COOL CHOICE できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン

受け取り時の選択肢で再配達を防止。ネット通販事業者の取り組み

増え続けるネット通販の利用

ここ数年、ネット通販の利用が急増し、宅配便の取扱個数が大幅に増えています。その一方、一人暮らしや共働きの夫婦も増えたため、荷物が受け取れず再配達になるケースも多く、CO2の排出増加やドライバーの労働環境への影響など、社会的損失を招いています。
このような背景のもと、ネット通販事業者の中には、再配達を防止するために独自の工夫をしている企業があります。今回はその取り組みをご紹介します。

いち早く置き場所指定お届けサービスを実施
─ファンケル─

化粧品、健康食品を販売するファンケルでは、早くからお客様のご都合に合わせた「置き場所指定お届け」サービスを行っています。玄関前やガスメーターボックスの中など、指定した場所に商品を届けてもらえるこのサービスは、お客様の利便性向上とともに再配達防止に役立っています。内容についてお話を伺いました。

〈取材にご協力いただいた方々〉株式会社ファンケル カスタマーサービスセンター 物流部 部長 中澤啓至氏 カスタマーサービスセンター 物流部 物流企画グループ 海上元秀氏

再配達防止に役立ち、お客様からも高い評価

■スタートの背景や利用状況は

カスタマーサービスセンター 中澤氏:「置き場所指定お届け」サービスを始めたのは、今から約20年前の1997年です。女性の社会進出が増えた時期で、仕事が忙しく、自宅で荷物が受け取れない、受け取りのために時間が拘束される、あるいは、在宅中だけど赤ちゃんが寝ている時にインターフォンを押されたくない、体が不自由ですぐに玄関に出られない、ドライバーさんと直接顔をあわせるのに抵抗がある…など、そういったお客様の不便を解消したいという思いから、このサービスが生まれました。
宅配便の再配達が社会問題としてクローズアップされていますが、その防止にも役立っているため、最近ではさまざまな企業から「置き場所指定お届け」サービスに対する関心の声が増えています。
カスタマーサービスセンター 海上氏:通信販売でお届けしている荷物のうち約3割はこのサービスで届けられています。2016年度の実績で一番多く指定いただいた場所は玄関前で約4割、残りの約6割は宅配ボックスや集合ポスト、ガスメーターボックスの中などさまざまです。

置き場所の事例 車庫や物置、宅配ボックス、洗濯機の中など9箇所ある置き場所より選択いただけます。

中澤氏:希望される置き場所が選択肢にない場合はお客様の任意の場所にお届けすることも可能です。また、万が一紛失事故があった場合は、当社が補償することになっていますが、これまでほとんど発生したことはありません。

■お客様からの反響について

海上氏:お客様からは、「再配達になってしまうと、配達業者へ連絡をしなくてはならないので、指定の場所に置いてもらえるのは、手間がかからずとても便利」とご好評をいただいています。また、当社では、商品の合計容積を自動的に計算し、それに適した箱が選定されるようにしていますが、実際商品を詰めてみて、調整が必要な場合は現場の判断で、箱を適切なサイズに変更もしています。必要以上の大きさの箱を使わないように、梱包についても工夫するようにしています。

中澤氏:最近では、お客様からも、もう少しコンパクトな箱でもいいですよという声をいただくなど、環境意識が高まっていることを感じます。今後、通信販売をご利用になられるお客様が増えることで、宅配便の取扱い個数も一層増えることが予想されます。「置き場所指定お届け」サービスの取り組みを、さらに多くのお客様に知っていただき、ご利用いただくことで再配達問題を解消する一助になればと思っています。

取材風景
ポイントキャンペーンや受け取り方法の多様化で再配達を防止
─楽天─

楽天では、1回での受け取りを促進するポイントキャンペーンの実施や、ターミナル駅や大学などの一角で宅配便が受け取れる楽天BOXの設置などで、再配達問題に取り組んでいます。その内容についてお話を伺いました。

〈取材にご協力いただいた方〉株式会社楽天 ECカンパニーSCMイノベーション課 ヴァイスシニアマネージャー 佐藤敏春氏

ネット通販事業者としての工夫を探る

■取り組みの背景と内容は

ECカンパニーSCM佐藤氏:「COOL CHOICE」に賛同したことや、再配達問題がクローズアップされたことから、2017年4月と12月に、ポイントが2倍になるキャンペーンを行いました。ご注文の商品を、受け取り場所を指定したり、自宅で日時指定するなどして、1回で受け取られたお客様が対象です。お客様には好評で、特に最初行った時は、コンビニで受け取る方が増え、キャンペーン後もリピートしてくださっている方が多いです。

また、自宅外でも商品が受け取れたら便利だとの考えから、2014年5月に関西のターミナル駅と大学に、宅配便が受け取れる楽天BOXを設置しました。現在では22ヵ所に設置しています。当初はお客様の利便性向上が目的だったのですが、結果的に再配達防止になり、宅配企業にも喜んでいただいています。今では提携企業の宅配ロッカーでも受け取れるようにしています。

再配達防止のポイントは2つあると思います。1つは受け取る場所で、自宅以外にも、コンビニや宅配ボックスなどで受け取っていただくこと。そしてもう1つは日時指定をしていただくことです。

■新たな取り組みについて

現在の状況について伺うと、「特に12月には出荷量が増え、宅配企業の方は大変です。通販サイトを運営している者の責任として、何かできないかと思い、2017年12月からは、日時指定をしていないお客様に対し、サイト上で『1回の配達で受け取れるように、お届け日時を指定しましょう』という文言が表示されるようにしました」とのお話がありました。受け取り場所も、地域によってはコンビニがない場所もあるため、2018年1月下旬からは、郵便局も指定できるようにしたそうです。

楽天BOX設置イメージ

今後もお客様、楽天市場への出店企業、宅配企業をつなぐ立場として、みんながウィンウィンの関係になるよう努めていきたいとのお考えを伺いました。

取材風景
コミュニケーションを重視した配送サービスを展開
─アスクル─

アスクルの個人向け通販サイト「LOHACO(ロハコ)」では、きめ細かい日時指定が可能な配送サービス「Happy On Time(ハッピー・オン・タイム)」で再配達防止に取り組んでいます。その内容や成果についてお話を伺いました。

〈取材にご協力いただいた方〉アスクル株式会社 デリバリーネットワーク本部 配送マネジメント 配送イノベーション 部長 吉村芳記氏

小刻みな時間指定やお知らせで受け取りをスムーズに

■サービスの内容は

吉村氏: 6時から24時の間で1時間単位で時間指定ができ、お届けまでにきめ細かいコミュニケーションを取ることによって、お客様が荷物をより受け取りやすくする仕組みが「Happy On Time」というサービスです。さらに、お届けの際は、事前にお届け予定時間帯を30分幅でお知らせし、お届け直前の10分前にも通知をします※1。お届けの1時間前からは、サイト・アプリ上でドライバーの位置を把握できる機能もあります※2。お客様からは、1時間刻みの時間指定が特に高い評価を得ています。

対象は現在、東京では11区、大阪では9区ですが、今後も一定の荷物量が見込める都市部での拡大を図っていきたいと考えています。また、AI(人工知能)を活用して配送計画の精度を上げ、より効率的な配送を行うことで、お客様にもドライバーにもメリットのある環境を作っていきたいですね。

※1 通知対象となる時間帯は9時~22時です
※2 各機能の利用には購入金額やアプリのインストールなど、一定の条件があります

Happy On Timeのおもな特長

■本サービスによる効果は

「Happy On Time」では、要望があった場合は、玄関や勝手口の前、車庫など希望の場所に荷物を届ける「置き場所指定配送」もできるそうです。その他、宅配ボックスへの投函について、直前まで変更できたり、ダンボールを回収してもらえるなど、さまざまな工夫で、スムーズな受け取りを促進しているとのこと。「Happy On Time」を利用した方の不在率は、多少アップダウンはあるものの、2017年8月以降のデータで約2%だそう。宅配便全体の不在率と比べると、かなり少ないと言えるでしょう。今後の目標として、不在率1%台を目指したいとのことです。

他にも、他社と提携して、生鮮食品を「Happy On Time」にのせて配送するなど、新たな事業もスタートしているそうです。今後もアスクルの技術をオープン化して、関連する取引先と連携していきたいとのことでした。

取材風景

受け取りやすい日時や場所を指定して、再配達防止にご協力ください

ネット通販事業者各社は、現在のような物流状況が続くと、いずれ商品が届けられない時代が来てしまうかもしれない…との危機感から、さまざまな対策を模索し、実践しています。
ネット通販を利用する方々は、できるだけ再配達にならないよう、受け取り日や受け取り時間帯の指定、また受け取りやすい場所を指定するなど、ご協力をお願いします。

「COOL CHOICEできるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」への賛同受付は終了いたしました。「COOL CHOICE」へのご賛同をお願いしています。賛同登録はこちら
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/join.html
(令和4年3月更新)

「COOL CHOICE(=賢い選択)」にご賛同ください。
「COOL CHOICE」とは、2030年度に温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減するという目標達成のため、低炭素型の製品への買換・サービスの利用・ライフスタイルの選択など、地球温暖化対策に資する「賢い選択」をして脱炭素社会を目指していこうという取組のことです。未来の地球のために、「COOL CHOICE」に賛同して、できることから始めてみませんか?
◆ご賛同はこちらから
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/join.html