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お歳暮やおせちの宅配方法で新しい取り組みを始めたイオン株式会社とJR東日本

宅配便の利用が最も多い時期だからこその取り組みを実施

お歳暮やおせちの宅配など、宅配便の利用が1年のうちでもピークを迎える年末年始。イオン株式会社とJR東日本が、物流の配送改善を目的とした新しい取り組みを行い、ピークシフトや再配達削減に向けた波及効果などをもたらしました。どのような取り組みを行ったのでしょうか?

配送物の新しい受け取り方がピークシフトや再配達削減につながった

近年、インターネット通販やネットスーパーの利用客と利用回数が増えたことで、配送会社の慢性的な人手不足が問題視されるようになりました。弊害のひとつに再配達の増加があげられます。特にお歳暮や宅配おせちなど配送物量が急増する年末年始は、宅配便の受け取りの日時指定が困難になり、必然的に再配達が増えてしまいます。

再配達が増えることで、配送トラックから排出されるCO2の排出量も増加し、環境保全の観点からも悪影響をもたらしてしまいます。これらの問題を解決するにあたり、配送会社を始め、販売業者、小売店、宅配便の利用者それぞれが協力しあって、再配達の防止に努めることが大切です。

さて今回、イオン株式会社とJR東日本が実施した取り組みは、配送のピークを迎える年末に配送物の新しい受け取り方を提示したものでしたが、ピークシフトや、再配達を抑制する効果も期待できる結果となりました。効果をもたらす鍵となったのは、利用者が宅配便の送り方と受け取り方を変えたことでした。

ここからは詳しいお話を伺っていきます。

■「お歳暮」から「冬ギフト」に
 既成概念を取り払うことで12月の配送物量を平準化(イオン株式会社)

イオン株式会社では、物流の効率改善を目指した社会実験のひとつとして、2018年11月にお歳暮の早期お届け促進キャンペーンを実施しました。

取材協力:イオン株式会社 グループ経営企画部 提携推進チーム リーダー 初鹿友志氏
(取材協力:イオン株式会社 グループ経営企画部 提携推進チーム リーダー 初鹿友志氏)

「この取り組みは、通常12月に配送されるお歳暮を、人員不足が深刻化する前の11月中に届けることで配送のピークをずらし、配送物量の平準化を行うことが主な目的です。お客さまに円滑に配送物を受け取っていただくためのサービスの一環として実施いたしました」

キャンペーンのPR方法として「お歳暮早期お届け(11月中のお届け)ご協力のお願い」と綴ったチラシをお客さまに配布。11月限定商品をお買い上げの上、11月21日?30日に配送指定を行った依頼主とお届け先の合計1万名さまに、カタログギフトが抽選で当たる特典をつけて訴求しました。さらに、販売員がたすきをかけてキャンペーンをアピールすることでマスコミ各社からも取りあげられ、取り組み初年度にもかかわらず、多くのお客さまから高い関心を集めることにもつながりました。

販売員たちが、たすきをかけてアピール
販売員たちが、たすきをかけてアピール

イオンでは来年度以降も、今回の取り組みの継続を検討。夏のお中元シーズンには配送時期を前後に拡大することも検討しています。将来的には、母の日や父の日、クリスマスなどシーズンギフトの対策にも取り組むことで、年間を通じて配送の平準化を検討しております。

■予約したおせちを駅で受け取る「ネットでエキナカ」で
 宅配ストレスと再配達を解消(JR東日本)

昨今のライフスタイルの変化によって、かつては各家庭で手作りしていたお正月のおせちをインターネットで予約注文する家庭が増えてきました。年々増え続けるおせちの需要に注目し、JR東日本が運営する通販サイトJRE MALL内の事業「ネットでエキナカ」では、事業開始から初めてとなる宅配おせちの販売をスタートしました。

ネットでエキナカ

「ネットでエキナカ」とは、エキナカの商業施設、エキュート等で販売されている人気のお弁当やお土産などを、インターネットで予約注文し店舗で受け取る、2014年11月にスタートしたJR東日本の事業。現在は東京駅や上野駅など、都内のターミナル駅を中心に展開するエキュートやグランスタで商品を受け取ることができます。

そんな「ネットでエキナカ」の新商材として加わったのが宅配おせちです。おせち販売に至った経緯を伺いました。

取材協力:東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 新事業・地域活性化部門 事業開発グループ 荒木裕徳氏
(取材協力:東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 新事業・地域活性化部門 事業開発グループ 荒木裕徳氏)

「これまではクリスマスケーキ、恵方巻き、母の日ギフトなどを扱っておりましたが、市場のニーズを捉え、新たなビジネスチャンスが生まれることを期待しておせちの販売を計画しました。実証実験的な意味合いも含め、一部商品を除き、商品の受け取り場所を品川駅に暫定的に設置した受け取りカウンターに限定しました。初めての試みでしたが、12月20日現在で売り切れの商品もあるほど、期待を裏切らない好スタートを切ることができました。エキナカで出店のない老舗料亭たん熊北店の2?3万円代の高級おせちや、お子さまが独立されたご夫婦やDINKS家庭のための小さいサイズの『夫婦おせち』など、厳選した商品をご用意したことも好スタートに結びついたかと思います。通常では「ネットでエキナカ」の利用者層は30?50代の女性が中心ですが、おせちに関しては品川地区の居住者を始め、年齢層も性別も拡大してご予約がありました」

エキナカおせち2019

受け取り場所を品川駅にした理由は、一昨年前に鮮魚の予約販売や働く女性向けの時短ファッションの催事を行った際、多くの利用客を集めた実績があったため。生活動線の中に品川駅がある人たちをメインに、エキュートや周辺の商業施設の買い物客など、多くの人が立ち寄りやすい駅ということで選ばれました。今後は商品を受け取れる駅を増やし、出店数や商品数の拡大も検討したいとのこと。

さらに利用客にとっては、宅配ストレスを解消できるというメリットもあるため、利用数の拡大につながったと考えています。年末の繁忙期、おせちを受け取るために自宅待機しなければならないことをストレスだと感じる利用客は多く、通勤の合間や遊びに行った帰りなど、都合の良い時間に駅で受け取ることができる今回のスキームが歓迎されたと予想されます。

また、JR東日本では、今回の取り組みを社会貢献の一環として認識しており、今後は通販商材が受け取れる宅配ロッカーの設置推進等により、物流問題や再配達の軽減に尽力したいと話しています。

■継続したPRで他業種への呼びかけも行いたい

再配達削減に一役を買う一方で、小売業者として年末商戦の観点からのハードルなども聞いてみました。

初鹿氏(イオン株式会社)「配送時期をずらすというのは日本の慣習を変えるような取り組みですので、当初から長期的な計画として考えています。その一方で、店頭でチラシを受け取ったお客さまからは『新聞やニュースで見たキャンペーンですね』などお声をかけていただけたので、初年度としてのPR効果は十分あったと認識しております。今現在、まだ年末商戦が終了しておりませんので、正確な数値は出せませんが、少なくとも例年に比べて11月の冬ギフトの注文数は伸びております。この取り組みが他業種まで拡大することで、物流問題の解決に繋がることも期待しています」

荒木氏(JR東日本)「開始当初は予約注文の出足が鈍くメンバー内では焦りの声が多少あがりました。クリスマスケーキは順調に注文数が伸びておりましたので、私自身も見込みが間違っていたのかもしれないという心配もしました。しかし、12月の第2週から注文数が一気に上昇しまして、予定数に達する商品も出てまいりました。取り組み初年度のため比較はできませんが、駅受け取りのおせちに関しては直前の予約が多いということがわかりましたので、来年度実施する場合はPRの見直しなどで生かしていきたいと考えております。このスキームがビジネスとして成立し、取り組みが拡大すると再配達削減の観点でさらなる社会貢献につながると考えておりますので、これからも引き続き検討を続けてまいります」

■1人1人のちょっとした心がけが環境に優しい社会づくりにつながる

今回のイオン株式会社とJR東日本が実施した新しい取り組みによって、利用者自らが宅配便の送り方と受け取り方を見直し、配送会社の物流ピーク問題と再配達削減にも良い影響をもたらしていることが見えました。

今後も、新生活の準備やお中元、シーズンイベントなど様々なシーンで宅配便の利用が増えることが予想されます。配送が集中するイベント当日などは年末年始同様に日時指定ができない可能性もあります。配送のピークを避けて日時指定を行う、荷物の受け取り場所を駅やコンビニに変更するなどちょっとした心がけで、宅配ストレスもなくなり、再配達の削減にもつながります。

お中元やシーズンイベントなどの宅配便の送り方、受け取り方を変える取り組みは、企業にも利用者にもメリットが生まれます。ぜひ、取り入れてみませんか?

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(令和4年3月更新)

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