「あれ、充電する場所って、意外といろいろなところにあるんだな」
最近、スマートフォンを持って街を歩いていて、そう思ったことありませんか?
実は電気自動車(EV)を走らせたときも、同じことを思ったりします。
「EVは、まだまだ手を出すクルマじゃないでしょ。充電インフラも少ないし、走行距離も短いし。まだ、ある一部の人たちだけの乗り物でしょ」
と思っている人も多いかも……ということで「じゃあ、実際にEVと2日間一緒に走ってみて、ニッポンのEV環境を確かめてみよう!」となり、広島からしまなみ海道を伝って四国入り、愛媛・八幡浜港からフェリーに乗って九州随一の温泉街 別府へとむかう旅へ、スタートしました。
連れていってくれるのは、日産リーフ。満充電での航続距離は322km。さて、どんな旅になるか……!?
満充電で300km走るEVで、400km先にある別府温泉へ
今回のEV旅は、広島駅から四国・愛媛を経由して、フェリーで豊後水道をわたって別府港へ――その道のり400km。
経由するのは―――広島(広島高速1号線/山陽自動車道)尾道(しまなみ海道)今治(今治小松自動車道/松山自動車道/国道197号)八幡浜(宇和島運輸フェリー)別府―――という400kmの行程です。
満充電で300kmを超えて走るはずですが、起伏のある山陽自動車道や、しまなみ海道を途中で外れて瀬戸の島めぐりをくり返すとなると、往路で充電は2回、3回と必要になるのではないかと予想。
車内についているナビや、スマホのEV充電設備マップサイトをチェックしながら、クルマを走らせます。
この時点で、スマホやノートパソコンを持ち歩くときに似た感覚を覚えます。給油ができるガソリンスタンド併設サービスエリア(SA)や、街なかのガソリンスタンドを検索するのと同じく、急速充電器があるスポットをチェックしながら走ります。
だから自ずと、昼ごはんも「急速充電器がある休憩所、急速充電器が近くにある店」を前提に探すことに。そんな感覚で最初にむかった目的地は……!?
因島のフォトスポットで、スマートなEVを実感
尾道から10kmほど南、瀬戸内海に浮かぶ因島へ。広島から1時間半、ちょうど100km走った。因島産直センターで、「きよみ」「はるみ」といった採れたてみかんをさっそく買い込みます。
しまなみ海道を走るサイクリストも、「必ず立ち寄る」というフォトスポットでパシャッ。小さなことですが、地元みかんが並ぶ産直売り場や、テラスで食べられるラーメン屋の前にクルマを停めるときも、排気ガスが出ないEVだと、クリーンで静かです。
「じゃあ、次に行こうか」と、航続可能距離をチェック。まだ150kmほど走れますが、「充電しながら、うまい地元ごはんを探そう」ということで急速充電器がある瀬戸田PAをめざします。
急速充電中に、ゆっくり流れる島時間を体感
瀬戸田PAで1回目の充電
瀬戸田パーキングエリア(PA)で、初めての急速充電。広島から110km、因島から10kmのポイントです。
急速充電器から延びる充電ケーブル(プラグ)を差し込み、充電スタート。このEVの場合、空のバッテリーが30分で8割まで充電できるため、今回は10分ほどプラグを差し込んだままひとやすみ。
出力電圧380V、出力電流120A、満充電まで10分という表示を確認して、海辺へ。瀬戸田PAにゆっくり流れる島時間を体感しながら、ひとやすみ。鳥の声、汐風にあたりながら、熱いコーヒーを飲みます。
スマホをチェックしてみると、「この瀬戸田PAの南に浮かぶ、大三島においしそうな地元ごはんがありそう」ということで、大三島へ向かいます。
大三島→八幡浜150km 無充電走破にトライ!
道の駅で2回目の充電
大三島 道の駅上浦町多々羅しまなみ公園で、地元の海の幸でお腹を満たし、急速充電器でバッテリーを満たし、ふたたびEVを走らせます。
満充電で、大三島からしまなみ海道から今治小松自動車道、松山自動車道を伝って八幡浜港へ。その距離150km。スペック上では満充電で300km以上走るEVなので、ほぼ充電なしで別府まで行ける計算です。
実は、八幡浜港と別府港を結ぶ宇和島運輸フェリーの最新モデルには、EV充電器が設置されていますが、「ここは大三島から別府の宿まで一気に行けるかどうか試してみよう」ということで、無充電走破にトライすることに。
山間を松山自動車道、大洲南インターチェンジから八幡浜港までの国道197号も、アップダウンが続く道。大三島から150km走って八幡浜港につくと、「残り100km弱走れる」と表示。別府港から今宵の宿までは10km弱ということなので、宇和島運輸フェリーの上では、「無充電で行ける」と踏んで充電器につなげずに海を渡ります。
揺れもなく、大きな窓に映る豊後水道の穏やかなキラキラをながめていると、右手に風力発電機の大プロペラが連なる佐田岬半島が見えてきました。
坂の別府温泉街、下り坂で「充電」を実感
九州に上陸し、別府温泉街をEVと一緒にドライブします。
別府港から「湯けむり展望台」「血の池地獄」をめざします。別府は海側から鶴見岳や内山、伽藍岳へむけてすぐに厳しい傾斜がはじまります。「湯けむり展望台」へも「血の池地獄」へも、急坂の連続です。
「湯けむり展望台」から「血の池地獄」へむかう急な下り坂で実感したのは、「あっ、いま充電している!」という感覚でした。
減速時のエネルギーを電力に変え、減速しながら発電する「回生ブレーキ」を体感できます。
バッテリーの減り具合も気にかけながら、航続距離と「万が一の急速充電器設置場所」をチェックして走る道中は、EVならではの走り方です。
モビリティの近未来を感じたEV長距離ドライブ
しまなみ海道で瀬戸内を、宇和島運輸フェリーで豊後水道を行き、本州~四国~九州と横断した今回の電気自動車(EV)での長距離ドライブ。
――― EVで行くドライブは、クルマに電気を充電する時間に、自分たちのココロもカラダも充電できる。それを実感できたドライブでした。
一方で、ドライブしていて気になったのは、やはり航続可能距離と充電施設の場所。特にアップダウンのある道路を走っていると、「まだ大丈夫」とわかっていても、気になります。でも、EVでのドライブに慣れていけば、こうした不安もなくなるでしょう。
最後に、豊後水道を航る往路のフェリーでは、充電なしで移動しましたが、帰りのフェリー(別府港→八幡浜港)には、船内駐車スペースにEV充電器が1器備わっていたため、充電ケーブルをEVに差し込んで充電しました。
カーフェリーを利用する場合、船内のEV充電設備の有無をチェックするのはもちろん、クルマに充電ケーブルを積んでいるか否かも、是非確認してみてください。
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