よさや暮らしの豊かさ”を大きく左右することを忘れてはいけません。とくに日本人が大好きな入浴においては、ゆったりとお風呂に入る時間を大切にしているでしょうし、トイレを「第二のリビング」として、そこでゆったりと過ごしたい人も増えているようです。洗面脱衣室も、女性がお化粧をしたりお肌のケアなどをする場所として定着し(以前、お化粧台は寝室にありました)、その重要性が高まっています。
また水回りの大きな特徴は「湿気の発生源がある」というところであり、結露やカビが発生しやすい場所です。さらに言えば、洗面所(脱衣所)や浴室の冬場の温度はヒートショックという重大な健康問題にも大きく関わっています。
そう考えてみると、省エネ住宅を選び、建てていく上で、水回りも「暖かい・涼しい・明るい・風が通る」といった基本的な快適性に加え、さらに「湿気が溜まらない・カビが発生しない」といったところに留意しないといけない、とても重要な場所であることがわかってきます。
前回「既存住宅に引っ越す場合のチェックポイント」について書きましたが、水回りに求められる「冬の暖かさ(断熱性能)」と「湿気やカビの状況」ついてはこのチェックポイントがそのまま使えます。水回りはとくにこの2つのことが重要ですので、ぜひ参考にしてください。
また、リフォームを検討している人に強くお伝えしたいのが「水回りの設備を交換するのと同時に断熱性能を向上させよう!」ということです。リフォームしたいという動機の上位は昔も今も「お風呂を替えたい、トイレを替えたい、キッチンを替えたい、」といった、設備を交換したいという要望です。こうしたリフォームは、同時に水回りの快適性を向上させる大きなチャンスです。もう少しだけお金を使って、窓の断熱性能を向上させたり(これがいちばん簡単で効果的)、さらに壁の断熱性能を向上させることを考えてほしいと思います。
このときのポイントは、住設の取り替えだけでなく、その周囲の床・壁・天井の断熱にも、一定の知識と経験を持っている事業者を選ぶということ。そうすることで「同じ金額で多くのメリット」が得られます。「こんな内容のリフォームをすれば、窓から逃げる熱が半分になる」というふうに、その効果を具体的な数値で言ってくれる工務店や住設機器メーカー、販売店を探してください。
次回は、健康的で快適な省エネ住宅を手に入れる8つのポイントをお話します。
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