県全体で脱炭素化に取り組む「みやぎゼロカーボンチャレンジ2050」とは?!
世界共通の目標であるSDGsの達成や脱炭素社会へ向けた動きが加速化する中で、2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明する自治体は、2021年9月30日時点で464団体にのぼっています(※1)。
ゼロカーボンシティの一つである宮城県では、2008年から「ダメだっちゃ温暖化」のキャッチフレーズのもと、県民・事業者・行政が一体となって地球温暖化対策を行ってきました。
2021年からはキャッチフレーズを「みやぎゼロカーボンチャレンジ2050」に一新し、脱炭素社会を目指して取り組んでいます。今回は、宮城県環境生活部の一條誠さん、加川綾乃さん、鈴木泉子さんに話を聞きました。
それぞれ、林業職、薬剤師、事務職の専門知識を活かしながら、温暖化対策プロジェクトに従事。
――どのような地球温暖化対策に取り組まれているのですか?
宮城の豊かな環境を適切に保全し、次の世代へ引き継いでいくために、県民税均等割の超過課税として2011(平成23)年4月から「みやぎ環境税」を導入し、さまざまな事業に取り組んでいます。
その中で「新みやぎグリーン戦略プラン」を策定し、「低炭素社会の推進」「森林の保全・機能強化」「生物多様性・自然環境の保全」「環境共生型社会構築のための人材の充実」「気候変動の影響への適応」の5つの視点で、地球温暖化対策に関わる家庭や事業所向けの取り組みを行っています。
「スマートエネルギー住宅普及促進事業」では、家庭からの二酸化炭素排出量の削減や、
災害時などに電気や熱を確保できる住宅の普及に向け、太陽光発電システムなどの設置や省エネ改修に対する補助を行っている
家庭向けには、「スマートエネルギー住宅普及促進事業」や「県産材料利用サステナブル住宅普及促進事業」といった補助事業を行っています。
前者は、住宅に再生可能エネルギーを導入するために太陽光発電システムや地中熱ヒートポンプシステムなどを設置したり、省エネ改修を行ったりする際の経費の一部を補助するというもの。
毎年予算枠を超えるほどの申請があり、2020年度は約4,000件の補助を行っています。同事業での令和2年度(1年間)のCO2排出量削減実績は6,372トンです。
後者は、宮城県産の木材を使用して新築・リフォームする場合、経費の一部を補助するというもので、2020年度は約500棟の補助を行いました。県産材を使用することは、二酸化炭素を吸収する地域の森林を整備・保全することにつながります。
具体的には、住宅や建築に木材を積極的に活用して需要を高めることで、適切な間伐や新たな植林が進み健全な森林を育むことができる、木材を燃やさずに建材として長期間使用することで木材中に炭素を保持し続けることができ、長期的な大気中のCO2排出量削減に寄与できるなどのメリットがあります。同事業での令和2年度(1年間)のCO2排出量削減実績は6,255トンです。
――市民の皆さんに対してどのようにご理解、ご協力いただいていますか?
市民の皆さんが脱炭素を「自分ごと」としてとらえられるように、身近でできるアクションを紹介する以下の取り組みを行っています。
「ecoチャレンジみやぎ」内で行う、「みやぎecoアクションメニュー」の例。
環境省のCOOL CHOICEへの賛同や、「うちエコ診断」の受診もポイントに!
・ecoチャレンジみやぎ
「ecoチャレンジみやぎ」というアプリを使って、楽しみながらエコ活動を行うという取り組みです。レジ袋を辞退する、プラスチック製ハンガーを返却するなどのecoアクションを行うとポイントが貯まり、30ポイントごとに抽選で賞品が当たります。
具体的には、スーパーやコンビニエンスストアでレジ袋を辞退して店内の二次元コードを読み取ると0.014kgのCO2排出量が削減できたことが、また、クリーニング店にプラスチック製ハンガーを返却すると0.179㎏のCO2排出量が削減できたことなどが、アプリ内で「見える化」して表示されます。
ecoアクションを行ったことによるCO2削減量を都度確認して達成感を得られると同時に、各アクションによるポイントも獲得でき、楽しみながら地球温暖化対策に貢献できる仕組みです。
市民の皆さんからは、「ポイントを貯めることで景品が当たって嬉しい」という意見はもちろんのこと、「レジ袋の辞退を意識的に習慣づけることができた」「アプリを見れば自分がどのくらいCO2排出量を削減できたかがわかるので、地球温暖化対策に貢献していることを実感できた」などの意見をいただいています。
市民の皆さんに、身近でできるecoアクションをより広く知ってもうために、アプリの協力店舗を拡大したり、他部局の事業と連携するなどの努力を日々重ねています。
・ゼロカーボンチャレンジキャンペーン2021
ゼロカーボンをテーマにした川柳とInstagramの投稿キャンペーン。応募者の中から45名に、宮城県産の牛肉やイチゴなどの賞品が当たります。
・ストップ温暖化賞
県内において地球温暖化に関する優れた対策活動を行う個人や企業、団体を表彰する制度です。
そして、これらの取り組みを発信していくために、ポータルサイト(※2)とSNSを開設しました。ポータルサイトでは、クイズや先進的な取り組みをしている企業の事例紹介も行っています。
宮城県は、2005年から2011年の東日本大震災前まで、温室効果ガスの排出量が年々減少していました。しかし、震災後の復旧・復興事業の影響などにより温室効果ガス排出量が増加。2014年をピークに再び減少していますが、2017年の排出量は約215.7万トンあり、家庭や事業所などにさまざまなアプローチをかけ、脱炭素社会の実現に向けて動いています。
全国の各自治体でも同様に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを行っています。皆さんも、お住まいの地域での制度を活用したり、取り組みに参加してみませんか。
商品を選択する時、環境配慮マークの付いた商品やCO2排出量を見える化して商品に表示されている商品を進んで選択してみましょう。
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