再エネを無駄にしない“新しい電気の使い方” 「DR」とは?
〜電気が余る今、昼間に使う行動がカギ。DRの仕組みや実践のポイントを解説〜
太陽光などの再生可能エネルギー(以下「再エネ」)の普及により、春や秋の昼間には“電気が余る”現象が全国で発生しています。電気が余った際には発電を止める「出力制御」という措置が取られており、せっかく作った電気が“有効活用されていない”現実があります。
こうした背景の中で、注目されているのが「DR(ディマンド・リスポンス)」という仕組みです。例えば、電気が余る昼間に洗濯や給湯を行うことで、再エネを無駄なく活用し、暮らしをよりサステナブルにすることができます。 こうした行動変容を促すのが国民運動「デコ活」です。再エネの導入拡大で昼間の電力需要創出が急務となる中、デコ活は”昼間に電気を使う”という新しい暮らし方を提案しています。有効活用されていない再エネを賢く使う“DRという新常識”へのシフトこそが、地球にも家計にもやさしい未来を実現するカギです。
“電気が余り、有効活用されていない”時代に突入。なぜ今DRが必要とされているのか?
政府が策定した第7次エネルギー基本計画では、2040年度には発電される電気の約半分を再エネで賄い、2022年度の約2割から倍以上に増加させる目標を掲げています。これは、地球にやさしい電気を増やすための大きな一歩です。
その一方で、新たな課題が生まれています。それは、せっかく作った電気を使いきれずに“有効活用されていない”時間帯が増えていることです。特に太陽光発電が活発な昼間の時間帯には、作った電気が需要を上回り、バランスを取るために「出力制御」が実施されることがあります。せっかく作った電気を有効活用しないのは、 家計への負担軽減とCO₂削減の双方においてチャンスを逃す“もったいない”対応です。
例えば、「出力制御」によって無駄になる電力量は、年間ベースで数十億kWh規模に拡大しています。資源エネルギー庁によると、2024年度には、全国合計で約16億kWhに達したとの報告があり1)、一般家庭1世帯あたりの年間使用量3,950kWh2)を基準に試算すると、約40万世帯分に相当します。これだけの電気が有効活用されていない現実があるのです。
1):経済産業省「再生可能エネルギーの出力制御に関する短期見通し等について」
2):環境省「令和4年度家庭部門のCO₂排出実態統計調査」 資料編
【数字で見る】“電気が余り、有効活用されていない”現実。 「出力制御」は3年で約2倍に拡大
再エネの普及に伴い生じる“電気が余り、有効活用されていない”課題
データで見ると、過去3年間、再エネの普及に伴い“電気が余り、有効活用されていない”日数は確実に増えています。「出力制御」は、2022年度には94日だったのに対して2024年度には173日と、わずか3年で約2倍に増加3)しています。これは、年間のほぼ半分、日本のどこかで発電が止まっていたことに相当します。
特に、秋(10~11月/計61日間)は「出力制御」が多く見られ、2023年度は61日のうち40日(65.6%)、2024年度も33日(54.1%)で実施されました。曜日別に見ると、土曜日・日曜日の発生割合が高く、日曜日は3日に2回の割合で「出力制御」が起きています。休日は、工場やオフィスが稼働しないため、電力需要が減少します。一方で、太陽光発電などは発電を続けるため、電力が余りやすくなります。その結果、「出力制御」の対策が一層重要になります。
エリア別では、九州・四国エリアが高水準(30%超)を記録しました。さらに2025年度には、これまで未実施だった関東エリアでも初の「出力制御」が予測されています。こうした事実は、“電気が余る現象が全国的に広がっている”ということを示しています。再エネをより活かすには、電気を作る側の工夫に加え、使う側の新たな行動も欠かせません。
3):「出力制御」の発生日の日数は、全国の一般送配電事業者各社が公開している「再生可能エネルギー出力制御指示内容」の資料を元に作成
DRの全体像と、今注目の「上げDR」を知ろう。昼間に電気を使う新しい暮らし方
再エネをより有効に活用するための選択肢のひとつが、電気を”使う量”だけでなく”使う時間”を工夫する「DR(ディマンド・リスポンス)」です。ここでは、その全体像と、中でも今注目されている「上げDR」について詳しく紹介します。
DRには2タイプ。今必要な「上げDR」とは?
DR(ディマンド・リスポンス)は、電力の需給に合わせて電気の使い方を工夫する仕組みで、大きく2つのタイプがあります。
・「下げDR」:電気が不足するときに使用を減らす(節電型)
・「上げDR」:電気が余っているときに使用を増やす(シフト型)
「上げDR」とは、太陽光発電で電気が余りやすい昼間に洗濯や掃除、給湯の時間をシフトすることで、再エネを無駄なく活かす取組であり、これにより火力発電を減らすことができます。さらに、電力会社のプログラムに参加すると、協力に応じてポイント還元や料金割引などの特典が受けられるケースもあり、エコとおトクを同時に実現できます。
今日からできる「上げDR」!昼にシフトする工夫
ちょっとした工夫で、電気の有効活用に参加できます。次のようなアクションを試してみましょう。
昼間にできることの例
- 昼に炊飯し、夕食の準備を早めにする
- 休日の昼にお菓子作りをする
- タイマーを使って昼に洗濯、乾燥する
- アイロンがけや掃除を昼間に行う
- 給湯の湯沸かし設定を昼に変更する
「上げDR」を始めるなら今!ベストタイミングと参加の流れ
「上げDR」のゴールデンタイムとは?タイミングを見極めよう
「上げDR」のチャンスは、春や秋の晴れた休日の昼間。この時期は太陽光発電がフル稼働する一方、冷暖房の需要が減り、電気に“ゆとり”が生まれます。この時間帯に家事をシフトすれば、地球にも家計にもやさしい暮らしにつながります。覚えておきたいキーワードは「上げDR日和」。それは、春や秋の晴れた休日の昼間、太陽光発電で電気がたっぷり作られ、冷暖房や工場稼働が減って電気に“ゆとり”があるタイミングのことです。この時間帯に洗濯や給湯などの家事の時間をシフトすれば、再エネを無駄にせず、地球にも家計にもやさしい暮らしにつながります。
「上げDR」の実施の知らせはどう届く?「上げDR」の始め方とポイント
「上げDR」の実施は、当日の天候や需要状況などに応じて、各電力会社が決定します。実施日の通知は、前日に電力会社からメールやアプリで届く仕組みです。事前にプログラムへ登録しておけば、タイミングを逃さず参加できます。
▼参加の4ステップ(例)
- ① 電力会社のDRプログラムに登録(※各社のWebサイトやアプリで申込み可能)
- ② 通知を受け取る設定をオンにする:アプリまたはメールで「上げDR」実施のお知らせ」が届きます
- ③ お知らせが届いたら家事をシフト:洗濯・食洗機・給湯などを指定時間に実施
- ④ 取組に応じて特典をゲット:ポイントや料金割引など、参加メリットがあります



