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2021.06.24

断熱リフォームで夏本番も快適に! おうちの暑さ対策のコツ

窓を複層サッシへ交換、壁量を増やし、既存の躯体を金物で補強した断熱リフォーム後のリビング(築30年)

窓を複層サッシへ交換、壁量を増やし、既存の躯体を金物で補強した断熱リフォーム後のリビング(築30年)

東京都心では、6月8日に最高気温が30℃以上となり、今年初の真夏日となりました。「今年もまた猛暑がやって来るのかな?」と、思いをはせる人も多いのではないでしょうか。
プライベートでも仕事でも、おうちで過ごす時間は今年も長くなりそうなので、暑い夏に熱中症にならない快適なおうち時間を過ごせるように、思い切って断熱リフォームをしてみませんか?

「家が変わると暮らしが変わる」をキャッチフレーズに住宅リフォームを手掛ける、日本住宅リフォーム産業協会の副会長、育暮家(いくぼーや)はいほーむすの杉村喜美雄さんに、暑い夏を快適に過ごせるリフォームのポイントを教えていただきました。

日本住宅リフォーム産業協会 副会長
杉村喜美雄(すぎむら きみお)
日本住宅リフォーム産業協会 副会長 杉村喜美雄さん

一般社団法人 日本住宅リフォーム産業協会 副会長。住宅リフォームを手掛ける「育暮家(いくぼーや)はいほーむす」(静岡県藤枝市)を経営。性能向上リフォームに力を注いでいる。

効果的な断熱リフォームとは?

おうちの断熱性能を見直せば、エアコンの温度設定も最低限で済み、快適に過ごせる上に、省エネや光熱費のコスト削減にもつながると言われています。日本の住宅の約3割が無断熱、現行の基準を満たす家は約1割ほどという推計データがあります(※1)。

冷暖房費の削減
年間暖冷房エネルギー消費量の試算・年間暖冷房費(※2)

年間暖冷房エネルギー消費量の試算・年間暖冷房費(※2)

断熱性能が上がると、冷暖房の効きがよくなり、省エネにつながります。たとえば、無断熱の住宅を高断熱住宅にリフォームすると、年間の冷暖房費は約133,000円から約52,000円に削減され、約81,000円お得になります(一定の仮定による試算です)(※2)。

窓からの熱を防ぐのが効果的
家の熱の入り(※)

家の熱の入り(※2の図に付番)

断熱できる箇所は、一般的に、屋根や、天井、壁、窓、床などいろいろ。その中でも暑い夏に向けて、断熱リフォームした方が良い箇所を杉村さんが教えてくれました。

「住宅の断熱リフォームで重要なのは、外からの熱の出入りが一番激しい、窓(開口部)の断熱リフォームです。
効果的な断熱リフォームの優先順位は、冬にも配慮し、(1)窓、(2)床、(3)天井、(4)壁です」

上の図は、夏の冷房時に、外からの熱が入って来る割合を示しています。窓から入ってくる熱の割合が最も高く73%、続いて屋根が11%、外壁が7%、換気が6%、床が3%となっています。これらのすべてに対策を行うのが理想的ですが、ここでは、一番熱の侵入割合の高い窓の断熱リフォーム方法について紹介します。

窓のリフォームのポイントは?

窓の外(写真左上)に設置したオーニング(日よけ)で、太陽の日差しを遮(さえぎ)る。デッキ(縁側)に反射して侵入する熱の対策も忘れずに

窓の外(写真左上)に設置したオーニング(日よけ)で、太陽の日差しを遮(さえぎ)る。デッキ(縁側)に反射して侵入する熱の対策も忘れずに

「夏に最適な窓の断熱リフォーム対策は、窓自体を取り替えるということもあるけれど、外から入ってくる直射日光を遮(さえぎ)ることも効果的で、『ひさし』や『軒(のき)』を出したり、ルーバー(よろい戸)をつけたり、オーニング(日よけ)をつけたりします」と、杉村さん。

また、夏の日差しは、直射のほかに、反射でも入ってくるので、それを防ぐのが大事とのこと。「窓の外がコンクリートか芝生かによって、私のこれまでの経験では入って来る温度が10度くらい違います。窓の外を緑化するのも、断熱の方法の一つです。コンクリートの場合は反射対策として、小さな塀みたいなものを作るなどの方法もあります。それに、デッキからの反射熱対策も見逃さないようにしたいですね。グリーンカーテンなどでデッキにあたる日射をやわらげることもおススメです」。

ほかに、「2階の暑さをなんとかしたい」などのお悩みには、天井裏の排熱対策をすることや、天井にグラスウール(ガラス繊維でできた綿状の素材)製の断熱材を、厚み20 cmほどしっかり入れることもオススメだそうです。

夏の断熱リフォームでどう変わる?

皆さんのおうちには、夏は暑くてとても長くは居られない、というような部屋はありませんか? 断熱リフォームによって、どのように変わるのでしょうか。

暑かった部屋が、家族で取り合うほどの人気に

「夏の間は日差しが暑くてこの部屋は使わない、というご家族がいらっしゃいました。でも、断熱リフォームで快適になったことで、今ではその部屋を、ご家族で取り合いになっているとか」と杉村さん。日差しを遮(さえぎ)り、断熱をすることで、エアコンの効きがとてもよくなり、気持ちいい空間ができたそうです。

快適な温度と湿度で、夏バテ防止に

また、親子で川の字になって並んで寝ている若いご家族にも、夏の断熱リフォームはオススメです。杉村さんによると、「子どもが3人いれば、5人で布団を並べて寝ているご家族も多いものです。そうすると、子どもの体温で、部屋はとても暑くなります。冬にはこの熱は歓迎ですが、夏はNGです。断熱が弱く、暑い部屋では、エアコンの温度設定がどうしても低めになります。すると、強い冷気を直接浴びて、体調を崩すこともありますね。電気代もかさみます。でも、窓や屋根、壁の断熱を強化すれば、エアコンの温度設定を高めにすることができます。エアコンをうまく使い、冷やしすぎない温度で連続運転することで、少ないエネルギーで部屋を寝やすい温度と湿度に保つことができ、快適に眠ることができるのです」とのこと。

断熱リフォームによって、「子どもと並んで寝ても暑くなくなった」「エアコンの効きがよくなり、睡眠の質もよくなった」「快適な睡眠で夏バテなく過ごすことができた」などの声もあるようです。

断熱窓に総取り替え、床下送風機なども設置したリビング(築42年)

断熱窓に総取り替え、床下送風機なども設置したリビング(築42年)

窓には断熱性のあるガラスを使用し、雨戸には日差しを遮(さえぎ)る可動ルーバー(よろい戸)を採用したリビング(築70年)

窓には断熱性のあるガラスを使用し、雨戸には日差しを遮(さえぎ)る可動ルーバー(よろい戸)を採用したリビング(築70年)

気になる工期や費用、補助金制度はあるの?

「暑い夏に備えた断熱リフォームは、施工内容や規模、そしておうちにもよりますが、だいたい一週間くらいでできます。費用と工期を考えながら、まずは窓から攻めていきましょう」と杉村さん。約一週間の工期なら、これからでも夏本番に間に合いそうですね!
気になる断熱リフォームのための費用は、どのくらいかかるのでしょうか。また、補助金制度などはあるのでしょうか。

コストの目安(※2)
コストの目安(※)
断熱リフォームの補助金

環境省/「断熱リフォームをこれからしたい方」

おうちにあったリフォーム業者を探す方法は?

おうちにあった暑さ対策は、各家庭のライフスタイルによってさまざまです。「昼間に家に人がいるなら、窓を開けて風を通す方法を考えたり、共働きで夜にならないと人が帰ってこないなら、昼間は窓を閉め切って日差しを遮断し、暗くして、温度をなるべく上がらないようにするなど、住む人の働き方や家族構成などによっても変わります。もちろん、立地条件に適した住まい方も大事にした上で考えます」と杉村さんは話しています。
おうちに合った断熱方法を一緒に考えてくれるリフォーム業者に相談してみましょう。リフォーム業者を探すサイトは、以下のものなどがあります。

住宅リフォーム事業団体登録制度・国土交通省・住宅リフォーム推進協議会/「住宅リフォーム事業者団体登録制度」

国土交通省の告示により、消費者が安心してリフォームを行うことができる環境を整備するために、「リフォーム事業者団体登録制度」が平成26年9月に創設されました。「相談窓口を設置している」「会員事業者への研修などを行っている」などの安心できる要件を満たすリフォーム事業者の団体(16団体:2021年1月)を登録する制度です。リフォーム事業者が検索できます。

地方公共団体が実施する住宅リフォーム支援制度を検索できます。最新の情報については各地方公共団体にお問い合わせください。

写真提供
断熱リフォームリビングイメージ:ジェルコリフォームコンテスト入賞作品から
オーニングイメージ:株式会社LIXIL

引用元
(※1)国土交通省/「我が国の住宅ストックをめぐる状況について」
(※2)経済産業省/「断熱リフォームで健康で快適な暮らしを」

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