スマート家電をスマートに使いこなそう!
ファイナンシャルプランナーが実践する電気代節約術
新型コロナウイルスの蔓延で、自宅で仕事をする機会が多くなりました。それとともに目に見えて増えているのが電気代。特に寒い季節には暖房費も加わるので、家計への負担も大きくなります。そんな今、「スマート家電」が脚光を浴びています。AI(人工知能)を利用して自動的に動いたり、離れたところからでもスマホを使って操作できるうえに、エコ設計で電気代もお得なスマート家電が次々と登場してきました。その賢い使い方をファイナンシャルプランナーの下中英恵さんにうかがいました。
スマート家電は家電量販店やネット通販でも簡単に買える
「スマート家電というと、ハイテクで高価、設定や操作が難しいものと思っている方も多いようですが、身の回りで簡単に取り入れられるものもたくさんあります。わが家の例でいいますと、まずスマート照明があります。うちには小さな子どもがいて、ついついトイレの電気が点けっぱなしということがよくありました。それが自動的にスイッチをオン・オフにするスマート照明を替えてからは、子どもがトイレを使った後に電気の確認をする必要がなくなりました。屋外からや音声での操作や、決められた時間に点灯することもできます。スマート照明は今ある電球と取り換えるだけですから、だれでも取り付けは簡単です。
また仕事部屋のエアコンもスマート家電なので、帰宅してすぐ仕事に取り掛かれるよう、自宅の近くに来たら外からスマホでスイッチを入れます。その上、ある程度の温度になると自動的に作動するようになっているので、冷暖房の効きすぎによるムダな電気代を抑え、身体への悪影響も避けることができます。
ロボット掃除機もとても役立っていますね。留守中に勝手に掃除をしてくれるだけでなく、家の中のどこが特に汚れていたか、あとからスマホに報告してくれるので、部屋の片付けが楽になりました。
これらの身近なスマート家電は、電器店やインターネット通販で簡単に買うことができます。価格もさまざまで、必ずしも高価なものばかりではないので、いろいろチョイスが可能です。」
身近で安価なところからスマートライフをスタート
「私がスマート家電に関心を持ったのは、5年ほど前にアメリカのボストンに住んでいたときから。現地の友人がスマートリモコンを開発して起業したのがきっかけです。このスマートリモコン一つで、スマホを使って家中の家電を外出先から、それも音声で操作できるのです。日本でも1万円ほどで買うことができ、今では友人の会社は、世界でも有数のスマート家電企業にまで成長しています。
一方日本では、まだまだスマート家電の普及は進んでいない印象がありますね。スマート家電てお金がかかるんじゃない? 入れるのってめんどくさくない? そう思い込んでいる人がまだまだ多いようです。でもすべてをいっぺんにスマート家電に切り替えるのではなく、できるところから始めていくようにすれば、さほど初期費用や手間はかからないのではないでしょうか。わが家の実例でもお話しした照明やクーラー、掃除機といった日常使う家電で、簡単に買換えることができるものからスマートライフを始めていけばいいのです。
また、先ほどのスマートリモコンをスマートスピーカーと連動して利用すれば、かなり家電は使いやすくなります。家のあちこちにリモコンがあふれていて、外出するときにはそれをいちいちオフにしたり、家を出た後に消し忘れを心配したりということが、スマートスピーカーだと声一つですべてやってのけることができます。お金のこともさることながら、家電の操作にかかる時間やイライラは実はバカになりません。それが解消できるだけで、日常生活はかなり快適になるはず。ちなみにスマートスピーカーも1万円程度で良い製品がいくらでも購入できますよ。」
できるところから賢く始めるスマートライフ
「家計には、その支出は手取り収入の何パーセントにすればよいのかという基準があります。よく言われるのは、家賃は収入の4分の1以内にということですが、それでいうと水道光熱費は5パーセント、つまり手取りが月に30万円の人は水道光熱費は1万5,000円以内というのが健全な支出額です。常にそれぞれの支出項目を見直していくことが生活をしていく上で大切ですが、家賃などの固定費はそう簡単には変更できません。一方水道光熱費は、自分の工夫と努力でかなりの節約が可能ですよね。
そのためにはまず、今自分がどのくらい電気を使っているのか、その実情を知るようにしましょう。でも請求書に記載されている電気消費量は1か月以上も前のもの。そこでリアルタイムで電気の消費や前年同月比などのデータがすぐに確認できる電力管理機器のスマートメーターがおすすめです。コンセントに差し込むだけで、価格もお手ごろ。ダイエットの基本は体重の見える化ですが、電気代の節約も同じことですね。
またスマート家電の買換えは、目先の節約よりも長期間に、お金以外のことへのメリットも考慮して行いましょう。というのも、暮らしていく上で家事労働は、実はお金以上に大きな負担になっています。これを軽減してくれるのがスマート家電。一度使い始めるともうそれ以外の家電に戻ることはできません。スマホが登場して以来、ほとんどの人がガラケーを使わなくなったように、スマート家電も近いうちに当たり前のように家庭で使われているはずです。
他にも電力会社をかえて、自分のライフスタイルにあった新しい料金プランにするとか、省エネルギーラベルの付いた家電を選ぶとか、電気代節約のためにはいろいろ工夫の余地があるはず。
できるところから徐々に変えていく、それが賢いスマートライフのはじめの一歩と言えると思います。」
電気代の節約につながるだけでなく、時間の無駄やストレスの軽減により自宅で過ごす時間がぐっと快適化するスマート家電。ぜひライフスタイルに合った家電を取り入れてみてはいかがでしょうか。
下中英恵(したなか はなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者。東京都出身。慶應義塾大学卒業後、大手外資系証券会社で富裕層向け資産運用業務に従事した後、アメリカ・ボストンでファイナンシャルプランナーとして活動。資産運用、保険、税制などさまざまなテーマについての金融記事を、雑誌やネットの各種媒体に発表している。
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