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2021.02.15

withコロナ時代のかしこい家電の選び方。
ステイホームを「エコ&快適」に

新型コロナウイルス感染拡大予防のため、自宅で過ごす時間が増えたという方も多いのではないでしょうか。在宅時間を少しでも快適に過ごすために、変わりつつある生活スタイルにあわせて、家電についても見直してみませんか?
今回は、省エネはもちろんのこと、家電の注目機能や選び方などを、商品情報誌『特選街』の編集長、吉田正之さんにうかがいました。

自炊が増えたからこそ、キッチンは冷蔵庫から見直そう

在宅時間が長くなったことで、自宅でもっと料理を楽しもうと考える人も増えていることでしょう。また「買い物の回数は減らしたいけど、食材は新鮮なものを食べたいし」と悩んでいる人もいるかもしれません。自炊が増えたいま、キッチンではまず、何に注目するといいのでしょうか?

「まず省エネ面を考えて、キッチン家電は冷蔵庫から見直してみることをおすすめします。24時間365日働いているので、省エネを考えるうえでは外せません。もし現在お使いの冷蔵庫が10年以上前の製品であれば、省エネ性能面で大きな差が出るので、買換えを検討するといいでしょう。 誤解されがちなのは、『容量が小さい製品ほど、電気代は安くなるだろう』ということ。実は、容量が200~300Lくらいの製品よりも、500Lクラスのほうが、電気代が安いことが多いのです。というのも、メーカーはニーズの高い家族向けの製品(500Lクラス)に優先的に最新技術を投入したり、省エネの工夫をしたりするケースが多いからです。
また、500Lクラスの製品は、棚やトレイなど細かな使い勝手の面もよく考えられています。スーパーへ買い物に行く回数を減らすために買い置きをしておく方も多いと思いますが、その点でも、大きめの容量のものがおすすめです。」(吉田さん、以下同じ)

そして冷蔵庫に求める機能は生活スタイルによっても異なることでしょう。たとえば共働き家庭であれば、「時短」は必須。日々の調理時間を短縮するために、つくり置きをされている方も多いですよね。

「買い置き、つくり置きをするときに心配なのは、使い切れずに食材が傷んでしまうという食品ロスです。これを少しでも減らすには、『野菜を長持ちさせる機能』や、『菌の繁殖を抑える機能』がある製品がおすすめです。
ユニークなものとしては、冷蔵室と野菜室の間が透明のガラスで仕切られている製品があります。冷蔵室を開けるたびに野菜室をチェックできるので、食品ロスの要因となる使い忘れが防げるというしくみです。

「上から見渡す旬鮮野菜室」。冷蔵室と野菜室の間が透明のガラスで仕切られているため、冷気を逃すことなく、野菜室をチェックできる。
(アクアDelieシリーズ「AQR-VZ46K」)

おいしさをキープしながら保存期間を延ばすことができる0℃前後の『チルド』室や、マイナス3℃程度で微凍結させる『パーシャル』室のほか、マイナス7℃で『冷凍のように保存できて、解凍せずに包丁で切れる』という便利な機能を搭載している製品もあります。お弁当をつくる機会が多いのであれば、急冷却で粗熱を取る機能もあれば役立ちますね。
そのほか、庫内の温度変化を予測して自動的に温度管理をしてくれるAI機能や、エコレベルをスマホで確認できる機能など、省エネをサポートしてくれる機能がついた冷蔵庫も登場しています。」

「切れちゃう瞬冷凍」は解凍せずにすぐ調理が始められる。AIで庫内の温度管理もおまかせ。(三菱冷蔵庫「MR-MXD57G」)。

「その他、たとえば炊飯器では、お米の銘柄による炊き分け機能や、ご飯のカロリーがわかったり、米の量に合わせて最適な水量がわかったり、糖質をオフできたりといった機能が搭載されたものなど、各メーカーが多彩なニーズに応える製品を開発していますが、省エネ機能に関しては技術進化もあってメーカー間に大きな違いはほとんどありません。ちなみに、使い方で注意しておきたいのは『保温時間』です。あまりに長時間の保温をすると、炊飯1回分の消費電力量を上回ってしまう場合もあります。『食べる分だけを炊く』『たくさん炊いたら冷凍しておく』といった工夫も有効です。」

ワークスペースを快適環境へと整える

生活環境の変化でいえば、テレワークが推奨され、自宅で仕事をする人が増えました。 自宅で仕事をするのが初めてという人は、「どの部屋を使うのか」「デスクは新規に購入するのか」「デスクライトはどうするのか」といったあたりから検討が必要だったのではないでしょうか。
一般的な「1日8時間労働」を考えると、それなりに快適な環境を整えたいところです。小さなストレスの蓄積が、大きな疲労感につながってしまわないように、仕事部屋を点検しておきましょう。

まずは、ワークスペースの照明器具についても検討したいところ。天井の室内照明だけでパソコン作業をしている人もいるかもしれません。しかし、少しでも紙の資料をチェックするのであれば、デスクライトを導入したほうが快適です。

「光源としては、主流はLEDです。省エネ性能が高く、調光が手軽にできるのもメリットです。ただLEDの短所としては、複数の影ができてしまう『多重影』が挙げられます。ちらつく影は煩わしいものですが、最近では、これを解消した製品も登場しています。たとえば、医療用の手術灯をヒントにして開発された製品は、離れた場所から斜めに差し込む光により、手もとに影ができません。子ども向けに開発されたものですが、大人にもうれしい機能です。」

またテレワークによって、オンライン会議の機会も増えましたが、対面での会話にくらべると、タイムラグがあったり、相手の声が聞えにくかったりと、ストレスを感じることがあるかもしれません。

「パソコン内蔵のスピーカーやマイクを利用していて、相手の音が聞こえにくかったり、相手から聞こえないと指摘されたりした場合には、ヘッドセットなどを準備すると軽減できるでしょう。
たとえば普段、携帯音楽プレイヤーなどで利用しているイヤホンがそのまま使えます。最近のイヤホンは、スマホのヘッドセットとして使えるように、たいていマイクも搭載されているので、これからヘッドセットを新調するのであれば、コードレスで使える『Bluetooth対応』、周囲の雑音が軽減される『ノイズキャンセリング機能搭載』などがおすすめです。耳を塞がれるのが苦手な人なら『骨伝導タイプ』が閉塞感なく音が聴けるので快適でしょう。
ヘッドセットは、長時間付けることを前提に考えると、付け心地は重要ですから、店頭で実際に試してみることをおすすめします。」

(左)イメージ。(右)骨伝導タイプのヘッドセットは、耳を塞がない。(AfterShokz「OPENMOVE」)

そしてもうひとつ気になることとしては、在宅で仕事をするため、一日中エアコンをつけっぱなしにすることも多くなったこと。電気代が気になりますが、仕事環境を快適にするためには欠かせないでしょう。そうなると、省エネ視点も軽視できません。

「エアコンを選ぶ場合、省エネラベルに記載されている『APF値(通年エネルギー消費効率)』を参考にしてください。省エネラベルは家電製品の省エネ性能を示すもので、カタログや製品本体などに表示されています。またAPFとは、季節による利用環境の偏りも加味して、実際の使用状態に近い省エネ性能を示す指標で、この数値が大きいほど、省エネ性能が高いのです。今お使いのエアコンが10年以上前の製品であれば、買換えも視野に入れて検討してみましょう。そのうえで、部屋の広さに適した畳数の製品を選択し、フィルターや内部の熱交換器を自動で掃除してくれる清潔機能が付いたものや、ほかにも空気清浄機能や加湿機能、換気機能など、自分に必要な条件を吟味して選ぶようにしてください。」

エアコンの省エネラベル(見本)。

自宅の「ベランピング」で、キャンプ気分を楽しんでみよう

ときには食卓をリビングから庭先に移して気分をリフレッシュ。(Jackery)

思うように外出できない日々が続くなか、おうち時間を快適にするためには、気分転換も上手に取り入れたいものです。自宅のベランダや庭で気軽にグランピング(優雅なキャンプ)を楽しむ「ベランピング」なら、お手軽にアウトドア気分が味わえてリフレッシュできそうです。
屋外で調理をしたり、音楽を聴いたりプロジェクターで映画を見たりと、さまざまに楽しまれているようですが、ベランピングなら、そうした自宅の家電が、アウトドア仕様ではなくてもそのまま使えます。持ち運べる充電式のポータブル電源を活用するのも一つの方法です。

「ポータブル電源で家電を使うには、家庭用電源と同じ『AC出力対応』、消費電力100Wの製品を10時間程度動かせる『容量 1000Wh以上』、消費電力が高めの家電製品も動かせる『出力 1000W以上』といった条件を満たしていると安心です。オプションで別売りされていることが多い太陽光発電機をセットで用意すれば、省エネなうえに災害時にも心強い存在になります。ただし、ポータブル電源では使えない家電製品もありますので、購入前に必ずチェックするようにしましょう。
ほかに、『波形は、家電に対応している正弦波』『端子が必要な数だけあるか』『電圧は100V対応か』といったこともチェックポイント。電圧が110V、120Vといった製品もありますが、故障の原因になるので注意してください。」

(左)ソーラーパネルをセットすれば、ベランピングに使う電気を太陽光から充電できる。(Jackery「ポータブル電源+ソーラーパネル」)
(右)熱源は上部のみで、プレートの下には水トレイがあるので、煙や油の飛び散りを防ぐことができる。(アラジン「グラファイトグリラー」)

そして、ベランピングでやりたいことといえば、やはり食事ではないでしょうか。

「日本の、特に都市部の住宅事情を考えると、ご近所への配慮から、キャンプ場とは違って煙、臭い、音などが気になることでしょう。バーベキューはもちろん、ホットプレートでの調理でも、油が飛び散って臭いが残ることがあるからです。
では、どうするのがいいのか? ひとつには、煙や臭いが出にくいタイプのグリル器を選ぶこと。上部に熱源があり、プレート下の水トレイで油を受ける設計にして煙や油の飛び散りを防ぐタイプの製品もあります。もちろん、『室内で調理したものを外に運んで食べる』という手軽な方法もあります。野外で調理する楽しみは我慢することになりますが、後片づけも楽になるし、外で食べるだけでも楽しいものです。」

「ベランピングは、帰路の運転を気にせずにお酒が飲めるのもいいところですね。市販の缶ビールなどをセットして使うビールサーバーなども、気分を盛り上げてくれるでしょう。
夕暮れどきからは、ランタンの明かりを用意すると、さらに雰囲気が盛り上がります。キャンプで使うランタンには、ガソリン、ガス、灯油を使うものなどもありますが、自宅での便利さや安全性を考えると、LED(電池式・充電式)がおすすめです。『火にくらべて、LEDの明かりは雰囲気がイマイチ』と思われるかもしれませんが、最近は、暖色に切り替えられるものもあります。デザインを選べば、室内での普段使いもできますし、防災グッズとしても活躍します。」

在宅時間が増えたことで、快適な住空間が注目され、同時に家電や省エネにも関心が集まっています。

「家電の省エネ性能は、ここ十数年で飛躍的に進歩しました。省エネはもはや大前提となっているので、メーカー間で大きな性能差はありません。冷蔵庫やエアコンのような年間消費電力量の多い家電は『10年以上前の製品なら買換えを検討する』ことをおすすめしますが、基本的には、新たに家電を導入したことで楽しく便利になった生活を想像しながら、ワクワクした気持ちでチョイスしてみてください。
最後に細かいことですが、冷蔵庫とエアコンを買換える際には、「設置希望場所に入るか」「搬入スペースがあるか」、エアコンの場合は「室外機の置き場所やダクトの位置に問題はないか」といった基本のチェックを忘れずに。意外に失敗談は多いようです。」

吉田正之(よしだ まさゆき)

1979年創刊の商品情報誌『特選街』(マキノ出版)の編集長。家電製品総合アドバイザー。家電をはじめ、各種デジタル製品の選び方や使い方を、消費者の視点に立って、やさしく解説することを常に心がけている。