節約アドバイザーの和田由貴先生に聞きました!
光熱費を抑え、快適に冬を過ごすポイントとは?

冬は電気代やガス代などの光熱費が高くなりがち…と頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。エアコンのクーラーをメインに使う夏と異なり、冬はさまざまな暖房器具があり、それぞれの特徴にあった使い方をすることが、光熱費節約のポイントになります。節約アドバイザーの和田由貴先生に、暖房器具の特徴や賢い使い方について教えていただきました。

――以下、節約アドバイザーの和田由貴先生にお話を伺いました。――

暖房器具により
部屋を温めるスピードが違う!

室内を温める暖房器具には、大きく分けて対流式と輻射(ふくしゃ)式があります。対流式は温風を出すことで部屋を温めるタイプで、エアコンやファンヒーターが代表的です。輻射式は太陽熱と同じように輻射熱を利用した暖房で、遠赤外線があたっている物を温め、ストーブやハロゲンヒーターが代表的です。対流式暖房器具は部屋全体を温めるのに適していて、多くの輻射式暖房器具は部分的に温めたい場合に適しています。対流式の中では、ファンヒーターは立ち上がりが早く、すばやく室温を上げるのに適していますが、エアコンは立ち上がりが遅いので、部屋が温かく感じるまで時間がかかります。

暖房器具により部屋を温めるスピードが違う!イメージ1



夏より冬のほうが
光熱費が高くなるのはなぜ?

夏よりも冬のほうが光熱費が高くなる傾向がありますが、これは夏よりも冬のほうが室温と設定温度に差があるためです。現在、多くの人が主に使っている冷暖房はエアコンかと思いますが、例えば首都圏で考えると、夏の室内は32〜33℃くらいで、室温を28℃程度まで下げるのに4〜5℃の調節になりますが、一方、冬の朝の室内は12〜13℃程度まで冷え込みますよね。そこから設定温度を20℃程度まで上げるとすると、7〜8℃の調節が必要となります。冬は調節しなければならない温度差が大きい上に、エアコンは立ち上がりが遅いタイプの冷暖房器具なので、設定温度まで室温を上げるのに時間がかかり、電気代が高くなってしまうのです。
そこで、室内をすばやく温めるのに適している開放型のストーブやファンヒーターを賢く使いましょう。私は、ファンヒーターとエアコンを同時につけて、エアコンが立ち上がり温かい風が出てくるようになったら、ファンヒーターを切るようにしています。エアコンは、冷房も暖房も一度調節された設定温度をキープすることについては、それほど電気代はかかりません。まずはストーブやファンヒーターを使用して室内の温度を短時間で上げることをオススメします。

夏より冬のほうが光熱費が高くなるのはなぜ?イメージ1



扇風機や窓の特性を有効活用して
暖房効率を高めよう!

暖房器具で温めた空気は軽いので、部屋の上に集まります。人間は基本的には下の方にいるので、温かい空気を上から下に送らないと、いつまでも寒いままです。扇風機やサーキュレーターを天井に向けて温かい空気を循環させて、暖房効率を上げましょう。
また、冷たい外気の影響を最も受けるのが窓です。床置きの暖房器具は窓に向けて置くと、せっかく温めた空気が、窓にあたって冷たくなってしまいます。暖房器具を置くときは、窓を背にして置くいたほうが効果的です。
一方で、昼間の窓は太陽の輻射熱が取り込まれるところでもあります。昼はカーテンや雨戸を開けるなど陽の光が入るように工夫し、太陽が沈んだらカーテンをすぐに閉めて断熱すると良いでしょう。

扇風機や窓の特性を有効活用して暖房効率を高めよう!イメージ1



常に部屋全体を温めるのは非効率!?

ここまで部屋全体を効率良く温めるポイントについてお話してきましたが、常にエアコンやファンヒーターで部屋全体を暖める必要があるでしょうか?例えば、家族が出かけて一人でリビングにいるときや、キッチンで料理をしているときは、ハロゲンヒーターなど、足元を温めることができる暖房器具で十分ですよね。寒いとすぐにエアコンをつける習慣を見直してみましょう。
また、一人のときなど部分的な暖房におすすめなのが、「電気ひざ掛け」です。毛布よりも小さいので、家の中を持ち運べて、ひざ掛けとして使うのはもちろんですが、肩にはおったり、腰に巻いたり、床に敷いたりと、いろいろな使い方ができます。洗濯機で洗えるタイプのものもありますよ。

常に部屋全体を温めるのは非効率!?イメージ1



湿度管理も重要なポイント。
加湿器を上手に使って湿度キープ。

冬はそもそも乾燥している上に、エアコンを使うとさらに乾燥してしまいます。湿度も体感温度を左右する重要なポイントで、室温が10℃よりが高いと、湿度が低いほど寒く感じ、10℃より低いと、湿度が高いほど寒く感じます。北海道など寒冷地以外では、日本は室内が10℃以下になることはほぼないので、湿度を40〜60%に保っておくと、必要以上の暖房を防ぐことができます。
また、湿度が低いと風邪やインフルエンザなど感染症のリスクも高まるので、健康面でも湿度を保つことは大切です。そのため、できれば湿度計を用意してしっかり管理しましょう。湿度計は部屋の中心付近で、人の目線から腰の間に置くと、的確な湿度を計ることができます。
湿度を保つには、やはり加湿器を使うことをおすすめします。大きく分けて、水を加熱して蒸発させて加湿するスチーム式、超音波の振動によって水を霧状にして放出する超音波式、水を浸透させたフィルターを気化させながら加湿する気化式があります。最適な湿度を自動的に保ち、衛生面の心配がなく電気代も安い気化式が優秀だと思いますが、機器の値段は他のタイプに比べて高価になってしまいます。それぞれにメリット・デメリットがあるので、リビングなど家族が集まる場所には気化式、デスク脇などには超音波式など、使い分けると良いでしょう。
暖房器具も加湿器も、年々進化しています。しばらく買い替えていない方は、ぜひ電気店の店頭で、最新式の機能や電気代などのランニングコストを確認してみてください。進化に驚き、使うことで光熱費を抑えつつ、快適に過ごすことができる機器が見つかるかもしれません。

湿度管理も重要なポイント。加湿器を上手に使って湿度キープ。イメージ1

ライフスタイルや用途に合わせて暖房器具や加湿器を賢く使うことで、光熱費を押さえつつ、元気に冬を過ごすことができます。ぜひ毎日の暮らしに取り入れて「WARM BIZ」を実践してくださいね。

<プロフィール>
和田由貴
消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。
また、環境カウンセラーや省エネルギー普及指導員でもあり、2007年には環境大臣より「容器包装廃棄物排出抑制推進員(3R 推進マイスター)」に委嘱されるなど、環境問題にも精通する。
著書に「暮らしを見直す節電対策」「快適エコのライフスタイル冬の省エネ生活」など多数。
和田由貴先生



「ウォームビズ」とは

環境省は暖房時の室温を20℃で快適に過ごすライフスタイル「WARM BIZ」を推進しています。
「20℃」は目安です。暖房の適切な使用をお願いします。
(身近に温度計を置くことをおすすめします。)
◆ウェブサイトはこちらから
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/warmbiz/


「COOL CHOICE(=賢い選択)」にご賛同ください。

「COOL CHOICE」は、CO2などの温室効果ガスの排出量削減のために、低炭素型の製品・サービス・ライフスタイルを賢く選択していこうという取り組みです。
クールビズも「COOL CHOICE」の一つです。
未来の地球のために、「COOL CHOICE」に賛同して、できることから始めてみませんか?
◆ご賛同はこちらから
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/join.html


みんなで集まる!「ウォームシェア」
余分な暖房を止めて、みんなでひとつの部屋、場所に集まることでエネルギーを節約するのが「ウォームシェア」。
たとえば、個別の部屋の暖房は止めて街へ出かけて、図書館や博物館、児童館などの公共施設、レクリエーション施設などを利用すれば、全体としてエネルギーの使用量を抑えることができます。
詳しくは「ウォームシェアについて」のページをご覧ください。
WARM SHARE 『ご存じですか?ウォームシェア』