「宅配便1回で受け取りませんか」お中元シーズンに全国の百貨店も呼びかけ
宅配便が急増するお中元シーズン
宅配便の量は年々増えていますが、特に多くなるのがお中元やお歳暮のシーズンです。百貨店業界では、この夏のお中元から、お客様に再配達防止を呼びかける取り組みをスタート。日本百貨店協会が中心となり、加盟各社の200店舗以上で実施しています。その経緯や内容について、日本百貨店協会の専務理事・山崎茂樹氏にお話を伺い、また、実際に西武渋谷店のお中元ギフトセンターで現場の声をお聞きしました。
百貨店が業界全体で宅配便再配達防止に協力
■百貨店としてこのプロジェクトに取り組むことになったきっかけは
山崎専務理事:百貨店は建物も大きいですし、存在感もそれなりにあります。それだけに多くの電力を使い、CO2を排出するという側面もあります。企業として存続していくためには、全ての事業活動の中で、環境負荷・社会的コストの低減に向け、こういった課題に配慮することが不可欠です。これまでは、店内でクールビズ等の低炭素なライフスタイル提案を行ってきました。さらなる対策の一つとして、私たちができる、環境に負荷をかける物流問題への取り組みの必要性を感じていましたので、今回、協会の加盟店に協力をお願いしました。
各店のキャンペーンへの参加意識
■実施中の店舗からの反響はいかがですか?
山崎専務理事:加盟各社からはポジティブな反応をいただいています。LEDへの切り替えや屋上緑化などと同様、時代に沿ったものだから賛同もしやすいのだと思います。お客様にとっても百貨店にとっても、「地球にいいことをしている」ということで、歓迎されているようです。定着までには多少時間がかかるかもしれませんが、だからこそ、この活動を続けることが大事だと思っています。
お中元ギフトセンターではPOPでアピール
実際に西武渋谷店のお中元ギフトセンターを訪れてみると、順番待ちのカードを受け取る機械の近くや、お客様の注文を受ける各ブースなど、目につきやすい場所にキャンペーンのPOPが掲示されていました。こちらでお話を伺った(株)そごう・西武CSR・CSV推進室シニアオフィサーの鈴木英伸氏によると、「お中元は、ご自宅に送ってから先様にお持ちになる場合やご自宅での消費用に買われるケースも少なくありません。そのようなお客様が配達日時のご指定をされる際、できるだけ1回で受け取っていただけるようにお願いするツールとして活用しています」とのことでした。
売り場担当者からもお客様へ説明
お客様には口頭でも説明をしているそうです。また、手続きなどでお待ちいただいている間に、POPをご覧になっているお客様もよくいらっしゃるとのこと。鈴木氏からは「百貨店からお中元を送る時に限らず、普段の生活の中での再配達防止の意識を高めることにも一役買っているのでは」「店舗での販売はお客様と直接コミュニケーションできる貴重な場ですので、社会的な課題についてお伝えするのは使命だと思います」などのご意見も伺いました。
日時指定にご協力ください
百貨店業界はこのような取り組みを推進中です。自宅はもちろんのこと、親しい親戚や実家など、比較的在宅日時が把握しやすい関係の方なら、日時指定が可能な場合があるのではないでしょうか。お中元と一緒に、環境を大切にする心も贈りたいですね。