令和5年度 環境省予算の概算要求内容について
令和5年度の環境省予算の概算要求が公表されました。
予算要求のうち、令和5年度のエネルギー対策特別会計(エネ特)を活用した環境省の温室効果ガス削減施策について、施策の目的と概要を解説します。
施策の目的
我が国は、2050年カーボンニュートラル(炭素中立)の実現に向けて2030年度の温室効果ガス排出を2013年度比46%削減し、さらに50%の高みに挑戦しているところです。
その実現のために環境省の果たすべき役割は、新たな脱炭素地域の創造や国民のライフスタイルの転換など、カーボンニュートラルへの需要を創出する経済社会の変革や世界的な削減への貢献等を各省と連携のもとで推進することであると考えています。このため、環境省では、エネルギー対策特別会計を活用して、温室効果ガスの排出削減のための施策に取り組んでいます。
施策の概要
令和5年度のエネルギー対策特別会計の予算要求では、炭素中立型経済社会実現に向けた取組として、4つの柱を掲げています。
第一の柱「脱炭素でレジリエントかつ快適な地域・くらしの創造」
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を拡充して脱炭素先行地域づくりや脱炭素の基盤となる重点対策を全国で進めるとともに、公共施設への自立・分散型エネルギー設備導入の促進、民間企業等による自家消費型再エネ導入などにより、脱炭素でレジリエントかつ快適な地域づくりを進めます。
また、住宅や建築物等のZEH/ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス/ビル)化などへの支援や、行動科学の知見を活用したライフスタイルの転換の促進により、脱炭素で快適なくらし・ライフスタイルの実現を図ります。
第二の柱「地域・くらしを支えるサプライチェーン全体の脱炭素移行の促進」
中小企業をはじめとする企業の脱炭素経営を推進するとともに、工場・事業場における脱炭素化のための設備更新等の支援を進めます。また、民間投資を呼び込むために、グリーンファイナンスの拡大に向けた市場基盤の整備等を推進します。
さらに、プラスチック資源や金属資源等の資源循環、物流、交通などサプライチェーン全体の脱炭素移行を推進し、社会全体での脱炭素なくらしへの転換を後押しします。
第三の柱「地域・くらしとサプライチェーンの脱炭素化の基盤となる先導技術実証等」
再エネ由来のグリーン水素の活用、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)の実用展開に向けた実証、地域共創による技術開発・実証を推進し、地域・社会インフラ・くらしの脱炭素移行に必要な先導技術の早期実証・社会実装を加速化していきます。
第四の柱「世界の脱炭素移行への包括支援による国際展開・国際貢献」
二国間クレジット制度(JCM)や温室効果ガス観測技術衛星(GOSATシリーズ)による排出量検証等を通じて、途上国等の脱炭素移行支援を進め、「アジア・ゼロエミッション共同体」構想の実現に貢献するなど、世界の排出削減に主導的役割を果たします。
JCMについては、2025年を目処としてJCMのパートナー国を世界全体で30か国程度へ拡大すること、及び2030年までの累積で1億t-CO2程度の国際的な排出量削減・吸収量を確保することを目指して、案件形成・実施の強化、民間資金を中心としたJCMの拡大、能力向上支援による市場メカニズムの世界的拡大に貢献します。