「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」及び官民連携協議会発足式(令和4年10月25日)

1. 式次第

2. アーカイブ動画(ダイジェスト)

3. アーカイブ動画(フルバージョン1時間33分52秒)

4. 発足式レポート

「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」
及び官民連携協議会を立ち上げました

発足式の様子

2022年10月25日、政府で新たに「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」及び官民連携協議会を立ち上げました。

脱炭素に向けて「やるべきことがわからない」消費者を国民運動で後押し

2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向けて、私たちの暮らし・ライフスタイルの分野でも大幅なCO2の削減が求められています。2030年までに家庭部門で66%のCO2削減(2013年度比)を目指す一方で、2022年3月の国民・消費者向けアンケートの結果では「脱炭素のために何をしたらよいかわからない」と回答した人が実に6割にものぼりました。

そこで政府は、脱炭素に向けた私たち国民・消費者のライフスタイルの転換を強力に後押しするための新たな活動「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」を開始しました。

都内で開催された発足式では、西村 明宏環境大臣がこの新しい国民運動の発足を宣言。あわせて、官民連携で新しい国民運動を後押ししていくための「官民連携協議会」を立ち上げ、発足時に313もの企業・自治体・団体等が参画したことも発表しました。

都内で開催された発足式の様子

(キャプション)会場の様子

具体的には何をするの?

新しい国民運動の具体的な取組は、大きく分けて2つあります。ひとつは新しい暮らしの「提案」、もうひとつが、その新しい暮らしに向けた「後押し」です。

新しい豊かな暮らしの提案

ひとつ目の取組は、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの10年後」の全体像・絵姿を提案すること。この「新しい豊かな暮らし」では、「生活がより豊かに、より自分らしく快適・健康で、2030年度温室効果ガス削減目標も同時に達成すること」を目指します。

この新しい豊かな暮らしについて西村大臣は「脱炭素は決して『我慢』をするものではない」と話します。「住宅の断熱化や省エネ家電の購入に関する初期投資は必要になるが、環境に良い製品サービスを選ぶことで、世帯あたり毎月3万6000円、そして毎日1時間以上の自由に使える時間が生まれる」と説明しました。

「新しい暮らし」の後押し

もうひとつは、国、自治体、企業、団体、消費者等の取組を結集し、4つの切り口から「新しい暮らし」創りを後押しすること。

「新しい暮らし」創りを後押しの説明画像

(出典:環境省)

4つの切り口とは、

  1. ① デジタルも駆使した、多様で快適な働き方・暮らし方の後押し(テレワーク、地方移住、ワーケーションなど)
  2. ② 脱炭素につながる新たな豊かな暮らしを支える製品・サービスの提供・提案
  3. ③ インセンティブや効果的な情報発信 (気づき、ナッジ。消費者からの発信も含め) を通じた行動変容の後押し
  4. ④ 地域独自の(気候、文化等に応じた) 暮らし方の提案、支援

を指します。

また、環境省ではこれら「新しい豊かな暮らし」の全体像を知って触れて、体験、体感してもらう様々な共感のための機会や場をアナログ・デジタル問わず提供していきます。

デジタル面では新たにポータルサイト(https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/)を開設し、「新しい豊かな暮らし」創りに向けた取組や製品・サービス等を広く募集します。
さらに、呼びかけに留まらない、具体的なアクション・選択肢を提示するのもこの運動の特徴です。第一弾の個別アクションとして、「ファッション」、「住まい」、「デジタルワーク」の観点で、「新しい豊かな暮らし」の提案を進めます。

西村大臣は「こうしたより良い暮らしを国民の皆様にしていただけるよう、発足式の出席者とともに力強く後押しする」と述べました。

今後、自治体・企業・団体・消費者との連携による、足並み・タイミングを揃えたキャンペーンの展開、また、「新しい豊かな暮らし」を支える製品・サービスへの大規模な需要の創出を図っていきます。

なお、新たに発足した「官民連携協議会」では、国、自治体、企業、団体、消費者等の参加者が協議し、デジタルの活用や製品・サービスを組み合わせた新たな豊かな暮らしのパッケージ提案、機会・場の創出など、消費者への効果的な訴求に向けた連携などに取り組みます。また、環境省の普及啓発予算の具体的な使い道・アイデアといった、政府施策への提案・要望も実施します。

発足式での西村明宏環境大臣

(キャプション)西村明宏環境大臣

新旧環境大臣がトークセッション 拡大には「共感」が必要

西村環境大臣と小池東京都知事

新旧環境大臣によるトークセッションの様子。
(左から)西村 明宏環境大臣と小池 百合子東京都知事。

発足式では、西村環境大臣と小池 百合子 東京都知事による「新旧環境大臣」のトークセッションが行われました。

環境大臣時代に「クールビズ」を主導した小池都知事は、「環境問題は他人事ではなく自分事。だがなかなかそれに気づかない。地球温暖化対策などの大義がなければ政策にはならないが、共感してもらわないと広がらない」と話し、クールビズが「涼しい格好をして大丈夫」という「自分事」とし て、共感をもって拡大していった経緯を振り返りました。

さらに小池知事は、絵姿として示した「『3万6000円が浮く』というのは新しい言葉」だと話し、「お財布にいい」などの共感を得られる形で、東京都も情報発信などで連携していきたいと述べました。

山田環境副大臣による「サステナブルファッション」の紹介

「サステナブルファッション」を身に着けたモデル山田 美樹環境副大臣

続いて山田 美樹環境副大臣(写真中央)が、衣類の生産から廃棄までのサイクルにおいて持続可能であることを目指し、環境や人や社会に配慮した取組「サステナブルファッション」を紹介。ステージ上には、不要となって回収された衣類を染め直してアップサイクルした服や、環境負荷を減らすことにこだわって生産された服などを身に着けたモデルが登場しました。

山田環境副大臣自身も「今日私が着ているのは、昔、母にプレゼントした思い出の服を『お直し』したもの。環境や人や社会に配慮しながら大切な思い出のある服を長く着られるということで満足しています」と、サステナブルファッションを実践していることを打ち明け、「これからも皆さんと進めていきたい」と抱負を語りました。

参画企業・自治体・団体によるスピーチ

発足式では50以上の参画企業・自治体・団体が、それぞれの取組や決意等を発表しました。

株式会社LIXILの瀬戸 欣哉取締役代表執行役社長兼CEOは、「日本は1枚ガラスの窓が主流であるため、それを3枚ガラスに変えていくことで、日本全国で1,400万トンものCO2排出量削減に貢献するポテンシャルがある」と、断熱住宅の推進が脱炭素化に有効であることなどを説明しました。

札幌市の秋元 克広市長は、2023年4月に同市で開催されるG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合について「我が国の脱炭素社会に向けた取組を世界へ広く発信する絶好の機会」と抱負を語り、2050年のゼロカーボンシティの実現に向けて、2030年には市内の温室効果ガス排出量を2013年比59%削減するという非常に高い目標を掲げていることや、灯油式暖房のエネルギー転換等、寒冷地の「課題」を踏まえた施策を打ち出していくと話しました。

佐渡市の渡辺 竜五市長は、トキをシンボルとした生物多様性の取組に力を入れており、10月に『ネーチャーポジティブ』宣言を表明したことを紹介。「環境の課題解決型の国立公園として、ぜひ佐渡を活用し、学びと体験の場にしていただきたい」と語りました。

国定 勇人環境大臣政務官は最後に、「こうした新しい豊かな暮らしを確実なものにしていくためには、広く企業や地域住民の皆様を巻き込み、環境に無関心な層の掘り起こしをしながら運動を展開し、エッジの効いたご提案をいただき実践していくことが重要である」と挨拶をし、閉会しました。