『泊まれる』太陽光発電所でのワーケーションスタイル!
『泊まれる』太陽光発電所「Looop Resort NASU」。共用棟(左)の下に、雨水循環による棚田状のビオトープを備えている
豊かな自然の中で、日中はオンライン会議に参加して、夜は星空を眺めながら家族とバーベキュー。例えば、そんな新しい働き方のひとつ「ワーケーション」をご存知ですか?
ワーケーションとは、仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた造語で、リゾート地などで休暇を取りながら、一部の時間を仕事に充てるワークスタイルのことです。働き方改革やコロナ禍をきっかけに、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方として注目されるようになりました。美しい自然景観等の資源を活用しながら、各地域の活力が最大限に発揮されることを目指す「地域循環共生圏」の推進や、通勤で生じるCO2排出量の削減などにも貢献すると期待されています。「地域循環共生圏」とは、創造による地域づくりを通じて、環境で地方を元気にするとともに、持続可能な循環共生型の社会を構築していくというものです。
環境省 地域循環共生圏ポータルサイト
環境省では、自然の中で健康的かつクリエイティブに仕事ができる国立公園などでのワーケーションを提案しています。昨年、小泉環境相も磐梯朝日国立公園でワーケーションを行い、注目を浴びました。
環境省 国立公園で働く
環境省 国立公園等におけるワーケーションの推進について
また、国立公園以外にも、密を避けながら自然の中でワーケーションできる施設があります。今回は、宿泊施設を兼ねた『泊まれる』太陽光発電所「Looop Resort NASU」(栃木県那須郡那須町)について、再生可能エネルギー事業を展開する株式会社Looopの鬼頭 舞さんにお話を伺いました。
株式会社Looop
電力事業本部 デジタルマーケティング部 広報課
鬼頭 舞(きとう まい)
2020年7月より、広報を担当。
「自然との共生」がテーマの『泊まれる』太陽光発電所
『泊まれる』太陽光発電所「Looop Resort NASU」は、「自然と共生」をテーマに、「実験的発電所兼宿泊施設」として2019年5月に完成しました。仕事の合間に森を散策したり自然を満喫しながら、太陽光発電設備に触れて再生可能エネルギーについて考えることもできる施設です。
もともとは、一般的な発電所を作るために購入していた土地でしたが、自然の豊かなリゾート地という土地柄から発電所の設置を快く思わない方々もいらっしゃいました。でも、私たちには太陽光発電を「悪者」にはしたくないという思いがありました。太陽光を含めた再生可能エネルギーの本質は、「人と自然の負荷を減らすもの」であり、自然破壊を食い止めたり、石炭・化石燃料の使用を減らしたりすることが期待されるものだからです。そこで、森林と太陽光発電を共存させる方法を考え、リゾート建築に多い平屋ではなく2階建てにすることで、樹木の伐採を最小限に抑えるとともに、太陽光パネルは建物屋根の高い位置に設置して発電効率を維持する方法をとりました。発電出力は203.84kWです。
敷地内には、最大4名まで泊まれる2つの個室(宿泊)棟のほか、宿泊者の共用スペースであるホール棟、温泉棟の計4棟が点在し、雨水循環による棚田状ビオトープ(※)も備えています。また、光が透過する半透明の太陽光パネルを設置した架台の下で、バーベキューや農業体験なども楽しむことができ、カーポート(駐車場)には、電気自動車(EV)等の電動車を充電できる設備も設置しています。
(※)本来その地域にすむさまざまな野生生物が生息することができる空間のこと (出典:国立環境研究所)
宿泊棟。光が透過する半透明の太陽光パネルを設置している
木製のカーポートの屋根にも太陽光パネルを設置
ワーケーションで仕事の後、温泉や星空に癒される
同施設には、Wi-Fi環境やプロジェクターなどを完備しており、会社の研修にも利用しています。実際に利用した社内の者からは、自然が本当に豊かなので、仕事の合間に景色を眺めたり散歩をしてリフレッシュできる、という声が多いです。仕事のあとは、ゆっくりと温泉に入ったり、夜はとても星が綺麗なエリアなので、満点の星空の下でバーベキューができて感動した、という社員も多いです。
今後は、ワーケーションに適した宿泊プランを選べるようにしたり、子どもが遊べるような設備などを増やしていきたいと考えています。
テレワークを主流とした多様な働き方が広がっている中で、密を避けて、自分なりにリフレッシュしながら、仕事にも自然にも向き合えたら素敵ですよね。コロナ禍が落ち着いたら、都会の喧騒を離れた自然の中でのワーケーションを考えてみませんか?