再配達防止で低炭素社会を目指す
「アイデア開発プロジェクト」がスタート!
環境省が推進する再配達防止プログラムは、学生発信で進みます。
環境省が推進する「COOL CHOICE できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」の一環として、若年層への効果的な普及啓発策を学生と一緒に創る「アイデア開発プロジェクト」が環境月間である6月からスタートしており、現在はアンケート調査や受取体験等の取組を進めています。
今回は6月に行われた学生へのインタビューをご紹介いたします。プロジェクトのメンバーを代表して、気候変動問題をテーマに活動している青年環境NGO Climate Youth Japan(クライメートユースジャパン)に所属する学生5人に集まっていただきました。「小学生の頃から環境問題意識があった」(堀さん)、「環境学部で日頃から勉強している」(福島さん)などのエピソードから、環境問題への意識が高い学生であることが伺えます。
キックオフ当日は「メンバーが普段どれくらい1回で受け取れず再配達をお願いしているか」「再配達がいまどのような社会問題になっているか」について、意見が交わされました。
「配送ドライバーさんに申し訳ないと思うけど……」
一人暮らし派、実家派の再配達事情
5人がネット通販を利用する頻度は、2週間に1回から2ヶ月に1回と少なめながらも、全員が「再配達」の経験者です。
さらに、「一人暮らし派」と「実家派」では、再配達を依頼する意識に違いがあります。
一人暮らし派の理由は「指定した配達時間帯中ずっと家で待っていられないんです」(新荘さん)、「実家から届く荷物など、こちらが時間帯指定していない荷物が届くときに限って不在がちなんです」(堀さん)など、一人暮らしならではの問題があります。
実家派からは「インターホンが鳴っていることに気づかないことが多いんです」(佐本さん)などの声があがりました。
理由は人それぞれですが、再配達依頼したことへの後ろめたさがあるようで……。福島さんは「荷物を1回の配達で受け取れなくて、ドライバーさんに迷惑をかけてしまっていると感じています」と話していました。
「配達の人がどんな人か分からないと、初回の配達では居留守を使ってしまう」との女性で一人暮らしをする友人の体験を聞かせてくれたのは佐本さん。
気づかなかった!
再配達防止は、私たちが今すぐできる環境対策
再配達が社会問題になっていることを認識している5人に、具体的にどんな問題があるかを聞いたところ、ほぼ全員から「長時間労働など、働き方の面で問題になっていること」が挙がりました。再配達問題が労働問題だけでなく環境問題にもかかわっていることは、メンバー全員、今回のプロジェクトに参加する前は、あまり意識したことがなかったようです。
そう、再配達問題は、環境問題とも大いに関係しているのです!再配達になってしまうと、ドライバーさんは何度も届け先まで車を走らせなければなりません。再配達が増えれば増えるほど、車から排出されるCO2が増えてしまい、地球温暖化にも影響を及ぼしてしまう……というわけです。
「言われてみれば、再配達を減らすことは自分たちも今すぐできる環境対策ですね」と、日頃より環境問題への意識が高いメンバーも、新たな身近でできる環境対策を発見して驚いていました。
再配達をしなくて済む荷物を1回で受け取る方法は?
私たちの立場から対策を考えよう
再配達防止が地球温暖化の抑制につながることを知った5人ですが、再配達以外で荷物を受け取る方法を活用する機会は滅多にないと言います。「つい最近、コンビニ受け取りができることを知った」「配送業者に『玄関に荷物を置いてもらえれば大丈夫』と言ったけど、受け取りサインができないので断られた」などの意見を聞くと、再配達以外の受け取り方法は、学生世代の人たちにとって馴染みが薄いことが分かります。
「電話やアプリで自宅まで届けてくれる現状の再配達は便利なのでついつい気軽に再配達をお願いしてしまう」という意見が、受取人の立場から出てくる本音のようです。
読者のみなさんも、同じような考えを持つ方が多いのではないでしょうか?「再配達以外で荷物を一度に受け取れる方法を知らない」「再配達が便利だからそうしている」といった現状から、どのような新しい発想が生まれるのか、そしてどのような再配達防止策を生み出してくれるのか……。それは「アイデア開発プロジェクト」を進めるなかで徐々にカタチになってくるでしょう。
最後に堀さんが、メンバーを代表してプロジェクトへの抱負を語ってくれました。「再配達問題は、環境や労働などさまざまな領域の問題に絡んでくる。だからこそ、あらゆる世代の人が関わって解決できる問題なのだと、今日のキックオフを通して感じました。これからの世代を担う者として、皆で一生懸命知恵を出し合いながらプロジェクトに取り組んでいきたいです」