持続可能な未来に向けて、若い世代が取り組む“eco”なeスポーツ。
日本学生esports協会 / Gameicの活動を紹介します!

2022.3.31

日本学生esports協会 / Gameic

近年、コンピューターゲームやビデオゲームを使って対戦する競技として、eスポーツが注目を集めています。

2021年5月には、IOC(国際オリンピック委員会)の主催による公式eスポーツ大会「オリンピック・バーチャルシリーズ(OVS=Olympic Virtual Series)」が開催されるなど、世界各国の参加者がeスポーツを楽しみ、競技をする環境も増えています。

今回は、日本国内で若い世代を中心に、eスポーツの普及に取り組む日本学生esports協会 / Gameic(注1)の活動を紹介します。

(注1)2022年4月より、「全日本青少年eスポーツ協会/ Gameic」に名称を変更。

日本初!カーボン・オフセットを利用したeスポーツ大会運営

日本学生esports協会 / Gameic(以下「Gameic」)は、eスポーツチームや全国で開催されるeスポーツの大会を認証・公認し、コミュニティの運営やチャリティー大会の主催や後援などを通してeスポーツの楽しさや素晴らしさを発信するとともに、参加者が心地良くeスポーツをプレイできる環境の整備に取り組んでいます。

また近年は、eスポーツを通じて、地球温暖化防止など様々な活動にも積極的に取り組んでいます。

2021年8月に開催されたeスポーツ大会では、カーボン・オフセット(注2)を活用し、大会で使用する電力により発生するCO2排出量の相当分について、カーボンクレジット(注3)により福島県にある食品メーカーの環境負荷低減に関する設備投資を支援しました。カーボン・オフセットの活用は、eスポーツ大会の運営としては日本初となる取組でした。2021年度に開催した10大会で、合計30トンのCO2排出量を無効化しました。

また大会運営に際して、運営スタッフには徒歩や公共交通機関、エコカーによる会場への移動を呼び掛けるとともに、会場内での冷房の使用を控えたり、不要な照明の消灯、技術の工夫によって運営に使用するパソコンを最小限に抑える等、CO2排出量の削減に向けて様々な取組も実施しています。

(注2)日常生活や経済活動などにおいて、できるだけ削減努力を行なったうえで、どうしても排出される温室効果ガスについては、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動への投資等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方。

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html

(注3)森林保護や省エネルギー技術、再生可能エネルギー導入といった、事業による温室効果ガスの排出削減効果を取引できる形にしたもの。

Gameic(eスポーツ大会のカーボン・オフセット証明書)

提供:Gameic(eスポーツ大会のカーボン・オフセット証明書)

名刺もカーボン・オフセットに

また、Gameicでは、スタッフや関係者が使用する名刺にもカーボン・オフセットの仕組みを導入しています。カーボン・オフセットに取り組む印刷会社と連携し、協会の公認ロゴが記載された名刺(注4)を印刷することで、印刷会社によるカーボン・オフセットの活動を支援しています。スタッフや関係者が名刺100枚を印刷すると、約20kgのCO2排出量の削減に貢献することになります。

(注4)公認ロゴは、大会の規模や成長性等、協会の審査を通過した場合のみ名刺に記載が可能。

Gameic(カーボン・オフセット名刺のサンプル)

提供:Gameic(カーボン・オフセット名刺のサンプル)

「環境問題に取り組むことは当然」という文化を目指して

eスポーツという分野で、プレイヤーやスタッフとして参加する若者と一緒になって環境活動に取り組むGameic。カーボン・オフセットを始めとする取組について、Gameic代表理事の前川友吾さんにお話を聞いてみました。

Gameic 代表理事 前川友吾さん

写真:Gameic 代表理事 前川友吾さん

―カーボン・オフセットを始めとする環境活動に取り組もうと思われたきっかけは?

eスポーツ市場を構成するプレイヤーや大会主催者の年齢層は、10代後半~20代前半が主となっています。これからの日本を背負う世代が中心となっているeスポーツの業界団体として、SDGsや社会貢献活動について真剣に取り組んでいく必要があると考えたことが出発点でした。

カーボン・オフセットに着目したのは、オンラインでの活動が主であるeスポーツ市場において、最もいい形でシナジーを生みながら取り組むことができると考えたからです。インターネット上が主な活動場所であるeスポーツでは、コミュニティメンバーの居住地域も把握しづらいため、特定地域での植林や間伐、ごみ拾い等のオフラインでの環境活動には様々なハードルが想定されます。したがって、カーボン・オフセットを活用した活動が最も持続的に、そして効果的に取り組めるものだと考えています。

―今後取り組んでいきたい活動は?

「環境問題等に取り組むことは当然である」という文化を作り上げることを目標として活動しています。そのための第一歩として、eスポーツ市場において、カーボン・オフセットによる環境貢献に加えて、SDGsや社会貢献へ取り組む仕組みを整備し、若者が気軽に各種活動をできるような土壌づくりに、力を入れていけたらと考えています。

ゆくゆくは、「eスポーツプレイヤーが知らず知らずのうちに環境貢献活動に取り組んでいる」という仕組みを作り、日本においてeスポーツという産業を「一大環境貢献産業」にまで押し上げられたらステキですよね。「日本の環境貢献活動は凄い」「中でもeスポーツ市場における取組は先進的だ」と世界から認められるように、一歩ずつ取組をしていければと思います。

今後ですが、2022年5月に開催が予定されている公認の大会では、参加者1人につき10kgのCO2排出量をカーボン・オフセットすることを目指しています。この仕組みができれば、大会の参加者が多いほど環境にも貢献できるため、eスポーツ市場の盛り上がりと環境貢献の推進がリンクしていくことになります。




eスポーツの大会は、人気のある競技種目では毎月1万回近い大会が開催されるなど、全国各地で数多く開催されています。その中で、特に質や規模を拡大していきたい大会を対象として、Gameicが認証・公認した「公認大会」では、カーボン・オフセットに取り組んでいます。

「公認大会」では、eスポーツのプレイヤーは「公認大会に出場=カーボン・オフセットに参加」することになります。このように、eスポーツを楽しむのと同時に環境活動にも参加できる仕組みになっており、Gameicではプレイヤーや大会の主催者、企業等に「公認大会」への賛同や協力を呼び掛けています。

Gameic公式HP お問い合わせフォーム
https://gameic.jp/contact/

eスポーツに興味がある人は、競技だけでなく環境問題にも興味を持って、スポーツやゲームのような感覚で、楽しみながら取り組んでみてはいかがでしょうか。


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